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2021年7月2日

12968:フジテレビのドラマ「イチケイのカラス」(原作:浅見理都)第2話はSBS(乳幼児揺さぶられ症候群)冤罪がテーマ:藤原一枝先生の新しい薬事新報の記事紹介です

始めは「乳幼児揺さぶられ症候群の子供を救おうという善意」で始まった乳児虐待への告発がやがて形骸化しました。また小児科医を含む関係者が中村1型という乳幼児特有の硬膜下血種の存在を知らないという不勉強を原因として、乳幼児保護のための自動相談所システムが無実の親から子供を引き離すという罪悪を起こしてしまったというお話です。このようなテレビ番組による社会を啓発で、社会の認識が急速に変わることでしょう「あったことと無かったことと ジェネリックのトリセツ( 7 ) 今日のクスリは(250) 藤原QOL研究所 代表 元都立墨東病院脳神経外科医長 藤原一枝」から、後半の揺さぶられっこ症候群に関する部分を抜粋し採録します。

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 SBSをめぐる 3 つの話題を提供する。  

 4月12日放送のフジテレビのドラマ「イチケイのカラス」(原作:浅見理都)第2話ではSBS(乳幼児揺さぶられ症候群)冤罪をテーマにしていた。イチケイとは東京地方裁判所第三支部第一刑事部の略称。

1歳半の長女を泣きやませるために激しく揺さぶったSBS事件として傷害罪で有罪,服役中の女性が控訴し,高裁が審理差し戻しでイチケイが担当になる。無罪を確信した裁判官が,“職権発動” で捜査もし,第2回公判では10人の医師による「法廷内カンファレンス」が行われ,児の外傷は「症状が出るまでに3日程度の幅があった可能性」が指摘された。

母親がうつ状態だったため,事件の3日前には児は託児所に預けられており,微熱で病院受診歴があった。付き添いの保母が不在の時に,診察台 から児が転落していたことを,外表に異常がなかったので,小児科医は隠した。その転落から 3 日後に,救急で運ばれてきた児を見て,医師は自分の過失を隠蔽すべくSBSとの診断をしたことを今回自供した。

70cmくらいの診察台からの「低位落下」で,SBS と似た症状が起こっている!! 時代と切り結ぶ原作者のセンスを称賛する。

厚労省がAHT(乳幼児の虐待による頭部外傷)の一時保護について調査を委託したPwCコンサルティングの報告書(4 月16日)は,「児相担当者は 事故か虐待か判断しがたいケースが多いことに悩んでいる」と報告している。

同日の毎日新聞夕刊トップでは,前・日本脳神経外科学会理事長の新井一・順天堂大学学長が,「『低位置からの落下では起きない』とは断言できない」とコメントしている。

 同時掲載は,横浜西部児童相談所に約5ヵ月一時保護されていた乳児の経過である。

2020年11月14日につかまり立ちから転倒した6ヵ月児は,意識障害と痙攣で救急病院に搬送され,CTを撮るが,硬膜下出血は見逃される。 日に数回嘔吐があったが,19日午前のCTでも硬膜下血腫は見逃された。同日夕方,つかまり立ちからの転倒の後,痙攣があり,同じ救急病院で同じ医師に診てもらったが,CTは撮らなかった。20日も診察してくれたが,その医師はてんかんか胃腸炎を考えていた。11月21(土)から 23(祝)日も嘔吐は数回あり,24日に受診した近医から大学病院小児科を紹介され,入院。当日の腹部CTは問題なく,25日の頭のMRIで亜急性の硬膜下血腫が見つかり,院内の放射線科医と脳神経外科医は「亜急性硬膜下血腫になっている理由は,CTにある11月14日の急性硬膜下血腫と19日の転倒の影響」と判断した。眼底出血も発見されたが,児は保存的加療で良くなった。ところが,担当小児科医や院内虐待対応委員会はSBSを疑い,児童相談所に通告し,12月10日から一時保護になった。

「SBSやAHTではない」と,両親は 3月5日に 児相を統括する横浜市に,一時保護取り消しを求める審査請求書を提出した。4月1日付の“公式の弁明書”は以下である。

〇セカンドオピニオン医より,立位からの転倒で硬膜下血腫が生じることは通常では考え難く,何らかのより大きな外力が脳に加わった可能性がある。また血腫は11月14日に確認されたものの他に11月25日には新しい血腫が確 認されている。眼底出血(11月26日に確認され,同30日に写真撮影)は新しいもので,血液検査や出血パターンから内因性は否定されるので,目の形が変形するほどの力が加わったことでの出血が考えられる。同年11月25日 に確認された硬膜下血腫は,当初の受傷部位から自然に発生した再出血と考えるよりも,眼底出血を伴うような頭部の大きな揺れによって生じた出血と考えることが妥当という所見を得た。

〇そのため,14日や19日の転倒以外に考えうることについて詳細に聞き取りを行い,父母にも再度確認をしていたが,新たな供述はなかった。

〇11月14日と25日に少なくとも2 回,短期間で複数の硬膜下血腫が確認をされているが,原因は定かではない。また,この硬膜下血腫は重大な後遺症を招いた可能性があり,安全対策が不可欠である。そのため,当該児童が安全な生活をしていくためには,家庭環境を整え,父母の育児主義を確認し,課題を改善していくことが必要であり,時間を要する。父母には,児童の安全確保のためにプログラムを行っていく必要があり,一定期間要する旨説明しているが,入所措置は同意撤回された。 児童の安全確認ができないまま児童を帰すことはできず,引き続き,当該児童の安全を確保し,適切に保護する必要があることから,現時点でも一時保護の必要性はある。

セカンドオピニオン医は初めから転倒や低位落下は排除する思考プロセスなのである。専門は放射線科でも脳神経外科でもなく,推定で児相担当者にしゃべり,書面を残していない!冤罪を産む巣窟はここだった!!

6 月17日には,東京地裁で,成育医療センターのSBS対応を相手取った事件を傍聴した。

2018年11月25日夕方自宅で座位から後方に転倒し,痙攣や意識障害のあった7ヵ月児が成育医療 センターICUに収容され,状態が落ち着いた。

一般病棟に転棟の準備をしていた12月 1 日,看護師は9時16分に血圧測定し,清拭もした。座位だった児がゆっくり後方に倒れ,左後頭部をベット柵で打ったのが 9 時40分。42分に急変し,顔色不良で意識なく心拍も減少で医師を呼び,酸素吸入も始めた。10時半のCTでは,急性硬膜下血腫の増量と眼底出血の増強がみられたというもの。証人の看護師は,incident report,accident report は書かなかったと言い,目撃していない西村菜穂・集中治療科診療部長は,倒れ方は「転倒でなく,傾倒という程度」と言い,やはり目撃していない宇佐美憲一・脳神経外科医長は,「9 時37分から徐脈が始まっている。転倒ではない」と証言した。  真相はどこに。

Categorised in: 小児の眼科疾患