
ニューズウィーク日本版には国際紙らしいQand Aが収載されています。今回は「娘の眼のことで人種差別」という質問です。眼瞼の形に変化が現れる21トリソミー(ダウン症)か何かの変化が有ったのでしょうか?眼科でも遺伝子疾患の相談を受けることはしばしばあります。この質問のような患者及び親の気持ちの問題と、遺伝子変化による疾病としての変化に医師としてどう対応するかという2つの全く異なったアプローチが必要となります。
―――記事採録―――
2020年02月20日(木)https://www.newsweekjapan.jp/help_wanted/2020/02/post-13_1.php
<私たちが住むのは進歩的で多様性を受け入れる町。差別ではなく無知から出た言葉だと思いたいのですが──。小説家でスレート誌人生相談員のルマーン・アラムの提案は?>
Q:夏に女の子が生まれました。私たち夫婦にそっくりなんですが、1つだけ大きく違う点があります。目の形です。私たちは進歩的で多様性を受け入れる町に住んでいますが、それでも娘の目のことで人種差別的な言葉を掛けられることがあります。
1度目はショックで、何を言われたのか分からなかった。2度目は「そんなこと言わないで」と抗議しました。どちらの場合も、言ったのは職場の同僚のような身近な人たちです。だから、差別というより無知から出た言葉だと思いたい。こういう場合、どんなふうに言えばいいでしょう?
──「口撃」された新米ママ
A:まずはご出産おめでとう! 遺伝子の働きって驚異ですよね。
さて、2週間ほど前に近所の店でレジに並んでいたときの話です。レジ係の男が、いま出て行ったばかりの女性客について信じ難い言葉を口にしたのです。その場で抗議するべきでした。天井を仰いで不快感を示してもよかったし「僕はゲイであんたはゲスだ」と言ってやってもよかった。でも何もしなかった。情けないです。
差別だろうが無知だろうが、悪いことは悪い。非常識な輩にいかに不満を伝えるか。人種差別が悪なのはもちろんですが、対応はそう簡単じゃない。職場の人にずばり「不愉快なことを言わないでください」と言い返せますか? それとも「この子は私の娘。完璧な子だと私は思っています」と遠回しに逆襲しますか?
非のないあなたが気をもまなくてはならないなんて理不尽です。でも気まずいからといって不快なことを黙って我慢するのはよくない。今も僕は、あの店で何もしなかったことを悔やんでいます。だいたい、赤ちゃんの容姿をあれこれ言うなんて失礼です。そりゃまあ、愛想笑いを浮かべてうやむやにする手もあります。でも、あなたが正しいと信じることを言ったほうがいい。きっとせいせいしますよ。
── ルマーン・アラム(小説家、スレート誌人生相談員)
<本誌2019年12月3日号掲載>
⇒遺伝子に関連した疾患では最近は出生前診断も行われるようになっています。
Categorised in: 小児の眼科疾患