お問い合わせ

03-5677-3930初診受付

ブログ

2020年7月20日

12105:乳幼児揺さぶられ症候群;虐待による乳幼児頭部外傷とは

藤原一枝先生からメールが届きました。
「乳幼児の頭部外傷のうちの「事故の人への扱い」に疑問を感じたところから、医師として児童虐待問題に責任を感じて活動しています、、
児童虐待冤罪の問題がやっと認知され、国会も厚労省も動き出したと思っていたら、ーーーこの記載内容は「虐待による乳幼児頭部外傷」からの乳児保護と「それを疑われる親の冤罪」のバランスにおいて藤原一枝先生には満足なものではなかったそうです。

元記事は、ウェブにも載っていました →
https://www.asahi.com/sp/articles/DA3S14554566.html
短縮して採録しましょう。

(フォーラム)赤ちゃん、泣きやまない時 2020年7月19日 5時00分

 みなさんは、何をやっても子どもが泣きやまずにどうしていいかわからなくなったことはありませんか? イライラから突発的に乳幼児を強く揺さぶったり、投げたりしてしまう人もいて、子どもが頭部に傷を負うことがあります。だれに起こってもおかしくないと言われています。この問題について、考えてみたいと思います。

 ■あやしていたはずが、イライラ―― 頭部外傷、誰でも可能性
 乳幼児の頭部を激しく揺さぶったり、投げつける、打ちつけるなどの行為で衝撃が加わったりすると、脳の損傷や血管の断裂などが起こるといわれています。軽い場合は、嘔吐(おうと)や不機嫌、ミルクを飲まないなどの症状がみられます。重い場合は、けいれんや意識障害、呼吸障害が起こり、死亡したり、重い障害が残ったりすることもあります。
 かつては「乳幼児揺さぶられ症候群(SBS:Shaken Baby Syndrome)」と呼ばれましたが、最近は、揺さぶりだけでなく頭部への衝撃も含めて「虐待による乳幼児頭部外傷(AHT:Abusive Head Trauma in Infants and Children)」と呼ぶよう提唱されています。専門家によると、AHTは4分の1が亡くなり、生存しても約半数が生涯残る重い障害を負うそうです。
 第15次の厚生労働省の死亡事例検証報告では、2017年度の3歳未満の死亡原因は、頭部外傷(9人)が最も多く、全体の36%を占めます。また、その半数以上は揺さぶりによるものとなっています。
 日本では2000年代に広く知られるようになりました。硬膜下血腫、脳の損傷、眼底出血の「三徴候」と呼ばれる所見があると、AHTが疑われます。ただし、医師はさまざまな検査をして三徴候以外にも骨折やあざなどの身体状況、病歴、発達などを見て、親の説明を聞き、総合的に判断します。
 疑いが否定できなければ、児童相談所に虐待通告をし、児相は子どもの安全を守る必要があると判断した場合に、子どもを一時保護します。

 ■相次ぐ無罪、通報ためらう病院
 東日本のある病院では、昨年、乳児が嘔吐の症状で受診しました。いろいろな検査をしても原因がわからず、CT(コンピューター断層撮影)やMRI(磁気共鳴断層撮影)を撮ったところ、わずかな硬膜下血腫が認められました。両親の話を聞いても何があったのかわからず、医師はAHTを否定できないと考え、児相への通告を考えたそうです。ですが、病院内で「AHTとは決めつけられない」との声があり、結局そのまま帰宅させました。
 ところが、数カ月後、今度は乳児のきょうだいがけいれんを起こして救急車で運び込まれました。硬膜下血腫や脳の損傷が認められ、腕や肋骨(ろっこつ)も骨折していました。児相に連絡したそうです。
 「最初の疑いで通告していたら、きょうだいは守ることができた」とかかわった医師は肩を落とします。
 病院が通報をためらう事情のひとつには、虐待をめぐる刑事裁判が関係しているという声があります。
 子どもが死亡したり重篤なけがをしたりすれば、加害者が逮捕され、刑事責任を問われることがあります。ただ、刑事裁判では17年12月以降、関西を中心に少なくともSBSをめぐって7件の無罪判決が出ています。頭部の出血が、ほかの要因で生じた可能性が否定できないなどと裁判所が判断しました
 弁護士たちは「冤罪(えんざい)はあってはならない」として、「三徴候があったからといって揺さぶりと決めつけるのはおかしい」と主張、「虐待が過剰診断されている」としています。そのため、長年虐待に取り組んできた医師や日本小児科学会と対立するという事態になっています。

 ■医師ら懸念「親を罰したいのではない」
 医療現場では、裁判で無罪判決が相次ぐ中、児相に通告しない動きが広がることを危惧する声が上がっています。虐待問題に取り組んできた国保旭中央病院(千葉県)の仙田昌義・小児科部長は「私たちは親を罰したいのではない。子どもを守るためには、AHTの疑いがあれば児相に通告する必要がある」と話します。
 東京都立小児総合医療センターの井原哲・脳神経外科医長によると、頭部にけがをして病院に来る子どもは年間約千人で、そのうち入院するのは20人いるかいないか。手術するほどの重傷は数人で、「家庭で重傷の頭部外傷を負うのは例外的な極めて珍しいこと」と指摘します。
 さらに「AHTは存在するし、揺さぶりが危険な行為であることは間違いない。転落や転倒でも急性硬膜下血腫が生じることはあるが、重症化することは極めてまれ。重傷の場合は、転倒や転落だと保護者が説明しても『事故だから問題ないですね』とはならない。虚偽の申告の可能性もあるし、事故だとしても不適切な養育環境があるかもしれない」として、児相通告は免れられないと主張します。「法廷での無罪と保護者が納得しない児相の一時保護を同列にして、『冤罪』『連れ去り』といった表現をするのは不適切と感じます」

 ■子の利益、最優先に
AHTをめぐっては、海外でも裁判で無罪になるケースが出ており、日本、米国、スウェーデンの小児科学会など世界の15団体が、法廷では医学的根拠のない仮説が飛び交う状況になっているなどと指摘する国際共同合意声明を発表しています。
 「刑事事件では『疑わしきは被告人の利益に』が原則だが、子ども家庭福祉の世界では『疑わしきは子どもの利益に』を原則にしなくてはなりません」。AHTに詳しい医師で、NPO法人チャイルドファーストジャパンの山田不二子理事長は、子どもの権利が最優先であると訴えます。裁判については「長年、専門家が培ってきた国際的な知見は重いが、なぜ重症の脳損傷が起きるのか科学的なメカニズムはまだ解明されていない。そのため、加害者が自供しないと、刑事司法では立証は難しいというのは否めない」と見ています。
 昨年度まで横浜市中央児相に勤務し、現在は東京都港区で児相設置準備担当部長を務める田崎みどりさんは、これまで多くの親子に対応してきました。「児相としては、虐待だったとしても事故だったとしても子どもが傷ついていれば、二度と同じことが起きないようにするというのが基本姿勢。児相がやるべきは子どもの命と安全を守るために親を支援し、親と協力していくことなのです」

 ■我慢できない時、離れてみて 藤原武男・東京医科歯科大教授(公衆衛生学)
 千葉県や愛知県の自治体で子どもの3~4カ月健診を受ける親たちを私が調査したところ、赤ちゃんへの揺さぶりは3~4%、口をふさぐのは2~3%の人がしたことがあると自己申告しています。この数字から推測すると、日本でも欧米同様、1歳未満の乳児10万人に30~40人程度のAHTが発生しているのではないかとみられます。
 調査からは(1)妊娠がうれしくなかった(2)妊娠中のDV(配偶者、恋人などからの暴力)(3)母親が常勤で働いている(4)初産(5)10階以上の集合住宅の居住(6)泣くことが多いと感じている(7)産後うつ(8)相談できる人の数が少ない――などがリスク要因であることもわかりました
 AHTは、泣きやまない赤ちゃんにイライラして、虐待傾向のない親でも突発的にしてしまうことがあるといわれています。防ぐためには、赤ちゃんの泣き方の特徴を知ることが大切です。赤ちゃんが泣くのは当たり前で、1日5時間以上、激しく泣くこともあります。
 これまでの研究で、生後2カ月のころに泣きのピークがあり、何をやっても泣きやまないことがあることがわかっています。しかし、その後は、和らいでいきます。
 赤ちゃんが泣きやまず我慢しきれなかったら、赤ちゃんを安全な場所に寝かせ、その場を離れてかまいません。数分かけて自分を落ち着かせて戻り、赤ちゃんの様子を確認すればいいのです。無理やり泣きやまそうとしないことが肝要です。決して激しく揺さぶったり暴力を振るったりしないでください。
 一方で、赤ちゃんが泣いていることに「うるさい」と声を荒らげるのではなく、「大変だね」と温かい目を向けられる社会であることも求められています。

 ■投げつけ、後悔/1人の時間を
 フォーラムアンケートに寄せられた声の一部を紹介します。(省略)

 ●布団に投げつけた
 ●夜泣きで寝不足のまま出勤
 ●「しんどい」と言える環境に
 ●1人になる時間つくって!
 ●母親の孤独は虐待につながる
 ●許容されている感覚ほしい
 ●環境が人を虐待させる

Categorised in: 小児の眼科疾患