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2020年4月20日

11795:先天性鼻涙管閉塞

■はじめに

涙は一部は目の表面から蒸発しますが、ほとんどは目頭に開口した上下2本の細い管(涙小管)から吸収され、その後、涙嚢という袋状の部分から鼻涙管を下に向かって流れ、最後は鼻腔内に排出されます。生後まもない時期にはこの涙道が未発達のために流涙のみられる場合があります。通常、涙道機能の回復により自然に消退しますが、改善しない場合は先天性の鼻涙管閉塞を疑う必要があります


鼻涙管の下の端は弁状になっていてハスネル弁と呼ばれます。

■症状

生まれたばかりの赤ちゃんでは、この弁の部分がまだしっかり開いていないことがあって、その場合ずっとなみだ目が続いたり、膿が眼頭から出続けたりすることがありますこれが先天性鼻涙管閉塞です。

■診断

目の内側、鼻の付け根あたりを圧迫すると目の中に涙が逆流してきます。粘液や黄色膿が混じっている場合もあります。涙道の閉塞部位や涙嚢炎の確認も含め、診断の確定には涙道通水試験が必要です。正常であれば、子供は咳をしてむせます。異常な場合には膿が眼の表面に逆流し、のどに水が落ちないので子供はむせません。涙嚢炎は涙嚢内に溜まった涙液に細菌などが感染して炎症を起こすもので、これが長引くと眼瞼および眼窩蜂窩織炎へと重症化する例もあります。

先天性の涙道閉塞として涙小管開口部の閉鎖(涙点閉鎖)や涙小管欠損などの形成異常もあり、この様な例の多くで全身の先天異常を合併します。

生後早期に眼脂、流涙を伴う疾患としては新生児結膜炎も重要です。この場合は眼瞼の発赤、腫脹や結膜の充血、浮腫、膿性眼脂などがより顕著です。なお、眼脂や流涙は高い眼圧や眼の炎症など、より重篤な病態や疾患の徴候でもあります。

■治療・管理

先天鼻涙管閉塞の大半は涙嚢マッサージのみで治癒します。目の内側、鼻の付け根あたりを人差し指で奥に圧迫する要領で40回程度マッサージを行います。これを日に2度行ってもらいます。丁寧にこのマッサージをして涙を流れやすくしているうちに、生後3ヶ月程度までに先天性鼻涙管閉塞は自然に改善してきます。

しかし3か月くらいその治療をして待っても先天性鼻涙管閉塞が通過してくれず、涙眼や膿が多い場合には、点眼麻酔だけを施し、赤ちゃんを急には動けないように大きなタオルで包んで固定して、金属のやや柔らかい棒である涙管ブジーを目頭の下涙点から涙の通路にしたがってそっと押し込んで、ハスネル弁を押し広げてやります。これで症状が改善しない場合は通水試験および涙嚢洗浄、涙道ブジー、涙道チューブ留置術など病状に合わせて段階的に処置が行われます。生後3カ月目くらいまでの年齢が若い患児は,涙小管があまりにも細いので,ブジー治療を行わずに経過を見ることも多いです。その間は,抗菌点眼をして,涙嚢マッサージを試してもらいます。そして,3~6カ月くらいの年齢になったときに再診します。6カ月以上の年齢になると,力が強くなるので,通水やブジーなどの手技が難しくなります。

この治療が先天性鼻涙管閉塞の開放術と呼ばれる手技(簡便な手術)ですが、後日2度以上同じことを必要とすることはほとんどありません。

私の場合には水を流す涙菅洗浄までを自分の医院で行い、あとのブジ―は安全性を考えて複数の医師のいる環境で行ってもらうようにすることも多いです。

先天鼻涙管閉塞 (参考記事:http://www.japo-web.jp/info_ippan_page.php?id=page03

Categorised in: 小児の眼科疾患