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2019年8月28日

11026:スマートフォンと内斜視:記事紹介

スマートフォンの長時間使用は内斜視をひきおこすのか? 佐藤美保(浜松医科大学医学部眼科)

小児眼科のメーリングリストで佐藤美保先生が「スマートフォンの長時間使用は内斜視をひきおこすのか?」としての記事が日本の眼科に掲載されたことを伝えました。それから程なく、この記事の掲載された8月号(1020-21p)が届きました。その要点を採録しましょう。

初めに:「スマートフォンの過剰利用によって急性後天性内斜視が発症し、使用を制限すると改善した」との報告が2016年に韓国から、また我が国からは国立成育医療研究センターからなされた。近年、急性後天性共同性内斜視の症例が増えている。

1、急性後天共同性内斜視とは

麻痺などの眼球運動障害がない(共同性)急性発症の内斜視を指す。要因は、1)融像が壊されたことによるもの、2)軽度の遠視のある者、3)様々な程度の近視のあるもので 若年者に発症するもの、さらには4)屈折調節性内斜視、5)調節けいれん(精神的ストレス)、6)頭蓋内疾患などを原因とするもの、に分けられる。

そのうち、特に若年者におころⅠ)片眼の遮蔽によって融像が壊されるもの、Ⅱ)心因性のもの、Ⅲ)軽度の近視があり、低矯正のものをBurianは狭義の「急性後天共同性内斜視」と定義した(文献3)。 通常は、調節麻痺下屈折検査を行い調節性内斜視を鑑別するとともに小児科医や神経内科医に依頼して背景に神経学的異常がないかを確認することになる。

2、スマホの過剰使用とは、

「過剰な使用」が何を指すのか不明瞭。2018-2019に調査した。「(亜)急性後天共同性内斜視(AACE)とデジタルデバイスの使用にたいする意識調査」を行った。300人中158名が過去1年に診療していた。

3、低年齢児に特有な問題は?

斜視が持続すると恒久的な視覚以上を残す可能性がある。特に、視覚感受性期間内に斜視が長時間持続すると弱視を発症したり、両眼視機能の発達が妨げられたり、いったん獲得した両眼視機能が失われたりして立体視の再獲得が困難となる危険がある。

4、今後の研究について

他施設共同研究を行うこととし現在参加施設での倫理審査が進められている。Burianの言う「急性発症」の方ばかりでなく、受信まで数年かかっている方も少なくない。当初の「(亜)急性後天共同性内斜視」を「後天共同性内斜視」と変更した。著しい悪化から1年以内の患者をデジタルデバイス使用の有無にかかわらず登録する。

終わりに

デジタルデバイスの使用方法、使用時間、などと斜視に関する科学的に裏づけられた研究はない。日本眼科医会会員から早めに研究産科施設への紹介を願う。

https://www.jasa-web.jp/c-news/2032

Burian HM, Miller JE: Comitant convergent strabismus with acute onset . Am J Othtalmol45:55-64,1958: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/13520873

Categorised in: 小児の眼科疾患