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2019年8月18日

10995:黒内障:ゲノム編集で目の病気治療 米で世界初の臨床試験へ 子供の失明原因「レーバー先天性黒内障10型」

 日本経済新聞2019/8/16 19:07 に上記の記事が出ています。此処でいうレーバー先天性黒内障は。先の記事(失明リスクの高い目の病気、「突然、黒い幕が下りて…」一過性黒内障は脳梗塞の前兆 2019年03月05日 by 清澤源弘)で私が説明した一過性黒内障とは全く別の疾患です。レーバー先天性黒内障は若年型の網膜色素変性症ともいうべき疾患で、視野狭窄、視力低下、夜盲などが網膜の編成によって起きる遺伝性家族性の疾患です。原因が目の中の網膜の遺伝子にありますから、眼球に対する遺伝子治療が考慮できるのです。では今回の日経の記事を紹介します。

病気の治療はゲノム編集の応用で最も期待されている分野の一つ

病気の治療はゲノム編集の応用で最も期待されている分野の一つ

【ワシントン=共同】遺伝子を効率的に改変できるゲノム編集技術を使い、子どもの失明の原因になる目の病気で遺伝子治療の臨床試験を米国で年内に始めると、米バイオテクノロジー企業が16日までに発表した。簡単に使えるため世界で急速に広がる「クリスパー・キャス9」という手法を活用して人の体内で原因遺伝子を直接修復する世界初の臨床試験という。

病気の治療はゲノム編集の応用で最も期待されている分野の一つ。成否は今後の遺伝子治療の広がりを占う試金石になる。

昨年発覚した中国の研究者による受精卵へのゲノム編集のように影響が将来世代に引き継がれる恐れはなく、遺伝子の改変は患者の患部に限定されると想定している。

臨床試験は、特定の遺伝子の変異が原因の「レーバー先天性黒内障10型」という病気を対象に米エディタスメディシンなどが計画。患者数は多くないが、子どもの頃に発症し、目の網膜の機能が正常に働かず、進行して失明することもある。

計画では、3歳以上の子どもと大人計18人に対し、網膜下にゲノム編集の薬剤を注射する。薬剤は細胞への運搬役となるウイルスベクターに、原因遺伝子の変異部分を正確に探し出すリボ核酸(RNA)と、変異部分を切り取って機能を正常化させるはさみ役の酵素を組み込んでいる。薬剤の濃度を変えるなどして、意図しない遺伝子の改変が起きないかなど安全性を評価するとともに有効性を調べる。

クリスパー法を巡っては、これまでに体外に取り出した血液などの細胞を遺伝子操作して体内に戻し、血液の病気やがんの治療を目指す臨床試験が既に米国などで実施されている。日本でも自治医大のチームが血友病の治療を目指すなど研究が進むが、人に臨床応用する段階に至っていない。

米国では、クリスパー法より古いゲノム編集の手法を使って、体内の遺伝子を直接操作する臨床試験も行われている。

注:(レーバー先天性黒内障 – 日本網膜色素変性症協会から引用) レーバー先天性黒内障(Leber’s congenital amaurosis(LCA))は、1869年にLeberが初めて報告した。LCAは幼児と子供の先天的な視力障害の最も一般的な遺伝の原因を象徴している常染色体劣性の網膜ジストロフィのグループである。LCAは出生の2~3カ月以内に幼児の眼振、反応が遅い瞳孔および厳しい視力障害によって特徴付けられ、小児期に遺伝性の失明が起こる疾患である。追加の特徴として眼球陥入、遠視の屈折障害と顔面中央の発育不全を含めている。Leber (1869)は先天的な黒内障によってこの条件を色素性網膜症(pigmentary retinopathy)と評したが色素性網膜症はしばしば網膜色素変性症と混同される。眼所見はほかに白内障と円錐角膜の報告がある。そのほか、精神遅滞、小脳虫部の形成不全、突出したあご、感音難聴、腎臟病、肝臓の機能障害を合併することがある。現在、LCAは染色体上の変異した遺伝子の種類によってLCA1(17p13.1の遺伝子座:染色体17上のGUCY2D遺伝子)からLCA11(7q31.3 – q32の遺伝子座:染色体7q上のIMPDH1遺伝子)の11のタイプに識別されている。今年、ロンドンのムーアフィールズ眼科病院において遺伝子治療がレーバー先天性黒内障の患者に世界で初めて実施されたという報告がある。評価されるのが何ヶ月か先ということもあり、詳細は不明であるが患者を対象とした試験が実施されたということで非常に興味深いものがある。

下記の動画はこの遺伝子返照の意味付けを簡便に示している。

Categorised in: 小児の眼科疾患