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2019年7月19日

10921:幼児の弱視を早期発見できる検査機器とは:スポット・ビジョン・スクリーナー

6歳以降は治療が困難 幼児の弱視を早期発見できる検査機器とは

(7/19(金) 9:26配信  日刊ゲンダイDIGITAL)

6歳以降は治療が困難 幼児の弱視を早期発見できる検査機器とは

(スポット.png)スポットビジョンスクリーナー。使い方は簡単(提供写真)

 40歳以下の片目失明の原因の第1位は「弱視」だ。6歳までに発見されて治療すれば治りやすく、それ以降は困難だとされる。現在は少なからぬ弱視が見落とされている可能性があるという。そんな中、弱視の早期発見を可能にする検査機器が話題だという。眼科専門医で「清澤眼科医院」(東京・南砂)の清澤源弘院長に聞いた。

  文科省発表の「平成30年度学校保健統計調査」によると、裸眼視力が1・0未満の子供の割合は幼稚園で26・68%、小学校で34・10%という。20年前の同じ調査では幼稚園25・8%、小学校26・3%で、裸眼視力1・0未満の子供の割合が大幅に増加していることがわかる。問題はその中に多くの弱視が含まれていると考えられることだ。

 「弱視とは、どんな眼鏡やコンタクトレンズで矯正しても0・4以上の視力が出ない目のことを言います。具体的には遠視、近視、乱視が強いために起こる屈折異常弱視、左右の視線のズレによって起こる斜視弱視、何らかの理由で片目を閉じた時期があって起こる視覚遮断性弱視などがあります」

  人間は生後1~2カ月でものの形や色がわかるようになり、4カ月ぐらいで動くものを追って目を動かせるようになる。3歳くらいで0・5程度、4~5歳で1・0の指標が判別できるようになり、8~9歳くらいで大人と同じ両眼視機能を含む視機能が完成する。

 「それまでに目の病気や、強い遠視や乱視、斜視などがあると視力の正常な発達が妨げられて、その後治療を行っても思うような効果を得ることは難しいといわれています。子供の低視力には『未熟児網膜症』などのような器質的な障害や病気によるものと、『遠視』や『乱視』が原因となって視機能の発達が途中で止まる場合の2種類があります。多いのは後者で、何らかの原因でピントの合った鮮明な像が網膜に映されないままでいることで、細かいものを見るための脳や神経の働きが十分に成長せず、視機能の発達が途中で止まってしまうのです」

  その治療は簡単で、6歳くらいまでに眼鏡をかけて網膜にピントの合った鮮明な画像を映すことで最大矯正視力が向上することが期待できる。

 「ただし、片方の目だけが特に悪い場合は、健康な目をアイパッチで隠すなどして、悪い方の目を強制的に使わせることで発達を促す方法を用います。斜視の場合はプリズム眼鏡なども使いますが、程度が強いときは手術をするケースもあります」

  日本では母子保健法に基づく3歳児眼科健診が市町村で行われていて2016年度は95・8%と高い実施率を誇る。ところが、この検査をすり抜けて3年後の小学校の就学時健診で見つかる弱視は少なくない。3歳児眼科健診が視力検査中心で行われているからだ。

  実際、1次がアンケートによる問診と家庭内での視力検査(2・5メートル離れた視力0・5に相当するランドルト環や絵による検査)、2次が保健センターなどでの検査で、有効とされる屈折検査が行われるのは2次で、治療が必要な目の病気が疑われた幼児に対して実施される3歳児精密検査のときだけだ。

■検出率が3倍にアップ

 第74回日本弱視斜視学会総会で学術展示された「三歳児眼科健診における屈折検査の有用性」でも弱視スクリーニングには視力検査と屈折検査の併用が有用であるという報告がある。

 「その中には、不同視弱視の検出率が、視力検査のみに比べて6%から17%に、疾病発見率は0・43%から2・78%にアップしたとの論文も紹介されていました」

  自治体によっては2次健診に眼科医院が一般的に使っている「オートレフケラトメーター」と呼ばれる屈折異常を測る検査機械を導入している。しかし、子供が機械にあごをのせて額をつけてジッとしていることができないケースが多く、正確に弱視を診断するのは難しいという。

  そこで最近、眼科医院や小児科などで導入が進んでいるのが、患者と検者が離れて眼位と屈折を同時に自動判定する「スポットビジョンスクリーナー」だ。6カ月の乳幼児から大人まで検査でき、97%のスクリーニング成功率を誇るという。

  使い方は簡単だ。1メートルほど離れた場所から機械を子供の目に合わせるだけ。機械からはピヨピヨという音と光が出て子供の注意を引くため患者は恐れることなく測定がしやすい。

  10秒ほどで屈折値、斜視角、瞳孔の大きさ、瞳孔間距離などを測定し、弱視のリスクが自動的に表示される。

 「当院でもこの装置のおかげで片目の遠視と不同視が検出された女児が、眼鏡の処方で8カ月後にはその視力が1・0まで回復するなど成果を上げています」

  ものを見るとき頭を傾ける、顔を近づけるなど小児の目が気になる人は3歳児眼科健診だけに任せるのではなく、専門の眼科医に直接相談することだ。

Categorised in: 小児の眼科疾患