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2019年6月26日

10856:経口クロセチン投与は、マウスのレンズ誘発性近視モデルにおいて屈折の変化と眼軸の延長抑制を示した:記事紹介

本日ロートの社員の方が近視進行予防にクロセチン(サフランやクチナシに含まれる)が有効というデータを見せに来てくださいました。現在私の医院では、ロート社製のクロセチンを含む栄養食品も扱っていますが、ロート社ではクロセチン含有量を増やした新製品も発売したそうで、すでにHPで紹介している診療機関もあります。この研究の内容は慶応大学のプレスリリースにも、また原著論文にも出ている内容でした。

◎プレスリリース:クロセチンが近視進行を抑制(慶應大):近視誘導モデルにクロセチンを投与するとEGR-1発現が増加し、近視進行を抑制できることが世界で初めて確認され、論文発表されました(慶應大)。2019年1月22日

(英語) s41598-018-36576-w 下に抄録を翻訳採録

(日本語記事):https://www.rohto.co.jp/news/release/2019/0123_01/

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原著Oral crocetin administration suppressed refractive shift and axial elongation in a murine model of lens-induced myopia

森紀和子、栗原俊英、宮内真紀、石田文子、姜效炎、池田真一、鳥居秀成、坪田一男

掲載誌  Scientific Reports

近視の世界的な発生率の増加は、その進行に対する治療的アプローチの確立を必要とする。近視を制御する可能性のある薬剤を探索するために、近視抑制因子である初期成長応答タンパク質1(Egr-1)の活性に基づいて、207種類の天然化合物および化学試薬をin vitroでスクリーニングした。インビボ分析のために、3週齢のC57BL / 6Jマウスにおいて、−30ディオプター(D)レンズを3週間使って実験近視を誘発した。候補の中で、クロセチンはEgr-1の最高かつ用量依存的な活性化を示した。近視誘発の間、0.003% (n=19) 及び0.03% (n=7)のクロセチンを含有する通常または混合飼料を動物に与えた。赤外線フォトリフラクターとSD-OCTシステムを用いて3週齢と6週齢で屈折と軸長を測定した。

対照(n=14)と比較して、クロセチン投与群は、屈折誤差の有意に小さい変化を示した(コントロールが−13.62±8.14 、0.003%群で+0.82±5.81D, p<0.01,また0.03%群で−2.00±4.52 D, p<0.01)。眼軸伸長も優位に短かった(コントロール0.27±0.03、0.003%では0.22±0.04mmでp<0.01, 0.03%では0.23±0.05mm でp<0.05)。これらの結果は、食餌因子クロセチンが近視の進行に対して予防効果があることを示唆している。

【用語解説】

  • クロセチン:サフランやクチナシの実に含まれる黄色の天然色素で、その鮮やかな色は食品の着色に利用されています。ニンジンに含まれるβ-カロテンやトマトのリコピンの仲間で、体の錆びつきを防ぐ「抗酸化力」に優れたカロテノイドの一種です。
  • 眼軸長:角膜から網膜までの長さ。眼軸長が伸びすぎて網膜上で焦点が合わない(網膜より前に焦点を結ぶ)と近視となり、眼軸長が長いほど強い近視となります。学童期に眼軸長が過剰に伸長することが近視の進行に大きくかかわるといわれています。
  • 屈折度数:眼に入った光は角膜と水晶体で屈折され、焦点を結びます。屈折の強さを表したものが屈折度数です。屈折が強すぎると網膜の前で焦点を結び、近視となります。屈折度数がマイナスになる程近視が進んでいることを表しています。
  • 脈絡膜:脈絡膜は網膜の外側にある膜で網膜に栄養を与える組織。近視が強くなり眼軸が伸びると、脈絡膜が薄くなる等の病的な変化が現れるといわれています。

クチナシの花:下の動画は名曲ですが、単に製品の材料とされるクチナシとの関連で、「くちなしの花」という歌なので張り付けただけです。

Categorised in: 小児の眼科疾患