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2019年6月19日

10836:心因性視覚障害とは:裸眼視力は極低いのに、ごく微量の矯正眼鏡で良好な視力が出た例?

心因性視覚障害

心因性視覚障害は、心理的な原因によって引き起こされる視機能の異常で、かつては転換反応と呼ばれました。眼には器質的疾患を認めません。視機能の異常としては視力低下のほかに視野異常をみとめることもあります。発症は7歳~12歳の女児に多く、男児の約2倍です。決して嘘をついて視力が出ないわけではありません。欧米では心因性と呼ばず機能的視覚障害functional visual lossと呼びます。最近、両眼解放型ヘッドマウント視野計➡(アイモ)がその診断に有効とも提唱されています。

原因

心理的ストレスで精神的葛藤、欲求不満などが原因となることもありますが、普段は良く見えているのに、視力検査をすると見えなくなってしまうこともあります。原因の背景は人によって非常に様々で、些細なことでも原因となることがあります。家庭環境での親やきょうだいとの関係や、学校での友人や先生との関係に悩んでいる場合、宿題や習い事などが負担になっている場合などもあります。心労を表現できず心理的ストレスになることも考えられます。また眼鏡を装用したいという気持ちが心因性の視力低下の原因であることもあります。臨床心理士が時間をかけて原因を聴取しても原因が確定できない場合もしばしばあります。

診断

心因性視覚障害は除外診断といって、他に眼の病気が何もないことが前提となります。そのため、眼球などに器質疾患がないか眼底検査などが行なわれます。単純に視力検査を行うと視力が出ないのに、検査を繰り返して特殊なテクニックを用いていくと、最終的には素通しメガネの状態で視力が改善することがあります。また、視力低下のある児童に視野検査をしてみると、らせん状視野や管状視野狭窄が発見できることがあります。これは心因性視覚障害にのみみられる特徴です。こういった視野異常では、検査前に声掛けで暗示すると正常の結果が得られることもあります。最近診療したケースでは、裸眼視力は極低いのに、ごく微量の矯正眼鏡で良好な視力が出ると言うことが、視野測定をしてこの状態であると診断するきっかけとなりました。どうしても視力が出ない場合には、MRI撮影や電気生理学検査で、視神経や網膜疾患の除外も行います。

治療・管理

原因となっている心理的ストレスを軽減することを試みます。そのためには、家族を含めた周囲の人々の理解と協力が必要です。眼球に異常がなくても、何かしらの問題を抱えているのだと言うことを受け止める必要があります。ちょっとした環境の改善、或いは繰り返しの来院中に視力が出ることもあります。症状の改善を認めない場合には、小児眼科専門機関での軽い視神経萎縮やはっきりしない網膜変性症など網膜視神経疾患の精密な除外を勧めます。

当ブログ内の関連ページは:

6324:心因性視覚障害の診断 清澤源弘:日本の眼科。眼科医の手引きから  2015年3月1日  https://www.kiyosawa.or.jp/uncategorized/42252.html

5041 「心因性視覚障害を持つ小児への臨床心理的介入の試み」:論文投稿しました  2013年12月25日 です https://www.kiyosawa.or.jp/uncategorized/40908.html

適切な動画は見当たりません。下に引用するのはユタ大学のカンファレンスで、イラクの戦争でPTSDを経験した女性の例を説明したものです。

Categorised in: 小児の眼科疾患