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2018年11月23日

10289:注意欠陥・多動性障害とは:

注意欠陥・多動性障害とは:

眼科検査の場面でも検査に集中できない子供は珍しくはない。その中には注意欠陥・多動性障害も含まれていると考えられる。そこでこの疾患の概要を振り返ってみよう。

注意欠陥・多動性障害( Attention-deficit hyperactivity disorder、ADHD)は、(ウィキペディアを見ると)多動性や衝動性、また不注意を症状の特徴とする神経発達症もしくは行動障害であるとされるが、こうした症状は教室内で最年少だとかその他の精神障害、薬物の影響でも一般的であり、類症との鑑別が必要とされる。学童期までの発症率は1 – 6%で男子の方が女子よりも高いという。

症状は

  • 衝動性(impulsive)・他の人を遮って喋るなど
  • 過活動(hyperactive)・黙ってじっとし続けられないなど
  • 不注意(inattentive:簡単に気をそらされる、細部をミスする、物事を忘れる)などである。

原因は、2018年現在、決定的な原因はないとされる。 原因を遺伝要因と環境要因に分けることができるが、ADHDの遺伝要因(遺伝率)は約76%と大きく、ADHDの子供の兄弟は他の3~4倍ADHDになりやい。

抑制や自制に関する脳の神経回路が発達の段階で損なわれているらしいが、その部位や機序は仮説の域を出ないという。

脳の部位説:機能不全が疑われる脳の部位は3箇所ある。

①右前頭前皮質:注意をそらさずに我慢すること、自意識や時間の意識に関連

②大脳基底核の尾状核と淡蒼球:反射的な反応を抑える、皮質領域への神経入力を調節する

③小脳虫部:動機付け

◎話題を変えるが、「ADHD発症しやすい家庭の傾向」という比較的新しい研究も有る。

 米国・UNM Health SciencesCenterのAndrew S. Rowland氏らは、6~14歳の学生サンプルを用いて、社会経済的地位(socioeconomic status:SES)や親のADHD歴によって有症率が異なるかを評価した。(Journal of child psychology and psychiatry誌2017年8月12日号オンライン出版)

 米国・ノースカロライナ州の子供を対象に1,160人の親と教師の評価を組み合わせて、ADHD状態を判定した。

 主な結果は以下のとおり。

・家庭の所得と親のADHD診断歴との間に、相互の影響が認められた(p=0.016)。

・社会経済的地位(SES)の傾度は、親にADHD歴がない家庭で強く、親がADHD歴を持つ子供ではより弱かった。

・親にADHD診断歴がない子供のうち、低所得家庭の子供のADHDの割合は、共変量で調整した後、高所得家庭の子供の6.2倍であった。

親がADHD歴を有する子供のADHDのオッズ比は、親にADHD歴がない高所得家庭の子供の10倍以上であったが、高所得と低所得家庭の子供間の社会経済的地位(SES)傾度はそれほど顕著ではなかった(オッズ比:1.4、95%CI:0.6~3.5)。

 著者らは「社会経済的地位(SES)と親のADHD歴はそれぞれ、子供のADHDに対する強力なリスク因子であり、相互に影響を及ぼす低い社会経済的地位(SES)の家庭の子供や親がADHD歴を有する子供については、早期の症状発見と早期介入が検討されるべきである」としていた。原著論文:Rowland AS, et al. JChild Psychol Psychiatry. 2018. 

Categorised in: 小児の眼科疾患