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2018年4月27日

9806:小児に見られる睫毛内反の治療スタンス

65dd8500-9346-42b8-86e5-7e395805087f小児に見られる睫毛内反を説明してみます。(老人は別項目です。)

野田らはBr J Ophthalmolの1989、73:126-127に日本人小児の睫毛内反の発生率および症状という論文を発表しています。(野田、早坂、瀬戸川)それによれば、睫毛内反(Epiblepharon)は、一般に日本の乳児に発生し、年齢とともに自発的に消える傾向があります。著者は、 3ヶ月~18歳の4449人の日本人の小児で、角膜に触れたまつ毛の付いた皮膚の有無を調べました。 この状態は441例(約10%)で明らかでした。 内反症の発生率は年齢とともに減少したましたが、高校生の約2%は依然としてこの状態を有していたとしています。男女差は見られず、下瞼の内反症は一般に左右対称でした。症状は殆どの症例では軽度であったとしています。

これが、私が基本的に小児の内反症手術を急がせない根拠なのですが、角膜への摩擦が比較的強くて、それを手術で補正するとすれば、次のような方法が用いられます。
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図は兵庫医大の中内と三村の論文(⇒リンク)に示された術前術後の写真です。上の図では下瞼の睫毛(まつ毛)がたっぷりした皮膚に押されて角膜の中央から下の部分に触れています。下は皮膚を少し切除することで、それが解消されたという図です。このほかに、より簡易な方法として、下瞼の裏から糸を入れ皮膚側でまつ毛の生え際に向かう糸を3本ほど埋める埋没法も行われます。埋没法は良く行われる手技なのですが、その図はネットを探しても多くはありません。この図は桜木町眼科林先生のホームページから借用します。

6bff83324a178a91dcb14fb8d46df20aいずれにしても、手術はそれほど難易度の高いものではないのですが、実際にそれを幼稚園児や小学生に行うとなると問題となる点があります。
それは、子供の協力に期待することはできず、全身麻酔下でないとそれは施行できないという点です。全身麻酔をかけるとなると、それなりの大きな施設で、しかも手術室や麻酔科医との時間調整などに数カ月はかかることになります。

という訳で、多くの診療施設では小児へのこの手術を延期または避けようとする傾向が有ると思われます。もし、本当に角膜障害が強くてこの手術を必要とするならば、それを得意とする小児眼科ないし眼形成専門の医師がいる特定の施設を選んで患者さんを紹介する必要があるでしょう。

なお、小児眼科学会ホームページ(➡リンクwww.japo-web.jp/info_ippan_page.php?id=page02)にも、この疾患に対する治療スタンスが分かり易く記載されています。ご参照ください。


Categorised in: 小児の眼科疾患