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2018年9月20日

5108 揺さぶられっ子症候群(shaken baby syndrome;SBS)とは

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神経眼科医清澤のコメント:本日この疾患SBSに付き人に聞かれることが有りました。この記事は行方不明かと思いましたが、5108の記事は此処に有りました。質問者は、動画のついたこの記事の存在には気づいてはいなかったようですが、この記事の方がSBSについてはより詳しいのです。元記事は2014年でした。(2018、9,20頻度などを追記しました。)

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 平形教授の講義と、一昨年の東先生の講義でも出てきた「揺さぶられっ子症候群(shaken baby syndrome)を眼の症状(網膜出血)に注目して復習しておきましょう。

子供に対する暴力で子供が傷つけられる場合、多発性の骨折や脳損傷が思い浮かべられますが、網膜出血がその発見の発端となる場合が少なからずあります。眼科医は両眼性の眼底出血を乳児で見た場合などにはその可能性を考え、専門的な病院に引き継ぐなど子供を保護する対策に向かう必要があるでしょう。

(上のNEJMの症例は: 生後5月、固視はあるが指標を追従しない、瞳孔反応遅延、RAPDなし。外眼部、細隙灯所見正常。眼圧12mmHg.眼底;乳頭正常、後極部の多発性網膜及び網膜前出血。(asterisk) . 乳頭を囲む網膜の堤防状の変化が左眼底にあって(arrows)揺さぶられっ子症候群と診断された.)

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この児童虐待症候群child abuseは、被殴打児症候群battered child syndroome, 乳幼児ゆさぶられ症候群shaken baby syndromeなどとも呼ばれます

まず、揺さぶられっ子症候群(ウィキペディアから抜粋)

揺さぶられっ子症候群(ゆさぶられっこしょうこうぐん、Shaken Baby Syndrome、SBS)とは、概ね生後6か月以内の新生児や乳児の体を過度に揺することで発生する内出血などの外傷。児童虐待ともなりうるもので、乳児揺さぶり症候群ともいう。

概要

揺さぶられっ子症候群は、1972年にJ.Caffeyにより米国で症例が報告され、その後の1980年代に児童虐待の一つの結果(指標)とみなされるようになった。英語では Shaken Baby Syndrome (シェイクンベイビーシンドローム)と呼ばれ、「シェイク」の言葉からイメージされる通り、激しく揺すられることで発生する諸症状である。

この症候群では、まず欧米における児童の叱責の仕方が一つの要因と考えられている。欧米(主に米国)では躾に反した児童への叱り方として、叩いたり殴ったりという直接的な暴力は忌避される傾向にある。このため直接的な打撲を伴わず、また苦痛よりも精神的に強く印象付けられると考えられた「両肩を掴んで、体を前後に揺する(一種の恫喝)」が行われる。

ある程度に体が成長した児童では、多少揺すられた程度では、反射的に体をこわばらせるため、そう簡単に怪我をすることはないが、同じことを首が据わっておらず頭蓋骨も隙間の多い新生児で行うと、眼底出血や頭蓋内出血(クモ膜下出血など)・脳挫傷を伴う致命的な怪我を負わせかねない。また身体の組織が成長途上で柔らかく力も弱い幼児でも、過度に揺すられると程度の差こそあれ問題となる場合もあるとみなされる。

「乳児揺さぶられ症候群」が発生しうる状況

具体的な運動に関しては、以下のような事例が報告されている。
頭を2秒間に5~6回揺する
体を10秒間に5~6回の割合で激しく揺する
体を20分間左右に揺する
「高い高い」で空中に投げ上げてキャッチを繰り返す
両手で抱え、急激に持ち上げゆっくり下ろすことを繰り返す
揺り篭に入れたまま、6歳の兄が大きく・早く何度も揺すった

新生児であれ、腕で首を支えた状態で抱きかかえてゆっくりと揺らされたり、揺り篭にいれ適度に揺すられた程度では生じにくい。

そこで、被虐待児症候群‥‥再訪 Galleno H(Oppenheim WL)の論文の抄録部です。。

1977年と1979年の間の期間に、カリフォルニア大学ロサンジェルス校で児童虐待の調査のために照会された419人の患者のうち、66人は、結局暴力的な虐待の犠牲者として臨床的に確認された;この他に106人はネグレクトないし性的暴行のいずれかの犠牲者として分類された。顔や体幹および尻の上の線形の傷を特徴とする軟部組織の傷は、その診断で強調され、子どもの82%の中にあった。それは熱による外傷の20%にも合併していた。子どもの半数以上は軟部組織の傷だけを単独で示していた。
 さらに、ロサンジェルスの整形外科病院グループと一緒にこの子どもたちに生じる一連の89人の骨折を、頻度、タイプおよびその特性に関して分析した。「段階の異なる3つの骨折」の古い格言は、児童虐待の診断での主要なキャッチフレーズとしては重視すべきではない。子ども犠牲者の見地からは、修復された骨折は、臨床経過では非常に遅い段階で見つかる物である。その代わりに、例えば両側性であるとか、骨折の骨端でのパターン、骨端を超えた傷、という様な、骨折の特定の性質がより重点を置かれるべきである、児童虐待対応チームの概念の有効性は、反復された乱打の割合が50%から9%にこのシリーズで減少させらされたという点で実証された。

追記:文献におけるゆさぶられっこ症候群での網膜出血の頻度は不詳だったので、この追記の為に調査しました。

Reference;Kivlin JD, Simons KB, Lazoritz S, et al. Shaken baby syndrome. Ophthalmology. 2000;107:1246-1254.

この研究では、研究者らは、3歳未満の123人の虐待による硬膜下血腫を経験した子供の記録を調べた。すべての患者は、1987年1月から1998年12月までウィスコンシン州子供病院に入院した。入院中および退院後の眼検査の臨床的特徴ならびに死亡した患者の組織病理学的観察を、医療記録から検索し、統計学的に分析した。主なアウトカム指標は、初期検査、眼底所見、最終視力、生存者の神経学的結果および死亡時の視覚および瞳孔反応であった。
全体として、子供の90%が眼科的評価を受けていた。検査した小児の83%において網膜出血が検出された。 「以前に発表されたシリーズでは、この割合は50%から100%の範囲であった」と小児科の眼科医Kivlin博士は述べる。しかし、このパーセンテージは、他の研究がどのように患者を定義したかに依存する。例えば、いくつかの研究では、患者に登録するのに網膜出血が必要であった。この研究では網膜出血は患者の85%において両側性であった。一方、内境界膜下のドーム型出血は一般的ではなかった。;以下略。

 

Categorised in: 小児の眼科疾患