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2021年9月4日

13080:脊髄小脳変性症の複視に斜視手術の適応はあるか?と或る高名な神経内科医に聞かれました。

久しぶりにお電話をくださったある高名な神経内科医の先生に上の事を問われました。実は、大学在籍中にも彼からは同様の質問をされたことがあり、気にかかっていた質問でした。この際、このブログにも採録させていただきましょう。

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お返事: 差出人: 清澤源弘 日付: 金曜日, 2021年9月3日 15:25

今後ともよろしくお願いいたします。 脊髄小脳変性症に斜視手をするという対応はあまり聞きません。複雑な組合わせでの斜 視であり、特定の筋の麻痺ではないので、短縮や後転手術をしても喜ばれないからであ ろうかと思います。

①先ずプリズム眼鏡の処方を試し、

②それで満足しなくてかつ複視 が苦しければ、レンズにオクル―ダーという曇り膜を張ることによって、片目で見させ る。

③はっきりとした外転神経麻痺などの麻痺筋が判る形であれば斜視手術ができる場 合があります。それならば斜視専門医あてにご相談ください。

ーーーー追伸ーーーー

脊髄小脳変性症に斜視手術の適応はあまり聞きません。複雑な組合わせでの斜視であり 、特定の筋の明白な麻痺ではないので、短縮や後転手術をしても喜ばれないからであろ うかと思います。

①先ずプリズム眼鏡の処方を試し、

②それで満足しなくてかつ複視が 苦しければ、レンズにオクル―ダーという曇り膜を張り片目で見させる。

③はっきりと した外転神経麻痺などの麻痺筋が判る形であれば斜視手術ができる場合があります。そ れならば、(xx教授など)あてにご相談ください。今一度、もう少し考 えて見ます。ーーー

以前に相談された例への返事がわたくしのブログにありました、 ーーーーーー

601 脊髄小脳変性症3型( MJD, Machado-Joseph disease, SCA3)の眼症状 脊髄小脳変性症3型( MJD, Machado-Joseph disease, SCA3)の眼症状についての質問を 33歳の女性からいただきました。

ご質問:複視でしょうか? はじめまして。30代女性です。 小学校低学年から視力が低下し、現在は強度の近視と乱視があります。普段は眼鏡で矯正していますが、時々使い捨てのコンタクトレンズを使用することもあります。ドライ アイ気味で、まばたきが少なくて浅いので注意するように言われています。 数年前から疲れてくると、両眼で見た際にものが二重に見えるような気がしていたので すが、最近(半年程)その症状が強くなってきたので気になっています。 脊髄小脳変性症(SCA3, MJD)のため、神経内科に通っているのですが、そちらで見て頂 いた限りでは眼球の運動に顕著な異常は見られないとのことでした。ちなみにMJDの症状は未だ軽度で、多少ふらつく程度です。 現在の眼の症状は、主に夕方以降、両眼視の際に0.5~数m離れたところのもの像がぶれ て見えるという感じです。ごく近くのものは比較的大丈夫です。症状は頭を左に傾けて いるときの方が顕著な気がします。また、症状が出ているときは、左目の瞼が少し下が っているとも言われます。無理矢理目を開くと改善するようです。眩暈がするような感覚のため、片目をつぶっていることも多いです。 これは、MJDの症状として現れうるものでしょうか。 それとも全く別の原因を考えた方がよいのでしょうか。 先生のご意見をお伺いできれば幸いです。よろしくお願いいたします。

お答え; それは不安をお感じの事でしょう。病気の細分類までご存知という事は正確な診断がす でに調べられているという事だと思います。 脊髄小脳変性症患者のすべてに眼球運動の障害が合併するわけではありませんがあなた の場合にはそれが少し起きているように私には考えられます。

脊髄小脳変性症3型( MJD, Machado-Joseph disease, SCA3)の診断を書いた文書を翻訳 したページ(http://grj.umin.jp/grj/sca3.htm)を、眼の症状を中心に見直して見ますと、脊髄小脳変性症3型の初発症状は歩行障害,発語困難,動作の不器用さ(clumsin ess)であり、しばしば視力障害や複視を伴うとされています。 また進行性の小脳失調,深部腱反射の亢進,眼振,構音障害は病初期に見られるとされていて、もし眼振があれば、本人には世の中が揺れる動揺視が自覚されるでしょう。 じっと凝視するような眼差し(staring appearance to the eyes、びっくりまなこ)も延髄小脳疾患に特徴的です。 病気が進行すると,衝動性の眼球運動(眼球の運動の内の早い成分)は徐々に緩徐とな り,眼球運動障害が出現してきます。眼球運動障害は当初は上方視の制限ですが、それ だけなら本人が困ることは余り無いでしょう。眼球の共同運動が障害されて複視が生ず るということです。 後には、ジストニア姿勢等と並んで外眼筋麻痺や眼瞼痙攣が見られるとの記載が有ります。実際に私が眼瞼痙攣で治療している患者さんにも脊髄小脳変性症の患者さんがいま す。 さて、ではこの複視に私がどう対処するかという事ですが、私ならヘスチャート(清澤眼科医院通信に説明有り;213 眼球運動、眼筋麻痺(複視)を記録するヘスチャートHess chartとは?)を測定して、どの筋がどの程度に弱まっているのかを正確に見極めた上 で、プリズム眼鏡の作成が必要かどうかを調べるのがよさそうに思います。ドライアイ が強ければ涙点プラグ等で涙を増やす方法の有用性も検討できるでしょう。なお、以前に私は”小脳性の眼球運動障害( 矩形波眼球運動 眼ジスメトリア 眼球粗動 オプソク ロヌス Bruns眼振 )”https://www.kiyosawa.or.jp/wp/archives/50735490.html を本ブログ上にまとめて有りますが、この質問者の脊髄小脳変性症3型における眼症状 の説明にはむしろマッチしては居ないようです。

Categorised in: 神経眼科