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2021年8月7日

13029:傍正中橋網様体 Paramedian pontine reticular formation:PPRF症候群とは

神経眼科医清澤のコメント:今日、他病院の外来応援で、PPRFに病変がかかっていると思われる以前発症した橋出血の症例を見ました。そこでPPRFに関するwikipediaの記載を復習してみました。患者さんは右目も左目も正中を超えて右には動きません。輻輳で左目は少し内転できているようです。瞳孔と眼瞼の動きは正常。病巣は「橋の出血であった」という伝聞情報のみです。神経内科の先生からの返事は外転神経麻痺。その診断が出されるには理由がありました。(ここ2日別件もあって、更新できませんでしたが、下書は数編書いていました。)

ご注意:次の図と違って図の下が患者の前方になっています。

傍正中橋網様体 (ウィキペディアから)
顔面神経丘の高さでの橋断面 Pons section at facial colliculus.png
(PPRFはラベル付けされていませんが、外転神経核の近くに領域が表示されています)

PPRFまたはparaabducens核としても知られる傍正中橋網様体は、橋の中心に明確に定義された境界のない脳領域である橋網様体の一部です。それは眼球運動、特に水平視線とサッカードの調整に関与しています。
1, 入力、出力、および機能
PPRFは、内側縦束(MLF)の前方および外側に位置しています。それは、背側束を介して上丘から、および前頭眼野を介して前頭眼野から入力を受け取ります。吻側PPRFはおそらく垂直サッカードを調整します。尾側PPRFは水平サッカードの発生器である可能性があります。特に、PPRFの興奮性バーストニューロン(EBN)の活動は、サッカード(衝動性眼球運動)を開始する「パルス」運動を生成します。水平サッカードの場合、「パルス」情報は軸索線維を介して外転神経核に伝達され、横方向の眼球運動を開始します。水平サッカード中の目の角速度は、毎秒100〜700度の範囲です。より大きなサッカードはより速いパルスを持っています。 PPRFはこの決定に関与しています。

2、病変
PPRFの片側性病変は特徴的な所見をもたらす

・現在の視線の位置に関係なく、病変の側に向けられる水平サッカードの喪失
・反対側の視線のずれ(初期の脳卒中などの急性病変のみ)
・病変の側から目をそらしたときの視線誘発性外側眼振
・両側性病変は、水平注視麻痺と垂直サッカードの減速を引き起こします

https://blog.goo.ne.jp/pkcdelta/e/f642284caa4dca3856593a9105632cb4

清澤の追記:ここには記載されてありませんが外転神経核には①外転神経の運動ニューロンと②対側の動眼神経の内直筋核を結ぶためのインターニューロンが含まれているために、純粋な片側の外転神経核の病変でもPPRFと同等に片側への注視麻痺をきたします。また、上図で分かるように外転神経核の周りを顔面神経が回っているので、片側の外転神経核に限局した梗塞では同側の顔面神経にも麻痺を起こすとされています。



Categorised in: 神経眼科