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2021年7月2日

12965:幼小児頭部外傷の特殊性 診断と治療方針 中村紀夫他:書籍復刻版をいただきました。

:小児脳神経外科医である藤原一枝先生は、1970年に発行された「幼小児頭部外傷の特殊性 診断と治療方針 中村紀夫、平川公義、橋爪敬三」(大日本製薬 非売品)という古典的な本を2021年1月に私家版として復刻されました。本日その一冊をお届けいただきました。

著者のおひとりである中村紀夫先生による「中村Ⅰ型」の概念、は「家庭内で起こる軽微な外傷から発生する乳幼児の急性硬膜下血腫は」世界に先駆けた発見であり、1965年に論文報告されています。しかし、1990年代頃から、shaken baby syndrome(SBS)やabusive head trauma (AHT)と中村Ⅰ型が混同されるようになり、中村先生は「困惑して」おられたという事です。そして中村先生は2020年1月27日に永眠されました。

最近、このようなケースが裁判で扱われ、親と乳児が不当に隔離されるという事象が多く起きているという話を聞きます。現在に至るまで、中村Ⅰ型と思われる小児外傷の症例がabusive head trauma (AHT)であるかどうかの判断は容易ではなく、多くの悲劇を生んでいます。最近の裁判では、この両者が似た病態を呈することが少しずつ認識され、子供を早期に親元に戻すという判例が続いていると伺います。最近は、abusive head trauma (AHT)を重視する傾向のある小児科医だけでなく、小児脳外科医にも参考人としてその慢性硬膜下血種の症例がshaken baby syndrome(SBS)やabusive head trauma (AHT)であるか、普通の転倒外傷なのかを判断する場に参考人として呼ばれるようになったと、藤原先生から本日は伺いました。

私が神経眼科の道に入りましたのが1978年。そのころからCTスキャンは臨床の場に普及し始め、その後多くのMRIの普及も相俟って小児脳神経外科や小児神経眼科の領域は大きく変貌してゆきました。眼科でも先輩がshaken baby syndrome(SBS)の症例を見ているのをみました。

現在も藤原先生は、藤原先生は20例を超える中村Ⅰ型慢性硬膜下血種症例の眼底写真を持って私を尋ねられ、小児の眼底に見られる網膜出血の眼底所見から、shaken baby syndrome(SBS)ないしabusive head trauma (AHT)と、軽い頭部外傷に続発する中村Ⅰ型の慢性硬膜下出血の鑑別が出来ないものか?という疑問を私に問いかけられます。これからその疑問に答えられるものかどうか?もう一度勉強してみるつもりです。

追記: 下の論文は、2008年ですが、再度検索してみると2018-20年にかけて多くのOCT所見の論文が出ています。それを読み集めれば、揺さぶられっこ症候群の眼底所見と、中村Ⅰ型慢性高幕下血種の特徴の違いが見えてくるかもしれません。特に目に衝撃は加わったことによる黄斑部における網膜硝子体牽引が揺さぶられっこ症候群に見られ、静かな脳圧亢進の眼底症状が中村Ⅰ型に見られると言う事かもしれません。子供のOCTをとることは容易ではないでしょうけれど。

Categorised in: 神経眼科