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2021年4月15日

12788:「視床感作は局所的な痛みを広範囲の異痛症に変える」という論文紹介

アロディニア(英: allodynia)とは、「通常では疼痛をもたらさない微小刺激が、すべて疼痛としてとても痛く認識される感覚異常のことである。 異痛症とも言う。」とされる。今月の日眼会誌巻頭言では「visual snow syndrome の日本人21例の検討」が掲載されており、これに関連する巻頭言として「中枢性感作と眼症状」を気賀沢一輝先生が書いておられる。気賀沢先生は多くのことに言及しておられるが、CS(中枢性感作)に注目し、感覚過敏を誘発する神経信号の増幅過程病的な生理現象で増幅された感覚を持続的に伝達された脳は、不快感情、過度な注意の集中、否定的認知、外傷体験の想起、社会的不適応により難治化するという。中枢性感作症候群CSSには片頭痛、筋緊張性頭痛、慢性疼痛、線維筋痛症、慢性疲労症候群、化学物質過敏症、過敏性腸症候群、その他が挙げられ、頭部外傷や、PTSDなどもリスク因子だという。気賀沢によれば、片頭痛の発作間欠期に見られるvisual snow syndromeが注目を集めているという。Bursteinらは片頭痛において高率に発生する皮膚のアロディニアが三叉神経領域にとどまらず全身に波及している症例がある事に注目し、CS(中枢性感作は視床においても生じていることを証明した。気賀沢先生は一般診療で、原因不明の眼痛、違和感、襲名を訴える患者を前にしたとき、CSSないしそれに準ずる状態を考えてみることを勧めている。

では、今日はその巻頭言の引用文献の中から「視床感作は局所的な痛みを広範囲の異痛症に変える」という論文を紹介してみよう。

Ann Neurol. 2010 Jul;68:81-91. doi: 10.1002/ana.21994の抄録を採録
Thalamic sensitization transforms localized pain into widespread allodynia、Rami Burstein ほか

視床感作は局所的な痛みを広範囲の異痛症に変える
Rami Burstein 1、Moshe Jakubowski、Esther Garcia-Nicas、Vanessa Kainz、Zahid Bajwa、Richard Hargreaves、Lino Becerra、David Borsook
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PMID:20582997 PMCID:PMC2930514 DOI:10.1002 / ana.21994
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概要
目的:限局性の体性痛は、痛みを伴わない皮膚刺激および痛みを伴う皮膚刺激(それぞれ異痛症および痛覚過敏)に対する広範な過敏症に発展する可能性があります。片頭痛発作中の頭痛の全身異痛症/痛覚過敏への変換は、頭蓋髄膜および頭蓋外皮膚からの収束感覚インパルスを処理する視床ニューロンの感作によって媒介されると仮定した。

方法:脳外異痛症は、ラットの視床三叉神経血管ニューロンの単一ユニット記録と、頭蓋外異痛症を示す患者の機能的磁気共鳴画像法(fMRI)スキャンに登録された血中酸素化レベル依存(BOLD)信号のコントラスト分析を使用して評価されました。

結果:頭蓋硬膜の化学的刺激によって活性化および感作されたラット後視床の感覚ニューロンは、足の無害(ブラシ、圧力)および有害(ピンチ、熱)刺激に対して長期にわたる過興奮を示した。ベースラインでニューロン発火を引き起こさなかった無害な頭外皮膚刺激(例えば、ブラシ)は、感作が確立された後、ニューロン発火の大きな発作を誘発するのに有害刺激(例えば、ピンチ)と同じくらい効果的になりました。片頭痛患者では、BOLD信号のfMRI評価により、手の甲の皮膚でのブラシと熱刺激が、同じ患者の場合に登録された対応する反応よりも、頭蓋外異痛を伴う片頭痛発作を受けた被験者の後部視床でより大きなBOLD反応を生じたことが示されました。片頭痛や異痛症はありませんでした。

解釈:片頭痛の場所を超えたマルチモーダル異痛症と痛覚過敏の広がりは、頭皮、顔、体、手足の皮膚からの感覚情報とともに頭蓋髄膜からの侵害受容情報を処理する感作視床ニューロンによって媒介されることを提案します。

Categorised in: 神経眼科