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2021年3月29日

12742:神経眼科疾患における新しい薬物療法 三村治:記事紹介

日本の眼科の3号の眼科における新しい薬物療法が今月のテーマです。分かりやすい臨床講座3編の中から三村治先生の「神経眼科疾患における新しい薬物療法」の記事を抄出して紹介します。

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要約:近年神経眼科領域においても難治性視神経炎および重症筋無力症に対して、免疫抑制療法を中心に新しい薬物療法が認可されている。難治性視神経炎では眼科医単独でもできる大量免疫グロブリン静注療法が、再発例には脳神経内科主体でのエクリズマブ静注・サトラリズマブ皮下注が、難治性重症筋無力症(myasthenia gravis: MG)では従来のタクロリムス内服に加えて、エクリズマブが承認された。いずれも治療対象に厳しい条件が課せられ、合併症にも注意が必要であるが、両疾患ともまず眼科医を受診することから私たちはこれらの薬剤に関して十分理解しておくことが必要である。

  1. 難治性視神経炎に対するグロブリン大量静注療法:

抗アクアポリン4(AQP4)抗体の関与する視神経炎(NMOSD)の22%、抗MOG抗体の関与する視神経炎の5%、抗体両者陰性の8%はそれぞれステロイドパルス(SP)が効果不十分な難治性の視神経炎である。脳神経内科では追加治療として血液浄化療法が一般に用いられている。緊急に血液浄化療法を行うことが困難であるか、ステロイドパルス両方が実施不能な患者に対して(眼科単独で)免疫グロブリン大量静注療法(IVIG)がある。2019年にステロイドパルス無効例の視神経炎に対する効能・効果の追加が承認された。副作用に対し、投与後慎重な観察が必要。

Ⅱ、NMOSD再発予防ン対するエクリズマブ静注療法

NMOSDの約3分の2の患者で、自己の網膜神経節細胞など目や脳脊髄の特定の細胞上に存在するAQP4に対し自己抗体を産生する。補体経路活性化で視神経や脊髄で脱髄や神経細胞死を引き起こす。C5aやC5bが炎症促進や細胞誘拐作用を持つ。エクリズマブ(ソリリス®)はモノクロナル抗体薬で過剰な補体活性化経路を抑制する。治験では免疫抑制剤に加えて用いると年間再発率を減らせる。

Ⅲ、NMOSD再発予防に対するサトラリズマブ皮下注射療法

サイトカインの中でもIL-6による炎症反応で抗AQP4抗体が過剰に生産され、NMOSDを発症する。サトラリズマブ(エンスプリング®)はトリシズマブ(アクテムラ®)を改良したもの。AQP4-IgG陽性患者の再発はサトラリズマブ群11%、偽薬群43%であった。2つの国際共同治験がなされて、抗AQP4抗体陽性患者に限定して認可された。サトラリズマブ投与は原則脳神経内科の管理下で行うべきである。

Ⅳ、眼筋型重症筋無力症(MG)に対するタクロリムス内服療法

重症筋無力症の多くは眼瞼下垂や斜視といった眼症状で発症する。高齢者で眼筋型のMGが多い。第一選択はメスチノン®などの抗コリンエステラーゼ薬内服が用いられるが、ムスカリン様作用の副作用で多くはステロイド内服に変更になる。離脱困難などのために、タクロリムス水和物(プログラフ®)が認可され、眼筋型MGでも使われる。(別表にステロイド投与継続が困難な患者の眼筋型MGの治療方針)

Ⅴ、全身型MGに対するエクリズマブ静注療法

漸進型MGno治療第一選択は自己抗体の賛成を抑制するステロイド薬。第2選択はタクロリムス、シクロスポリンなどの免疫抑制剤。第3選択は免疫グロブリン静注療法または血漿交換療法。この第3選択でも治療が奏功しない難治性MGにエクリズマブが認可された。エクリズマブは、補体C5to特異的に結合し、過剰な補体活性化経路を抑制し、補体C5aやC5bによる炎症反応や神経筋接合部の筋肉側の細胞破壊を防ぐ。認可の対象は抗アセチルコリン受容体抗体陽性で免疫グロブリン大量静注療法または血液浄化療法による管理が困難な場合に限られる。

Ⅵ、海外でのさらなる免疫抑制剤研究の現状。。

日本では、サトリズマブとエクリズマブのみを使える。このほかにリツキシマブ(CD-20に対するモノクロナル抗体)は年間再発率1.7を0.19に減らせる。イネビリズマブ(抗CD-19抑制薬でB細胞欠失体)も研究が進む。

Categorised in: 神経眼科