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2021年2月6日

12640:強度近視眼の白内障術後に見られた単眼性大視症と両眼性複視の合併について?質問箱から、、

清澤のコメント:(おかげさまで、読者数が一月に入って少しづつ増えています。私の主な興味は社会と経済分野なのですが、ブログの先頭記事は行儀よく眼科の記事にしてあります。ページ右下の清澤眼科通信で最近の記事をざっと眺めていただけると幸甚です。)

質問箱への質問を歓迎しています。質問をお寄せください。(誰かが質問を投稿すると、私が答えるまで次の質問は入れられない設定です。同一人物からの重ねての質問には答えかねます。)

オリーブさんからの質問へのお答え

清澤先生 ①2019年11月末頃右眼で横書き文字列が僅か波打つ様に見え始め、黄斑前膜と診断、②2020年4月飛蚊症と光視を同時に認識。術前は、-10Dの強度近視、エミリー数値1−2、羞明があり、2020年7月末に近方33cm焦点で白内障手術、③9月末に右眼が左眼の1.5倍位大きく見える大視症、正面と右斜め上を見て信号が縦に2つにブレる両眼性複視、④右瞼又は眼球が上がりづらく感じ上下の斜視があると診断。⑤大視症の原因を調べると黄斑前膜のある患者が白内障の手術のみした場合、隠れていた大視症が強く出ることありと書かれ、医学事典では黄斑部の視細胞の牽引や位置を調べる必要あり。⑥又、副交感神経刺激症状を引き起こす薬物により大視症も起こる、一過性の事が多く、一般的に予後は良いと書かれています。眼底検査時の散瞳薬ミドリンPやミドリンMに含まれるトロピカミドも副交感神経遮断薬ですが、大視症を引き起こす可能性のある薬にリストされていますでしょうか。⑦散瞳薬での眼底検査は有効である事承知しておりますが、20代の頃より食器用洗剤、口紅、歯磨き粉に含まれる界面活性剤(石鹸)での皮膚粘膜荒れを経験し、落ち着くまでに半年から1年かかります。⑧白内障術後のネバナック点眼液でも黄色い目脂と充血、右眼の白もやけが2時間から半日とれず、点眼3ヶ月目に、角膜上皮障害には慎重投与の薬だとわかり、副作用:角膜沈殿物、霧視、目脂はドライアイの私の症状と同じでした。⑨現在はジクアスのみ点眼。リノロサール、ミドリンPにも界面活性剤系のベンザルコニウム塩化物が含まれ、術前の2019年から12回の散瞳検査と術後の点眼で目に負担をかけ、またベンザルコニウムは交感神経刺激、トロピカミドは副交感神経を遮断し、動眼神経にも作用し瞼や瞳孔の大きさに影響して、大視や複視が起きている可能性はありますか。⑩又脳外科の医師のサイトでは、耳方向に眼球が動きずらく外転神経麻痺の場合は、脳腫瘍であることやや多いとの事ですが、清澤先生の目視の検査で動眼、滑車、外転神経麻痺,斜視などの検査は可能でしょうか。⑪瞼が上がりづらいのは、遠近眼鏡をかけた時に気づいたため、乱視の軸ズレだと思っておりましたが、眼鏡を外しても右斜め上の対象物は、少しブレます。長くなり大変申し訳ありません。⑫必要な検査は、どのような病院の何科で、どのような検査をすべきかお教えください。宜しくお願い致します。

清澤眼科医院の見解

オリーブさん ①黄斑前膜では網膜が中央に引き寄せられるので変視症が現れます。
②飛蚊症:後部硝子体剥離で眼内の混濁が網膜に影を落とします。光視:網膜が硝子体による牽引を受けると光のない状況で光が見える光視症を生じます。術前は強度の近視です。白内障手術では術前が-10Dと強い近視だったから、仕上がり値でー3.0D程度の近視に仕上げたようです。これは普通の選択です。
③術後に網膜のゆがみに伴う大視症と、眼球運動の左右ずれによる両眼複視を呼んだ、これらは別々の事象です。
④上下の斜視、複視:後天性の何かの原因による眼筋麻痺(眼球運動の調節にかかわる神経のマヒを含む)なのか?それとも以前からあった斜視を融像し合わせてみることができなくなった斜視なのか考えますが、強度近視では眼球の軸が長くて、物理的に眼球運動が制限されるサギングアイ症候群(眼窩窮屈症候群と若倉は読んでいる)という斜視をよく見ます。
⑤大視症の原因:黄斑前膜のある患者が白内障の手術のみした場合視力向上で隠れていた大視症が強く出ることもある。それも黄斑部の牽引が原因です。
⑥交感神経刺激症状を引き起こす薬物(アドレナリンなど)による大視症:聞いたことがないのでこの際にはあまり考えなくてよさそうです。
また、眼底検査時の散瞳薬ミドリンPやミドリンMに含まれるのはトロピカミドで、これはムスカリン性アセチルコリン阻害薬(副交感神経遮断薬)ですが、中枢性に大視症を引き起こす可能性はありません。
⑦散瞳薬使用での眼底検査は基本的には必要ですが、薬剤過敏体質なら省略も可能。
⑧白内障術後のネバナック点眼液は:術後黄斑浮腫を予防する抗炎症作用の薬剤。角膜上皮障害は様々な原因で起き一時的に角膜混濁の為に視力を下げることが有る。
⑨ジクアス点眼:涙液の分泌を増やして角膜上皮障害を改善させる。界面活性剤系のベンザルコニウム塩化物はほとんどの点眼液に含まれる。しかし、これらは大視症や複視の原因にはならないでしょう。
⑩外転神経麻痺の場合には、側方視時に複視が見られるというフレーズは正しいが、どうもそれらしくもない。眼球運動はヘス検査で見ます。動眼、滑車、外転神経麻痺、斜視などを検出できます。
⑪瞼が上がりづらいのは、動眼神経麻痺または交感神経の麻痺でも見られますが、その他の原因もあります。
⑫必要な検査は、先ず眼位を見るプリズムカバーテスト。正確に見たいならば、ヘスチャートでしょうか?


結論:強度近視が有る白内障手術後の患者さんが、①眼球運動の不調と②大視症を示したならば、①強度近視で眼軸長が長すぎて眼球運動制限を示すsagging eye syndrome(眼窩窮屈症候群)に②強度近視で網膜に変化を起こした強度近視黄斑症(網膜前膜もその一部)の合併したものが最も考えられそうです。

まず診察の初日に1)眼球運動のHESSチャート記録と2)視野検査を行い、3)OCT5ラインズ検査で網膜黄斑付近の変形を見る。3)眼筋麻痺に関連しそうな採血検査をさらに追加で出す、4)脳および眼窩内のMRI画像検査を外注する。これらの結果が出そろう2週後に再度診察して結論をお話しします。

Categorised in: 神経眼科