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2020年11月9日

12421:ストレスや不安で目に異変 患者増え、各地に心療眼科:日経記事紹介

清澤のコメント:少し前のヤフーニュースからの記事ですが、「心療眼科」と「目と心の健康相談室」に関して紹介している記事なのでここにも採録いたします。「目と心の健康相談室」の助けを借りるのが必要な成人症例は眼瞼痙攣など羞明や眼痛を主訴とするものに多く見られます。「目と心の健康相談室」理事長の荒川看護師は、火曜午前と木曜午前に清澤眼科にも在籍して、特に深刻な眼の悩みの相談に相対で対応してくださっています。眼痛や頭痛は火曜午前に神経内科医浅見(医科歯科大学神経内科所属)が神経内科専門外来で対応し、鎮痛剤の処方なども適切に行っています。また、小児の心因性視覚障害は学校から視力低下の連絡紙を持たされて来院する児童等の中に散見されます。当医院では臨床心理士のカウンセリングで対応しており、月一度のカウンセリングで、若倉先生がおっしゃるように数か月以内には解消することが多いです。臨床心理士の小野木は隔週火曜午後にカウンセリングをしています。

  ―――記事採録――――-

8/29(土) 7:47配信 日本経済新聞NIKKEI STYLE

https://news.yahoo.co.jp/articles/d1c3e864c5d13e52701d7f576f216e40716ccc05?page=1

図(眼と心の健康相談室荒川) 患者からの電話相談に応じる荒川さん(東京都町田市の「目と心の健康相談室」)

ストレスなど心理的要因で視力が落ちたり目に痛みを感じたりする心因性(非器質的)視覚障害が小児を中心に増えている。眼科医らが治療法を研究する会を立ち上げたほか、「心療眼科」と銘打った専門外来や相談窓口も登場。「目の心身症」への対応が進みつつある。

「多くの眼科医は見るという行為に脳の機能が関わっていることを軽視してきた。やっと心療眼科医が患者の訴えに耳を傾け心のケアに当たるようになった」と井上眼科病院(東京・千代田)の若倉雅登名誉院長は話す。

目は人の体の中で最も精緻な感覚器の一つで、目と脳の共同作業で視覚をつかさどる。そのため目の機能には異常がなくても心理的影響で様々な症状を引き起こすことがある。心因性視覚障害と呼ばれ、視力の低下、視野の狭窄(きょうさく)、目の痛み、まぶしさなどのほか、かすむ、ぼやける、ちかちかする、まぶたがぴくぴくするなど違和感の訴えは実に多様だ。

診断は視力や眼球運動、視野、色覚など通常の眼科検査を通じて、眼球や網膜などに異常がないかを確かめることから始まる。脳腫瘍を疑うケースではコンピューター断層撮影装置(CT)や磁気共鳴画像装置(MRI)検査をすることもある。様々な検査で目や脳に病変などの可能性がないことを確認してはじめて、症状の遠因となる心理的側面を探っていくのが一般的だ。

■眼科、精神科、内科が連携

都内の主婦、川村定子さん(40、仮名)は5年前に心因性視覚障害を発症した。両眼の視力が低下し視野も狭まり、右目は白内障でほとんど見えない状態になった。持病の糖尿病も悪化し、うつ病となり、一時は生きる意欲も失いかけた。

眼科だけでなく精神科や、内科などが連携してケアに当たったことで、徐々に心が前向きになり、右目の白内障手術を希望するようになった。術後、眼帯を外したところ、明るい光が入ってきた喜びで左目も一気に見えるようになった。

治療に当たった杏林大病院(東京都三鷹市)眼科の気賀沢一輝医師は「視覚障害の真の原因は心にあったので、右目の手術で生きる意欲を取り戻したことで劇的に改善したのだろう」と語る。

患者、家族からの悩み相談に応じるのは東京都町田市のNPO法人「目と心の健康相談室」だ。心因性視覚障害の治療には、十分な時間をとって患者の話を聞く必要があるが、多くの患者が訪れる通常の眼科診療の現場では難しい。そこで眼科医と眼科勤務歴の長い看護師らが2015年に同法人を開設した。

4日、電話相談を中心に対応する。「1カ月の相談は約60件。6割が女性で、6070代が半分近い。主治医には言えない悩みを吐き出して気が楽になったという人が多い」と荒川和子理事長(66)は話す。

目の病変の治療に特化しがちだった従来の眼科医療では、心因性視覚障害は見過ごされることもあった。そこで若倉、気賀沢両医師を中心に07年に日本心療眼科研究会が発足された

同研究会では毎年70~150人の眼科医らが参加して心因性視覚障害など心が関わる目の疾患の治療法の研究を重ねている。現在は、大学病院など大病院の眼科の多くがこうした治療に対応しており、近年は患者の増加を背景に各地で心療眼科の専門外来を設ける動きもある。神経眼科で診療している医療機関もある。

こうした治療に詳しい医師や医療機関は日本心療眼科研究会や日本神経眼科学会などに掲載されている。「目と心の健康相談室」は電話042・719・6235(月・水・木・金曜の午前9~午後5時)

■心因性視覚障害「1学級に1人」

写真:NIKKEI STYLE (図:心因性視覚障害「1学級に1人」)

心因性視覚障害は8~12歳の子どもに目立ち、女子は男子の3~4倍多い。女子は8~11歳に、男子では8~12歳に発症のピークがある。本人が気づかず、学校の定期健康診断で見つかることも多い。

原因の過半数はストレスが関係しているとされ、何らかのストレスが目の症状として表れると考えられている。原因は家庭関係では肉親の死や両親の不仲、離婚、親の過干渉などが多く、学校関係では入学や転校、友人とのいさかいなどが隠れていることがある。

浜松医大病院眼科の佐藤美保医師は「仲の良い友人がメガネをかけ始めたから自分もかけたい、という思いや親を独占して医療機関に行きたいなどの気持ちが働いている場合もある」と説明。子どもの微妙な心理の理解が必要と強調する。

「10年ほど前から外来を訪れる小児の間で(心因性性視覚障害が」目立つようになった。子どもの約3%に症状があるとも推計され、都会の学校では1学級に1人の割合でいるとみられる」と井上眼科病院の若倉雅登医師は分析する。心身の成長により6割が半年以内に、約8割は1年以内に改善するが、治らなかったり症状を繰り返したりするケースも約2割ある。

若倉医師は大人が子供の異変に気づくポイントとして「急に黒板や教科書の字が見にくくなったと訴える」「まぶしさを訴えたり目を細めたりする」ことなどを挙げる。「発達の過程で起きるつまずきの一つとしておおらかに捉え、過度に心配して本人を追い詰めないことが大切だ」とアドバイスしている。

(編集委員 木村彰)[日本経済新聞朝刊2020年8月24日付]

Categorised in: 神経眼科