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2020年2月16日

11518:加齢に伴ってみられる神経眼科疾患 木村亜紀子先生 聴講印象録

清澤のコメント:固定内斜視(眼窩窮屈症候群)ほどの強い眼球後部の筋円錐からの脱臼ではなく、わずかな遠見での内斜視、わずかな上下斜視を加齢性斜視(sagging eye syndrome)と呼ぶという点がこの話で大切な点でしょう。
ーーー要旨ーーー
Ⅰ、わずかな遠見での内斜視、わずかな上下斜視は加齢性斜視(sagging eye syndrome)であることが判り加齢性斜視の概念が定着した

Ⅱ、診断の進め方
1、問診、視診、発症
1)微小循環障害:痛みを伴わぬ急性発症:(8割が自然完解)
2)加齢性斜視:発症日が不詳、遠見複視、上下、夕方の悪化。
3)①甲状腺眼症(朝つよい、上眼瞼変化、顎上げ)、②重症筋無力症(夕に増悪、神経支配に遭わない)
4)眼部外傷、白内障術後に自覚する斜視など
5)特発性眼窩炎症とIgG4関連疾患
2、検査
1)微小循環障害:回復が無いときにMRI画像も
2)加齢性斜視;MRIでLR-SRバンドの破綻、外直筋の下方移動(サギングアイ症候群):嘗ては解散麻痺に含めていたらしい。
3)①甲状腺眼症:甲状腺自己抗体(TSAbは必須)のみ陽性、造影せずに炎症の有無をSTIRで判断する。②筋無力症MG:抗AChR抗体陰性なら→MuSK抗体を後日行う。眼瞼下垂にはアイスパックテスト(2分間、タオルでは包まず直接であてる)、眼球運動障害にはテンシロンテスト。偽滑車神経麻痺、偽MLFもある。抗体は50%陰性なのでメスチノンを試験内服する。
4)IgG4関連疾患と特発性眼窩炎症(筋付着部から肥大)も炎症所見がある


Ⅲ、治療
1)保存的治療
2)ボツリヌスA型毒素療法(斜視手術の筋後転と同じ)
3)斜視手術:過矯正にしない。術前にプリズムを試す。回旋斜視は手術も。

大切な文献:
Chaudhuri Z, Demer J, Sagging eye syndrome Connective Tissue Involution as a Cause of Horizontal and Vertical Strabismus in Older Patients : JAMA Ophthalmol. 2013 May; 131(5): 619–625.
doi: 10.1001/jamaophthalmol.2013.783

この論文の要旨を翻訳しておきます:
重要性:慢性または急性後天性複視の原因としてのたるみ眼症候群(SES)の認識があれば、ほとんどの場合に、神経学的評価および画像診断を回避できる可能性があります。

目的:SESが外直筋(LR)プリ―の下シフトに起因するかどうかを判断し、SESの斜視の解剖学的相関を調査します。

設計と設定;磁気共鳴画像法を使用して、外眼筋EOM、プリー、および外直筋(LR)–上直筋(SR)帯靭バンドを評価しました。

参加者:SESの疑いがある後天性複視の患者。 SESと臨床的に診断された男性11人と女性17人(平均[SD]年齢69.4 [11.9]歳)の56の眼窩を調査しました。データは、SESと年齢が一致する14人のコントロール参加者の25の眼窩と、28人の若いコントロール(23 [4.6]歳)の52の眼窩から得られました。

主な結果測定:LR-SRバンドおよび外眼筋の年齢が一致した基準および長さと比較した直筋プリーの位置。データは、顔の特徴、両眼のアライメント、および眼底の回旋と相関していました。

結果;SESの患者は通常、眼瞼下垂と上眼瞼溝欠損を示した。 SESでは有意な下外側LRプーリーの変位が確認されましたが、異常の範囲は、他のすべての直筋プーリーの周辺変位および下直筋プーリーの外側変位にまで拡大し、直筋EOMが伸びていました(P <.001)。対称的LRのたるみは開散麻痺内斜視と関連し、非対称的LRのたるみは1mmを超えて垂直斜視を伴っていました。 LR-SRバンドは、SES患者の91%で破断していました。

結論と関連性:LR-SRバンドの破断に伴う広範囲の直筋プリーの変位と外眼筋の伸びは、後天性の垂直および水平斜視を引き起こします。小角度の内斜視または肥厚は、外部検査で明らかな特徴から疑われる可能性のある外眼筋および眼窩結合組織の一般的な退縮変化に起因する可能性があります。

Categorised in: 神経眼科