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2019年10月29日

11242:眼の不調は脳のSOS!?。週刊朝日記事紹介です

片目だけ急に見えなくなる、二重に見える…脳梗塞

眼の不調は脳のSOS!?。

やけにまぶしい…眼瞼けいれん 危険なサインを見逃すな!

清澤のコメント:週刊朝日 2019,11,8号 P126-128に若倉先生と荒川和子看護師それにわたくし清澤のインタビュー記事を掲載していただきました。図表は省略しました。御笑覧ください。

・複視と一過性黒内障。脳梗塞の予兆である場合がある。

・眼瞼痙攣:まぶしい。目の不快感。薬剤性眼瞼痙攣もある。

・脳の機能低下は神経画像では見えない

・白内障手術やレーシックなどの手術後に見られることがある「術後不適応」

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片目だけ急に見えなくなる、二重に見える…脳梗塞

眼の不調は脳のSOS!?。

まばたきが多い、光がまぶしくて目を開けていられない、モノが二重に見える、片方の目が急に見えなくなった……。こうした症状は“脳”が原因で起こることが少なくない。なかには一刻も早く診てもらったほうがいいものも。これらの症状の原因と対策を紹介する。

(脚注:見え方の異常は脳の病気のサインかもしれない=撮影・小山幸佑(写真部)

患者の名前は仮名、写真はイメージ)

まず、見え方の異常は、危険な脳の病気のサインとして表れることがある。

日本では数少ない神経眼科医の一人、清澤眼科医院(東京都江東区)院長の清澤源弘さんは、「特に、片目だけ急に見えなくなる、モノが二重に見えるといった症状は要注意」という。ちなみに、神経眼科とは、眼球だけでなく脳にも焦点をあて、診断や治療を行う眼科の一領域だ。

「片目だけ急に目が見えなくなる状態を『一過性黒内障』と呼びます。多くは数秒から数分で回復しますが、脳梗塞の前兆である可能性が高い。すぐにMRIなどの画像検査をして脳に問題がないか確かめることが大切です」(清澤さん)

脳梗塞とは、脳の血管がつまる病気。酸素や栄養が届かなくなるため、脳の組織が部分的に壊死してしまう。代表的な症状は体の片側のマヒや頭痛、めまい、おう吐などだが、見え方にも問題が起こることもあるという。

視力が一時的に失われる“犯人“は、動脈硬化によってできた血栓。これが目につながる脳の細い血管をつまらせると、血管から栄養や酸素を供給する神経回路が一時的にダメージを受ける。それが、見え方の異常をもたらすのだ。

モノが二重に見えるのも、脳梗塞の前兆の一つ。専門的には「複視」という。

「眼球を動かす神経は三つあり、それらがマヒすることで複視が起こります。目は車のハンドルみたいに右を見たいときには右を向き、左を見たいときは左を向きます。ところが、片方の神経がマヒすると、その目は見たいほうを向けなくなるので、左右の目の視線が合わなくなる。それで複視が起こるのです」(同)

黒内障や複視は、高血圧や糖尿病がある高齢者に起こりやすい。目に表れた「脳の病気」のサインとして見逃さないこと、気がついたらすぐに限科、できれば神経眼科への受診が大切だ(神経眼科については記事の最後に紹介する)。また、脳梗塞の予防のためには原因となる持病のコントロールが大事で、脳動脈瘤や腫瘍があれば破裂を予防する治療や切除が必要になる。

続いて、慢性的に進行する症状と脳の関係について見ていこう。

ヨシコさん(50代)が「見え方がおかしい」と感じ始めたのは、40代のとき。今

までなら何とも思わなかった太陽の光を、やけにまぶしく感じるようになった。しかも、その症状は日を追うごとにひどくなる。曇りや雨でも光がまぶしく、常に目を細めなければならない。薄日で見るためか視界が狭まり、外出先で転びそうになることもあつた。

結局、眼科をいくつか渡り歩いて判明した病名は、「眼瞼けいれん」というもの。目の周りの筋肉が過度に緊張して正常なまばたきができなくなった状態をいい、まぶしさや日の乾きなどの不快感を伴う。

「見え方の異常や見えにくさは、眼球に問題があると思う人が多いでしょうが、実は原因が“脳”にあることも少なくないのです」

こう話すのは、「その目の不調は脳が原因』の著者で、眼科医の若倉雅登さん。井上眼科病院(東京都千代田区)で約30年にわって「目と脳の問題」に向き合ってきた。

「眼瞼けいれんでいえば、目から脳につながる神経回路のどこかに問題が起こったため、まぶたに過緊張が生じたり、日の不快感が表れたりすると考えられています。この場合、無理して目を見開いて見ようとすると、頭痛や肩こり、吐き気などの症状が出るので、なるべく目を大きく開けない生活を送ろうとします。当然、そうした生活は日常生活に支障をきたしストレスになりますから、抑うつや不眠などの精神症状をもたらしやすいのです」

眼瞼けいれんでは、128㌻ の表のような症状が見られる。当てはまる項目が3個以上あれば、この病気の可能性が高いという。しかし、なぜ脳が原因で見え方に問題が生じてしまうのか。そのメカニズムについて、若倉さんは次のように説明する。上のイラストと照らし合わせながら読んでほしい。

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私たちは日ごろ、何も意識せずモノを見ているが、この「見る」という行為は眼球だけで行われているわけではない。目から入った光や色、形、動きなどの視覚情報は、眼球の奥にある網膜に映し出された後(イラストの①)、視床領域の一部である外側膝状体に届く(② )。そして、そこで別の神経細胞に引き継がれ、後頭葉の第一次視覚野にたどり着く(③)。

「実は、この段階でも視覚情報は電気信号として脳に伝わっただけであって、モノを『見る」というところには至っていません。第一次視覚野に入った視覚情報は、頭頂葉や側頭葉で他の情報や記憶などと結びついて(④)、前頭葉に伝わり(⑤)、そこで初めてモノとして認識され『見る』という行為につながるのです」

脳の機能低下は画像で見えない

この際、入ってきた視覚情報が脳の許容量を超えないように、視床などではフィルターをかけて必要な情報だけ送っていると考えられている。

「モノを『見る』ために行われる脳の作業はとても複雑なので、脳の神経回路のどこかに問題が起こってしまうと、それだけで、見るという行為に影響が出てしまう。例えば、フィルターの部分に問題が生じれば、情報が選別されないまま先に送られるので、ちらつき

やざらつきといった“ノイズ”が発生しやすい」

眼瞼けいれんの患者数は、推定で20万〜100万人。腫瘍や炎症などが原因になることもあるが、多くは脳の働きが悪くなる機能低下によるもの。そのため、MRIやCTなどの画像検査では見つけにくく、診断がむずかしい。

「眼科で診るのは、眼球や視力の異常。ですが、眼瞼けいれんの場合、たいてい眼球は健康で、視力もいい。そのため症状があるのにもかかわらず、″異常なし″と診断されやすいのです。脳外科や精神科、心療内科など多くの診療科を渡り歩く、いわゆるドクターショツピングを繰り返す方も少なくありません」

残念ながら、脳がなぜ誤作動を起こすのか、その原因はまだよくわかっていない。ただ、片頭痛の家系の人や、日の使いすぎやストレス、不眠などによる脳疲労が蓄積した人はなりやすい傾向があるそうだ。加齢の影響もあり、老限で見る力が低下したことをきっかけに発症することもある。

眼瞼けいれんには根本治療はないが、症状をとる対症療法としてボトックス注射が健康保険で認められている。効果が続くのは3カ月〜半年なので、定期的に打つことになる。サングラスや目の乾きを補う目薬なども有用だ。

薬や治療の影響で脳が誤作動を起こし、見え方に異常が生じることもある。

薬で問題になるのは、睡眠導入薬や抗不安薬として使われているベンブジアゼピン系やその類似薬だ。エチゾラム(デパス)、ゾルピデム(マイスリー)、ブロチゾラム(レンドルミン)の使用によるものが多い。進行すると薬物性の眼瞼けいれんになるという。

ベンブジアゼピン系はGABAという神経伝達物質の働きを強めて、神経細胞の過剰な活動を抑える。この作用で不安や興奮といった症状が鎮まるのだが、 一方で視床など「見る」部分にかかわる神経では、この作用が正反対の働きをして過敏になってしまうという。

「薬による問題は、服用期間が短ければ上手に断薬することで症状は改善します。服用が

長期にわたる場合は、急な断薬は日の症状の改善に至らないだけでなく、離脱症状も起こるので、慎重に進めていきます」

目を手術した後適応まで時間も

白内障の手術やレーシックなどの治療後に起こるのが「術後不適応」だ。

ミサエさん( 70代)は夫が自内障手術を受けた1カ月後、同じ眼科で手術を受けた。術後よく見えるようになったが、モノを見ようとすると「ゴマのような点が視界いっぱいに広がる」症状が表れた。夫に相談するも、「俺は大文夫なんだから、気のせいだ」と取り合ってくれず、主治医に訴えても「手術は成功した」の一点張り。目のつらさからやる気が起こらなくなり、暗い部屋で一人、じつとしている状態が続いた。

若倉さんによると、これは手術ミスでも、合併症でもなく、日の変化に脳が適応できないために起こったものだという。

「人工のものにしろ、手術で水晶体を新しくすれば、当然、以前よりも見え方はクリアになり、多くの視覚情報が入ってきます。そのときに脳も見え方を変えなければなりませんが、人によってはそこの適応がうまくいかず、見え方に不都合が出てきてしまうのです」

これは白内障だけではなく、レーシックでも同じ。とくに斜視や強度近視がある人は、不適応が起こりやすいといわれている。

幸い不適応があっても、多くは脳が少しずつ見え方に慣れていく.ミサエさんも3カ月後にはラクに見ることができるようになったが、なかには長期化するケースもある。

「術後の見え方の変化や慣れるまでの時間について、事前にきちんと説明さえしてあれば、問題は起こりにくい。大切なのは、手術を受ける際はメリットだけでなくリスクも聞くこと。手術をせかすような医師の元では手術をせず、別の眼科医に変えたほうがいい」

見え方の問題に関する悩みを電話で聞いているのが、NPO法人「目と心の健康相談室」だ。2015年の設立以来、300人以上の相談にのっている(※)。同法人の理事長で看護師の荒川和子さんは言う。

「ここではセルフケアの方法や受診先を紹介するほか、勤務先に情報提供をし、仕

事ができる環境づくりを手伝うこともあります。受診先については、眼と脳の問

題に詳しい神経眼科への受診をすすめています」

神経眼科医は、日本神経眼科学会のホームページで紹介している。

誰でも、まぶしいときは目を細め、目が乾いたらまばたきをする。だが、その程度がひどくなって、日常生活に支障が出るようになったら……。情報の多くは目から入ってくる。それだけに見え方の問題は、深刻だ。だからこそ早めに専門の医師に診てもらうことが大事だ。 本誌・山内リカ

NPO法人「目と心の健康相談室」相談は有料(入会金は3千円、会費は半年分6千円)、相談日は月、水、木、金。患者会や勉強会の窓口にもなっている。

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