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2019年6月10日

10802:右上1/4盲で発症し血栓溶解療法によって良好に回復した脳梗塞の1例

脳血管障害に因る半盲は多少回復することもまた回復しにくい事もあります。猶予は4.5時間。予め患者が来たら誰に頼むのかを考えて置くべしという趣旨です。今回の血栓溶解療法は点滴でしたが、総ての脳梗塞が対象ではなく、またカレーテルで選択的に治療するケースもあります。脳外科医が詳細な情報を提供してくれ、大学の神経内科医がまとめているので良いお話になると期待しています。2019年の日本神経眼科学会に演題応募しました。

【演題名】

右上1/4盲で発症し血栓溶解療法によって良好に回復した脳梗塞の1例

浅見裕太郎1,2、小町祐子2、田添千智2、大宮謙一3、石川弘2、清澤源弘2,4

1:東京医科歯科大学 脳神経病態学分野(神経内科)

2:清澤眼科医院

3:藤崎病院 脳神経外科

4:東京医科歯科大学 眼科学教室

【症例】53歳女性、姿勢を変えた瞬間に右側の視野の異常を感じ当院受診した。ハンフリー視野検査にて右上1/4盲を認めたが瞳孔、前眼部、中間透光体、眼底に異常を認めなかった。意識障害やvital signsの異常はなく、その他神経学的所見も正常だった。麻痺はないが脳血管障害を考慮し脳神経外科に救急搬送した。同院到着時意識清明で右上1/4盲以外に神経学的所見はなく、血液検査所見に異常はなかった。頭部MRIで左後頭葉に淡い拡散強調画像高信号とADC map低値を認め、超急性期脳梗塞と診断し、ペナンブラが残存していると考え発症4時間でrt-PA (recombinant tissue plasminogen activator)を投与開始した。その後新規の神経症状や合併症なく経過した。精査にて左椎骨動脈起始部に狭窄を認め、同病変によるA to A emboliが原因と考え抗血小板薬内服を開始した。フォローアップのハンフリー視野検査にて右上1/4盲はほぼ完全に回復し、自覚症状も消失した。

【考察・結論】突発発症の右1/4盲のみの脳梗塞にrt-PA療法を行い良好な回復を得た。脳梗塞は発症4時間半以内ならばrt-PA療法の適応があり、血管内治療の適応となる場合もあるため迅速な対応が要求される。半盲のみでも患者のQOLに影響が大きいため、予め紹介先を決めておき早期に連携を取ることが重要である。

Categorised in: 神経眼科