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2019年1月14日

10393:眼球運動の診療を楽しもう、セミナー:聴講印象録

日本神経眼科学会(2018年12月15日)教育セミナー:眼球運動の診療を楽しもう 座長聴講印象録:清澤源弘

(直後にまとめ損なって、ブログ記載と学会本部への提出が遅くなってしまいました)

最終日の土曜日で、総会とポスター発表4-6の後でもありましたし、ランチョンセミナーの弁当の遅延という珍しいアクシデントの後にも関わらず、会場には多くの会員が参集されました。このセッションは教育講演ということで、難しい研究内容のシンポジウムとは違って、此処で聞いたことを明日からの臨床にどう生かそうか?という前向きな気持ちの若い会員が多かったように感じられました。

E-1:中枢性眼球運動を理解する 

横浜市脳卒中センターの城倉健先生は、一見複雑に見える中枢性眼球運動障害を解り易く、また非常に豊富な自験例を添えて、その違いを示されました。その根幹は、傍正中橋毛様体(PPRF)ないし内側縦束間質吻側核(riMLF)から眼球運動神経核群までの神経機構と、前庭神経核から眼球運動神経核群に至るまでの神経機構の2つであるといいます。前者の障害は注視麻痺や斜視として観察され、後者の障害は眼振として観察されることが多いといいます。テント上病変に起因する眼球運動障害は主として脳幹注視機構への入力障害として捉え、小脳病変に起因する眼球運動障害は、主として前庭神経核の抑制障害として捉えると理解しやすいとのことでした。

E-2:眼球運動障害治療のABC
兵庫医大 木村亜紀子先生は、眼球運動障害が生じると患者は複視を自覚するか,それを代償する頭位異常を呈すると言います.複視や頭位異常に対する積極的な手術治療は,眼位の安定が得られてから施行すべきです。手術待機中には,フレネル膜プリズムやバンガーターフィルターなどの保存的治療を積極的に行います。外眼筋手術は,術後の両眼単一視野が広くなるように術式を決定するのがコツだとのこと。例えば,軽度の右外転神経麻痺では,右内直筋後転より,左内直筋後転の方が術後の両眼単一視野は広くなります。術後も正面視以外での複視に対しオクルージョン膜を用いた保存的治療は有効です.眼球運動障害治療には保存的治療と外眼筋手術の両方をうまく取り入れる必要があるというのが結論でした。

E-3:
バセドー病眼症斜視治療のABCを神戸海星病院眼科・アイセンターの安積淳先生が話しました。バセドー病眼症は眼球周囲組織に対する自己免疫疾患で、炎症で筋の伸展性が制限されます。活動性のある外眼筋の炎症には大量のステロイドと放射線による消炎が推奨されますが、筋炎が瘢痕治癒して複視を残すことも多いです。この複視には罹患筋の後転による斜視手術が有効ですが、その施術では、筋の後転による周囲組織の眼窩先端方向への高度な引き込みに備えねばなりません。不確定要素対策には調節糸法がよいです。発表では症例提示も豊富でした。

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