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2018年12月10日

10335:アルツハイマー病による左同名半盲:演題紹介

清澤のコメント:アルツハイマー病では通常半盲を見ることはありません。視覚症状を持つアルツハイマー病では立体視障害や、ダブルペンタゴンの書き写し不能、それにバックグラウンド図形の中から特徴的な形の線画を抽出する能力の減弱などといった特有な視覚障害を示すことが有ります。しかし、まれながら、同名半盲が左右の病変の不対称が生じた場合に疾病進行のある時期において見られることが有ります。この抄録はそういう症例の提示です。
第56回日本神経眼科学会 抄録から(神経眼科35巻p95)

p‐2‐4アルツハイマー病による左同名半盲
住友沙織¹²³、鈴木幸久¹³⁴、清澤源弘¹⁵、大野京子¹、石井賢二³
1)東京医科歯科大学附属病院眼科、2,多摩北部医療センター眼科、
3)東京都健康長寿医療センター研究所神経画像研究チーム、4)JCHO三島総合病院眼科、5)清澤眼科医院
【背景】後部大脳皮質萎縮症は、アルツハイマー病やレビー小体型認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病などに伴う後頭葉皮質の進行的な変性によって生じる。徐々に進行する同名半盲視野欠損で発症した症例を経験したので報告する。
【症例】69才女性で8年前から緑内障として点眼加療されていた。4年前から両眼中心視野に左同名半盲様の視野欠損が出現し徐々に進行してきたため、頭蓋内病変を疑い、MRIを施行されたが脳皮質全体の中等度萎縮がみられたのみで視野欠損に対応する明らかな局在性病変は見られなかった。神経学的評価では、左同名半盲の他に、構成障害、左半側空間無視、相貌失認、漢字の失書、軽度の記銘力障害がみられた。記憶障害(ミニメンタルステート検査(MMSE)20/30点)に対し、ドネペジル塩酸塩を処方した。さらに視野欠損が進行するため、後頭葉の機能的異常を疑い、ポジトロン断層法(PET)および18Fフルオロデオキシグルコースを用いて安静時脳糖代謝を測定した。PET検査では、右側優位の両側後頭葉、頭頂葉および後部帯状回の糖代謝低下がみられた。
【考察】視野変化に対応する脳内の器質的所見が乏しいにも関わらず後頭葉の糖代謝変化がみられたため、アルツハイマー病による後部大脳皮質萎縮症と考えられた。アルツハイマー病等では、脳の機能変化が器質的変化に先行して認められることがあり、機能画像による評価が有用である。
1.倫理審査委員会等:承認【無】2.インフォームド・コンセント:取得【有】3.利益相反公表基準:該当【無】

Categorised in: 神経眼科