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2018年9月21日

10124:アルツハイマー病治療薬・フランスで医療保険から外れる:記事の抄出紹介

アルツハイマー病治療薬・フランスで医療保険から外れる 変わる認知症治療の潮流とは:記事の抄出紹介(600文字)

市川衛 医療の「翻訳家」6/5(火)

神経眼科医清澤のコメント:1985年ころフランス原子力庁生物学部門でアルツハイマー病の治療薬開発の基礎実験に従事した私には、この決定はちょっと残念です。しかし、コストパフォーマンスで、公的負担に適さないという結論が日本にも波及しないとは言い切れません。
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「アルツハイマー病の治療薬(「ドネペジル」「ガランタミン」「リバスチグミン」「メマンチン」)を医療保険から外す」とフランス厚生省が発表。

日本でもこの薬剤は、医療保険で使用されている。―

アルツハイマー病治療薬のメリットの証拠は不十分?
フランスで2005年に設立されたHAS(高等保健機構)は、医療保険でカバーする薬や医療技術などの臨床効果を評価している。

2016年10月、HASは発表された研究を調べた結果、薬を使うことで施設への入所を遅らせたり、病気が重症化するのを抑制できたりなどの「良い影響」を示す証拠は十分ではないと指摘。消化器系や循環器系などへの有害事象も無視できないとして、これらを「医療保険でカバーするのは適切ではない」と勧告し。

効果があるはずなのに、証拠が不十分ってどういうこと?
国内添付文書には「本剤がアルツハイマー型認知症の病態そのものの進行を抑制するという成績は得られていない」とされている。薬には、アルツハイマー病の進行を遅らせる効果は確認されず、記憶力の落込を一時的に緩やかにすることを目指す。

薬の「目的」を考えると、本人の日々の生活の質が高まったり、施設に入所せずに自立してすごせる期間が長くなったりするなどの「良い影響」への期待が大きい。HASは証拠が「不十分」と判断した。

薬からケアへ 舵を切ったフランス
フランス厚生省のプレスリリースでは、今回の結論にいたった理由として「市民の健康を守り、患者さんの統合されたケアを推進するため」とし、続けて、認知症への対策として重視している点として次のものを挙げる。

① かかりつけ医(medecins generalistes)の役割の強化、②介護者の負担の軽減、③アルツハイマー病特別チーム(ESA・Les Equipes Specialisees Alzheimer)の充実

『決定は、治療薬に使われているリソースを、より優先的に対策が必要と考えられる部分に投じるために行う』というメッセージが受け取れる。

限られた資源 どこに配分するか?
決定はあくまでフランスで行われたもので、日本に適用できるかは不詳。

日本における、日本で認知症治療薬に年間1500億円以上。

「超高齢者への処方は、有効性・安全性の検討が十分になされておらず、有害事象を考慮したうえで慎重に処方されているか疑問(奥村氏)」。

認知症への対策は、過去の「薬でなんとかする」という考え方から、薬はあくまで一つの手段と位置づけ、認知症を抱える人をつつむ環境全体を整えることで対策していこうとする形に世界的に変わってきている。

Categorised in: 神経眼科