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2018年9月7日

第10107回 第10107回 ホワイトノイズは「集中力アップ」に効果があるといわれるが?

ホワイトノイズは「集中力アップ」に効果があるといわれるが?  視覚におけるホワイトノイズを自覚する病気をビジュアルスノーと呼び、それを自覚している人は少なくない。私たち医科歯科大学の神経眼科研究グループはビジュアルスノーの病態を研究している。 ①関連記事:(8121:Visual Snow ビジュアルスノウ 視界砂嵐症候群とは:http://blog.livedoor.jp/kiyosawaganka/archives/54671569.html ②最新の学会抄録:http://blog.livedoor.jp/kiyosawaganka/archives/54839887.html ◎ところで聴覚におけるホワイトノイズはすでに実用の段階に入っているらしい。 「シャー」という音色を持つノイズ音「ホワイトノイズ」は、集中力のアップや睡眠誘導の効果があるとされているが、しかし、この音に於けるホワイトノイズに対しては種々の評価が分かれているようだ。 その古い議論には『教室でホワイトノイズを流すと注意散漫な生徒の学習効果が上がるが、普段から集中できる生徒には逆効果』:というものがある。 その記事によれば、ノイズ(雑音)は、一般的には集中すべき対象から注意をそらし学習や集中力を要する作業などの妨げになると考えられるが、人によってはノイズが集中に役立つこともあるおいう。 ストックホルム大学の研究者らによれば、普段注意力が散漫で教師の話を集中して聞くことができない子どもでは教室でホワイトノイズを流すことにより学習効果が上がり、逆に普段から注意力が高い子どもにとってはホワイトノイズは学習の妨げとなるという。 The effects of background white noise on memory performance in inattentive school children タスクのパフォーマンスを上げる雑音の効果はADHD(注意欠陥・多動性障害)の子どもで報告されている。テスト全体の成績を見ると注意散漫なグループと対照群で差はなく、生徒全体を見ると「ノイズ有り」と「ノイズ無し」でのパフォーマンスに違いは見られなかったが、「ノイズ有り」と「ノイズ無し」での成績をそれぞれのグループごとに比較すると、注意散漫なグループでは「ノイズ有り」の方が好成績、対照群では「ノイズ無し」の方が好成績という真逆の結果だったという。(図:ホワイトノイズの効果) スコアが高い(注意力がない)生徒ほどノイズによるポジティヴな効果が大きく、スコアが低い(注意力がある)生徒ほどノイズによるネガティヴな効果が大きかったとのこと。つまり、普段注意力がある生徒ほど、雑音により集中を乱されやすいらしい。 本日公開された記事では:『「耳鳴り軽減」や「集中力アップ」に効果があるといわれるホワイトノイズは聞き続けると脳に悪影響が出る可能性あり』:といっている(2018年9月7日)最新の研究によるとホワイトノイズの聴きすぎは脳に良からぬ影響を与える可能性が指摘されている。 (Unintended Consequences of White Noise Therapy for Tinnitus-Otolaryngology’s Cobra Effect: A Review | https://jamanetwork.com/journals/jamaotolaryngology/article-abstract/2697852 Mouna Attarha氏は、ホワイトノイズを聴きすぎると脳の内部構造が変化するという研究結果を発表して、ホワイトノイズには「ダークサイド」が存在するという。不利な脳の変化は、一般向けに市販されている『ノイズ生成機』において典型的な60~70デシベルの音圧レベル範囲の騒音レベルにさらされた後でも観察され、この騒音レベルは、アメリカ労働安全衛生局が『安全』と示している数値だという。 研究チームによると、中枢聴覚系に対する神経作用として推定されるものは数多くあるが、その中には重要でない情報をフィルタリングする能力である「神経抑制」の低下や脳が信号変化を処理するのに要する時間の延長、そして脳の中で情報が表現される「皮質再現」における正確性の低下などが含まれるとのこと。 ホワイトノイズが有用であるとか、危険であるとかという議論には今後も注目してゆきたい。

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