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2018年9月3日

第10099回 10090:眼でパーキンソン病が診断可能に?;記事紹介


眼科医清澤のコメント;網膜のどの層の菲薄化がドーパミンの分泌と相関しているのか?その層におけるドーパミン作動性は過去に示されていたのだろうか?以前にもPETでドーパミン作動性の基底核の働きを論じた文献は比較的多くあったはず?。という訳で、原著の抄録まで戻って先ずはみておこう。この記事の末尾に抄録の邦訳を採録して置きます。
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眼の網膜の厚さを観察することで、初期のパーキンソン病を見つけられる可能性を示す研究成果が報告された。パーキンソン病は神経伝達物質のドパミンを作る細胞が脱落することで起きるが、初期のパーキンソン病患者では目の網膜が薄いほどドパミン産生細胞の脱落が進んでいた。網膜が薄いほどパーキンソン病の重症度も高かった。詳細はNeurology(2018年8月15日オンライン版)に掲載された。 

治療のモニタリングにも応用可能

この研究を行ったのは、Seoul National University Boramae Medical CenterのJee-Young Lee氏らの研究グループ。

パーキンソン病と診断されてから2年以内で未治療の49例(平均年齢69歳)と、年齢をマッチさせたパーキンソン病でない54例を比較。眼の網膜を光干渉断層計(OCT)で計測、パーキンソン病症例のみドパミンの産生をみるためポジトロン断層撮影(PET)やMRIによる検査を行った。

その結果、パーキンソン病症例では、5層ある網膜のうち内側から2層目が薄くなっていることが分かった。これがドパミンを産生する脳細胞の脱落と関係しており、また網膜が薄いほどパーキンソン病の重症度が重かった。

Lee氏は「今後は、網膜が薄くなることとドパミン産生脳細胞の脱落の関係を明らかにする大規模な研究が必要だ。はっきりすれば、網膜の検査で早期にパーキンソン病を発見でき、正確な治療モニタリングが可能になるかもしれない」と話している。

(あなたの健康百科編集部)
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抄録の邦訳:
網膜菲薄化は、未治療パーキンソン病における黒質ドーパミン作動性喪失に関連する。

目的:未治療パーキンソン病(PD)における網膜菲薄化と黒質ドーパミン作動性喪失との関係を分析すること。
方法:PDを有する49人の患者および54人の年齢を一致させた対照群を分析した。 PDのみの患者では、N-(3-(18F)フルオロプロピル)-2-カルボメトキシ-3-(4-ヨードフェニル)ノルプロパンPETおよび3T MRIスキャンを追加して、眼科検査および黄斑部光干渉断層撮影を実施した。網膜層の厚さおよび体積を、(黄斑を中心とする)1、2.22および3.4​​5mmの糖尿病性網膜症早期治療研究での網膜区画を対象に測定し、PDおよび対照の患者群で比較した。 PD患者では、網膜内層の薄層化と微小視野応答との相関を検討し、同側尾状部、被殻の前方および後方部、黒質における網膜層の厚さとドーパミン輸送体密度の関係を分析した。
結果:
網膜層の薄層化は、PDを有する薬物未治療患者において、特に内側の網状層および神経節細胞層の耳側および下側の2.22mm区域(p <0.05)において観察された。 2.22mm未満のセクターにおけるこれらの層の厚さは、HoehnおよびYahr段階と負の相関を示した(それぞれp = 0.032および0.014)。すべての3.45mm区画、上方2.22mm区画、および1mmの円(その全てについてp <0.05)において、黄斑感度と網膜層の厚さとの間に正の相関があった。左黒質における網膜薄化とドーパミン作動性喪失との間に関連性があった(p <0.001)。
結論:
網膜菲薄化は、PDの初期段階に存在し、疾患の重篤度と相関し、黒質ドーパミン作動性の変性に関連している可能性がある。網膜イメージングは​​、早期PDにおいて起こる病理学的変化の検出に有用であり得る。
©2018 American Academy of Neurology。

Categorised in: 神経眼科