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2018年7月8日

9992:抗NMDAR脳炎の記事紹介です

f70ebe7091d38ee9b1e899856bb5d378抗NMDAR脳炎についてはこのブログでも過去に取り上げたことがありましたが(9810:「抗NMDA受容体抗体脳炎」(自己免疫性脳炎)とは)、それまで健康であった人に羞明を含む激しい精神症状を示す疾患のようです。

私は、まだその患者さんを拝見したことが無いのですが、眼科では進行の速い眼球使用困難を訴える患者に混在する可能性があるのではないかとわたくしは危惧しています。

Medical tribune誌(2018.7.5)にこの疾患の紹介記事が出ていましたので、ポイントを抄出してみます。

まず、抗NMDAR脳炎はペンシルバニア大の研究者が提唱した卵巣奇形腫に随伴する傍腫瘍性脳炎の一種で、NMDA受容体の細胞外成分に対する抗体を有する自己免疫性脳炎。NMDAはグルタミン酸受容体の一種で学習や記憶に重要な働きを持つ。映画『エクソシスト』に登場する悪魔つきの少女、や『彼女が目覚めるその日まで』や『8年越しの花嫁 奇跡の実話』が同脳炎を発症した女性がモデルであるといいます。

2016年にpossible(可能性あり)probable(疑い)definite(確定)3段階の診断基準が発表されています。

probable(疑い)は:

  1. 主要6症状(異常行動または認知機能障害、言語障害、痙攣発作、不随意運動、意識レベル低下、自律神経障害または中枢性過換気)のうち4症状異常の急性発症(奇形腫を伴う場合は3症状でも可)

  2. 脳波検査の異常所見、脳脊髄液検査の細胞増加所見またはオリゴクローナルバンド養成所見の内1つ以上該当

  3. 他の疾患を合理的に否定可能

この3項目をすべて満たす場合に疑い例とするということです。

 

北里大学神経内科の金子厚氏は当該疾患を疑った220例の結果から、probable診断基準の感度は87.2%、特異度は96.7%だったといっていま
す。また「診断基準は有用であるが、抗NMDAR脳炎の診断では臨床像の多様性を考慮すべき」だとも述べたそうです。

一般の(眼科)臨床医がその診断をつけることはまず難しいでしょう。しかし実際に私も数年前のことですが、地方の眼科医の友人に相談された急性の症例で、別のカテゴリーでしたが傍腫瘍症候群の診断が実際に大学で付いた症例に出会ったことがあります。その様な可能性を疑える症例に出会ったらそれを診断できそうな神経内科医に相談する位は考えられるように心の準備をしたい物であると感じました。

Subacute Supranuclear Palsy in anti-Hu Paraneoplastic Encephalitis. Ohyagi M, Ishibashi S, Ohkubo T, Kobayashi Z, Mizusawa H, Yokota T, Emoto H, Kiyosawa M. Can J Neurol Sci. 2017 Jul;44:444-446.

Categorised in: 神経眼科