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2018年4月22日

9794:脈絡膜新生血管の生体イメージングと病理相関 (髙橋寛二 :関西医大)聴講印象記

指名講演2
脈絡膜新生血管の生体イメージングと病理相関
髙橋 寛二 :関西医大附属病院・眼科

抄録の要点: 脈絡膜新生血管 (CNV)は血管新生黄斑症の主病態であり、臨床的に重要。臨床的観察は、フルオレセイン蛍光眼底造影 (FA)、インドシアニングリーン蛍光眼底造影(IA)、光干渉断層計(OCT)などの画像診断を相補的に用いることにより診断が行われた。近年、光干渉断層血管撮影 optical coherence tomography angiography(OCTA)が登場した。眼底の血流信号を捉え、造影剤の使用なしに血管形態を画像化し、血管形態を直接的に詳細かつ鮮明にとらえることができる。 

演者らは 1980 代後半から実験的 CNV モデルにおいて FA、IA、OCT 画像と病理組織の相関を観察した。一方、AMD を主 とする人眼 CNVの病理学的観察を行い、網膜下や網膜色素上皮(RPE)下における血管新生は、いくつかの特徴的パターンがあることを確認した。

講演では、特にOCT とOCTAに着目して、 CNV における生体イメージングと眼病理との相関を主なテーマとして行った研究結果について、血管病態学の観点も取り入れて講演する。

1.実験的CNVにおけるOCTA-病理相関 演者らはマウスのレーザー誘発CNVのOCTA像の撮像に成功し、そのen face OCTA画像と脈絡膜flat mount組織標 本のCNV免疫染色像(CD3、PDGFRβ、α-SMA、1型collagen)との差異を検討した。その結果、pericyte-like scaffoldを表す PDGFR β免疫染色像の面積は en face OCTA で得られた CNV 面積より大きかった。 

2.ポリープ状脈絡膜血管症polypoidal choroidal vasculopathy(PCV)のOCTA-病理相関 PCV は RPE 下に発生した異常分枝血管網とその先端部のポリープ状病巣 polypoidal lesion(PL) からなる滲出型 AMDの特殊型。病理学的に、PLではRPE のブルッフ膜内に拡張血管が集合した血管塊がみられる。臨床的に Swept-source(SS-) OCTAを用いてPCV 症例で血管構築を観察すると、RPE下にループ状血管が内包されたものと細血管が凝集したものの2 種が確認された。またPL 内部の血流信号を評価すると、血流が豊富な高灌流病巣と血流に乏しい低灌流病巣が見られた。

3.滲出型AMDにおける2型CNVのOCTA-病理相関
滲出型AMDのGass分類2型新生血管(網膜下新生血管)は、病理学的に2種に分かれ、未熟な毛細血管が多数の周皮細胞や炎症細胞を伴って増殖する型と管腔が比較的広く周皮細胞を伴わない成熟血管が 大量のフィブリン析出を伴って網膜下に進展する型。病理組織の相似性から後者の中にはPCVからの移行例が混在していると考えている。SS-OCTAを用いると、この2種の発育形態がより正確かつ簡便に判定できるようになった。

4.Pachychoroid spectrum 疾患群における脈絡膜構造とその発症機序の解明  近年、深部強調OCT やSS-OCT による脈絡膜構造の解析から、脈絡膜の肥厚を来すPachychoroid spectrum 疾患群(PCVを含 む)の存在が明らかにされている。明瞭な脈絡膜血管拡張を伴うPCV症例の摘出眼球標本において、特殊染色や免疫染色を行い、典型AMD症例、コントロール症例の脈絡膜組織との比較検討を行った。

清澤のコメント:網脈絡膜の血流は私の得意とする領域ではないのですが、最近では脈絡膜の新生血管を論ずる場合、かつてのようなFAやIAよりもむしろ光干渉断層血管撮影 optical coherence tomography angiography(OCTA)が多く使われるようです。データがそのままデジタル化できることも関連しているのかもしれません。教授に就任してからもこの様な研究に注力しておられる高橋教授に敬意を表します。


Categorised in: 神経眼科