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2018年2月20日

9619:眼球運動障害の検査と診断(抄出)

9619:眼球運動障害の検査と診断(抄出) 清澤源弘,小町祐子

 12月に提出した原稿のゲラが届き、修正を加えて戻しました。内容は「眼球運動の検査と診断」の解説です。此処では主要な項目が解る程度に目次のみ採録します。全文にご期待ください。

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後天的に発症する眼球運動障害の原因・病巣は、多岐に亘る。検査を通じて正しい所見を捉えることが、的確な診断および迅速な治療につながる。

 

1.受診から診断までのながれ

     問診や病歴による推定

多くの場合、両眼性の複視を自覚し外来を受診する。発症時期の確認や発症から受診までの間の症状の変化の有無に加え、複視の性状を確認することが重要。眼球運動障害を来す責任病巣と病巣部位による特徴を知り、問診と検査によって適切な所見を捉えることで診断への道筋を立て易くなる。

     眼球運動障害の所見をとる

まずは視診で定性的な眼位・眼球運動検査をおこなう。必要に応じて機器を用いて障害筋、障害部位の同定と、障害の程度を把握する。

     原因(病巣)検索のための検査(血液学的検査と診断画像)

 

2.眼位・眼球運動の基本的検査

肉眼的な評価方法と簡単な機材を用いた評価方法の概要。

1)眼位の観察

正面眼位が正位で複視がなくても各方向へのむき眼位で眼位異常がみられ、複視を訴えることがある。

2)眼球運動の肉眼的観察とその記載方法

正面視を併せた5方向に加え、左右斜め上方視・下方視を加えた眼位を9方向むき眼位という。カルテにカタカナのキを横に倒したマークを2つ並べて記載し、正面から見た患者の各方向への眼球の動きをそのまま記載するとよい。

3)複像検査(red glass test

患者が複視を自覚しているとき、自覚的な眼位ずれの定量をおこなうことができる。

4)上下偏位の障害筋検索のための補助的な眼球運動診断法 – Parks 3 step test –

麻痺筋が単一である場合に麻痺筋を決定することができる方法。

5)反射性眼球運動の所見

眼球運動障害の病巣が核上性か、核・核下性かの判定に有効な方法。

  Bell現象:

Bell現象が見られれば末梢性の神経障害は否定される。

  人形の目現象(前庭動眼反射):

眼球運動制限がみられる方向でこの現象が確認されれば、末梢性の神経障害は否定される。

 

6)眼球運動の客観的観察と記録方法

① 9方向眼位撮影:

② ヘスチャート(Hess chart):

  回旋方向の運動異常を評価する方法:

double Maddox rodテストと眼底カメラ

 

3、テンシロン試験:

眼筋型筋無力症では瞼裂幅の変化や眼位・眼球運動の改善が見られる。

 

4、牽引試験:

後天性複視や非共同性眼位異常が筋の伸展制限によるものではないことを除外する。

 

5、眼球突出計による眼球突出の検査

甲状腺眼症、特発性眼窩炎症、眼窩腫瘍などでは眼球が突出し、眼窩ふきぬけ骨折では患眼が陥凹する。

 

6、原因検索のための検査

眼球運動障害の所見と責任病巣の大まかな同定をおこなった後、採血と頭部診断画像。

① 血液学的検査

② 診断的画像撮影

 

まとめ

外来でよく出会う眼球運動障害を的確に診断し、迅速に治療に移るためには手元にある簡便な機材で基本的な眼球運動の評価がおこなえるようになればよい。

 

文献

1) 江本博文, 清澤源弘, 藤野貞:第2部 症状・兆候より診断へ.神経眼科 臨床のために第3版,3566,医学書院,2011.ほか

 

Categorised in: 神経眼科