お問い合わせ

03-5677-3930WEB

ブログ

2018年2月1日

9564:抗MuSK抗体陽性重症筋無力症とは:

医科歯科大学神経眼科外来の症例から:復習になりますが:
9564:抗MuSK抗体陽性重症筋無力症とは:

抗MuSK抗体とは:(⇒記事参照 https://www.kiyosawa.or.jp/archives/54176056.html)

臨床的意義;重症筋無力症(MG)は、神経筋接合部の後シナプス膜上にある標的抗原に対する自己抗体のため神経筋接合部が刺激伝導障害される自己免疫疾患であり、自己抗体の種類によって、
①抗アセチルコリン受容体抗体陽性MG(筋無力症)
②抗筋特異的チロシンキナーゼ抗体陽性MG
③前記の抗体が検出されないseronegative MGに分類される。

抗MuSK抗体陽性MGは眼症状、球麻痺、頸部筋力低下、呼吸筋麻痺等を主症状とし、陰性群と比較して、嚥下障害や呼吸困難などの重症例の頻の高いことが報告されている。本邦では、MG全体の80-85%が抗AChR抗体陽性で、残りの10%以下に抗MuSK抗体が検出されている。現在MGの病態や治療を考える上で、最初に抗AChR抗体および、抗MuSK抗体の有無を調べることが重要となっている。

本検査は抗AChR抗体陰性例におけるMGの補助診断や重症度の把握、治療法の選択などに有用である。

9230: 血清陰性MG患者とは:(https://www.kiyosawa.or.jp/archives/54771470.html)

重症筋無力症の病態生理 Yuebing Li 20142月

『重症筋無力症(MG)は、シナプス伝達の抗体媒介性機能不全から生じる。 その病因に関与する2つの主要な成分は、シナプス後膜に位置するアセチルコリン受容体(AChRおよび筋肉特異的チロシンキナーゼ受容体(MuSKである。

AChRAChR-Ab)に対する自己免疫抗体MG患者の70%~90%で検出され、MuSKMuSK-Ab)はMG患者の5%~8%に認められる。AChRに結合する抗体は、補体活性化およびAChR架橋をもたらし、その結果、シナプス後膜におけるAChの内部移行および分解が増加する。 陽性AChR-Abを有するMG患者の大部分は、60%~70%の胸腺過形成および10%~12%の胸腺腫を伴う胸腺異常を有する。

MuSKは、AChRの正常な集合および安定化において中心的な役割を果たす。 MuSK機能が欠損したMG動物モデルは、AChRクラスターの有意な減少および神経筋接合部における破壊的変化を示す。

MG-AChR患者とは異なり、ほとんどのMG-MuSK患者は胸腺病変を有していない。 リポタンパク質関連タンパク質4に対する抗体は、MuSK Ab陽性またはそれ以外の血清陰性である
少数のMG患者にも見られ得る。

神経眼科医清澤のコメント:すでに眼症状があり筋無力症が疑われる患者さんでは、抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体だけではなく、抗MuSK抗体までを考えるべき時代になってきているようです。但し、保険請求上は、この2つの抗体の採血検査を同時に請求することは認められては居りませんので、アセチルコリン受容体(AChR)抗体が陰性という事を確かめたうえで、他日に抗MuSK抗体を2段階めで調べなくてはなりません。
現在治療中の患者さんでは、数回の血液透析で改善中とのことでした。


Categorised in: 神経眼科