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2018年1月18日

9530: Bickerstaff型脳幹脳炎とは、

9530:Bickerstaff型脳幹脳炎とは、

両眼が全方向への運動障害を示す外眼筋麻痺にBickerstaff型脳幹脳炎があります。Fisher症候群とBickerstaff型脳幹脳炎の異同についてちょっと調べてみました。

以前この疾患については一例報告に手を貸したことがあります。

Fisher症候群とBickerstaff型脳幹脳炎 桑原聡

要旨:

Fisher症候群は1956年にCharles Miller Fisherにより「外眼筋麻痺,運動失調,腱反射消失を三徴と する疾患」として末梢神経病変を推定して報告され,Guillain-Barré症候群類縁疾患として位置付けられて現在に いたっている.

Bickerstaff型脳幹脳炎は,1951年にBickerstaffとCloarkにより「意識障害,外眼筋麻痺,運動 失調を中核症状とする中枢神経疾患」として報告された.1980年代にこの二疾患の異同に関する論争があったが, 1990年代に入り血清抗GQ1b抗体が両疾患でともに陽性となることが報告され,共通の病態が存在することが 明らかになった.

その後の症例集積の結果から,Bickerstaff型脳幹脳炎における外眼筋麻痺・運動失調は末梢神経病変によると考えられており,この疾患を「中枢神経障害を合併したFisher症候群の亜型」としてとらえる考 え方が優勢となっている. (臨床神経 2013;53:1319-1321)

 Key words:  フィッシャー症候群,ビッカースタッフ脳幹脳炎,抗GQ1b抗体

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Fisher症候群は1956年にMiller Fisherにより「外眼筋麻痺, 運動失調,腱反射消失を三徴とする疾患」として報告された. 当時この特異な臨床症状の組み合わせがみられる理由は不明 であったが,主に腱反射消失を根拠として末梢神経病変が想定された.以後この疾患はFisher 症候群あるいはMiller Fisher 症候群(Miller Fisher は同一人)と称され,GuillainBarré症候群類縁の急性免疫介在性ニューロパチーとして位置付けられて現在にいたっている.

一方,Bickerstaff 型脳幹脳炎は,1951 年にBickerstaff と Cloarkにより「意識障害,外眼筋麻痺,運動失調を中核症状 とし意識障害,半身感覚障害などを随伴する中枢神経疾患」として「Mesencephalitis and rhombencephalitis」のタイトル で3例が報告された.さらに1957年に8例についてより 詳細な報告がなされた.以後この病態はBickerstaff型脳幹脳炎と呼ばれ現在にいたっている.

この疾患概念はFisher症候群ほど浸透しなかったものの,Bickerstaffグループは1980年代までBickerstaff脳幹脳炎の報告を続けたがFisher 症候群については触れていない.おそらくBickerstaffらは自験例を中枢神経疾患としてとらえていたために両疾患の接点に考えがいたらなかったものと思われる.—

論文に表れた代表的画像:
700GLT1強調画像上でガドリニウム増強を伴う、FLAIR画像(AおよびB)における中脳のシグナルの増加.入院時の81歳の患者の磁気共鳴画像(C) 、および5週間後(DおよびE)、FLAIR画像上で有意な改善を示した。(https://jamanetwork.com/journals/jamaneurology/fullarticle/795692)


Categorised in: 神経眼科