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2017年11月11日

9336:シンポジウム2 神経眼科と斜視のNetwork

シンポジウム2 神経眼科と斜視のNetwork 

S2-1 神経眼科からみた斜視 中馬 秀樹 宮崎大学

 神経眼科で見かける眼球運動異常の発生する原因を各3半規管からの出力などに関連付けて詳しく説明されていました。ここまで詳しい眼球運動の話になると、一度聞いただけでは話が再現できません。やはり詳細なハンドアウトが欲しいところです。
 あるいは近々神経眼科誌に今回のシンポジウムの総説が掲載されるかと思いますので、それを期待することにしましょう。

 

S2-2 外眼筋と固有知覚の役割 濵﨑 一郎 岡山大学病院

骨格筋の腱に存在するような筋の自己受容器が外眼筋にも存在し、それが斜視治療にも関連するという説は1981年頃には徳島大学の故・三井教授や当時助教授であった田村先生、それに北里大学の向野先生などによって盛んに論じられておりました。三井先生は、その構造ゆえに外斜視手術では敢えて正面を向いている側のドミナントアイに手術を加えると言っていたように記憶しています。それに対して当時東大から水戸の小沢眼科に赴任していらした山崎先生は断固コピー説で自己受容体説には絶対反対の論陣を張っておいででした。自己受容体が不要なのが外眼筋固有の特徴だというのです。その論争で、日本神経眼科学会のデスカッションが止まり、聴衆が凍り付いたのを思い出します。しかし、その後の山崎先生の海外での交通事故死により、その論戦は雲散霧消したと記憶しています。

今日の話には当時の論争の解説は全くありませんでした。しかし、今日のお話は非常によく現在の眼球運動理論のコンセンサスを解説されており、インフローセオリー、アウトフローセオリーなどに視覚情報を含めた3種のフィードバックが働いていると説明しておられました。しかし、私の不勉強故、私にはその論点と、演者自身の業績部分が会場で話を聞いただけでは、十分には理解できませんでした。今後、神経眼科誌の総説などで、そのあたりを解説いただけるのをお待ちしましょう。

demer 

S2-3 眼窩プーリー病 後関 利明 北里大

1990年にDemerが提唱した眼窩プーリー。リング状に眼球赤道部を取り巻くテノン嚢内にある結合組織。コラーゲン、エラスチン、平滑筋からなる。外眼筋を取り囲む結合組織とバンド状組織からなる。外眼筋の機能的起始部として働き、外眼筋の走行を規制する。病的なものには加齢性変化と機械的変化がある。

  加齢で外眼筋周囲の眼窩プーリーが菲薄化し、外直筋が下垂。外直筋ー上直筋バンド(LR-SR band)が伸展断裂し、開散麻痺様内斜視や上下回旋斜視を生ず。この眼位異常をSagging Eye Syndromeと呼ぶ。(上図はその状態を示す図でネットから採録)

  眼科容積に比して眼球眼球容積が大きいと、筋円錐外に脱臼する。脱臼は上直筋と外直筋の間で起きる。LR-SRバンドが機械的に破壊し固定内斜視を生ず。眼科窮屈病、Age related distance esotropia、強度近視性斜視なども同類。演者は眼窩プーリー病を提唱する。

昨日のデマー先生のお話が大変よく簡潔に理解できる、優れた講演で有ったと思います。

 

S2-4 麻痺性斜視の治療 根岸 貴志 順天堂大

あらゆる麻痺性斜視は6か月待ち、安定してから手術すると。麻痺性斜視を原因になる神経麻痺ごとに分けて対応を示された。非常にシャープな対応を示されたと感じました。

  外転神経麻痺:多数の上下直筋をいじる手術があった。近年切腱や分割を行わない西田法(先年急に亡くなった滋賀医大の西田先生の名がここに残っているらしいです。)が評価されている。急性期ではボツリヌス毒素法も用いられる。

  滑車神経麻痺:上下斜視だけでなく外方回旋もきたす。タッキング。遷延すると複雑化する

  動眼神経麻痺:外直筋の後転・切腱切除の効果は一時的。外直筋の骨膜固定が最近提唱される。

10年ほど前には、根岸先生が順天堂のレジデントから埼玉県の小児病院の医員になられたころに、江東高齢者医療センターの手術室で白内障手術でご一緒したことを懐かしく思い出しながら、今日のお話を伺いました。私のところでも、神経眼科外来では少なからぬ麻痺性斜視に出会いますが、講演終了後に伺いましたら、順天堂大の斜視外来でも初診の受付に待ち行列ができているという状態だそうです。


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