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2017年7月16日

9020:眼と脳の機能解剖学;眼球運動障害(視能訓練士協会新人教育プログラムシラバス)

2017,7,16に行われた新人教育プログラムでの私担当講義の要点です。
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最初は、この会場界隈の紹介から。神田川に架かる「万世橋」にちなみ、万世橋駅が開業したのは1912年(明治45年)。甲武鉄道(中央本線)のターミナル駅として、上野駅、新橋駅と並ぶ東京を代表する駅でした。
鮮やかな2階建ての赤レンガ造りの初代駅舎は、東京駅(1914年[大正3年]開業)より先に建てられ、東京市電(路面電車)の乗り換えターミナルとしても大いににぎわった。万世橋駅は、1919年(大正8年)に中央本線が東京駅まで延伸すると徐々に寂れていきました。
乗降客数減少により、1943年(昭和18年)に駅の営業は中止

眼球運動の種類

眼球運動は6つの型の運動をなす。そのうち2つは
速く、4つは遅い。

 

. 速い眼球運動 FEM 速度300700°/

a. 衝動性運動 saccade:  刺激は, 1)    随意的注視方向の変化、2)    急激な知覚刺激(視覚、聴覚、疼痛など)

b. 眼球振盪急速相 nysTAGSmus quick phase FEM:頭が持続的に回転しているとき、眼振急速相は。眼位ずれを修正する

 

2. 遅い眼球の運動 SEM 速度2050°/


c. 滑動性追従運動:滑動性眼球運動の刺激は

1)対象物イメージの中心窩からのずれ

2)ゆっくり動く対象物への追従

3)対象物が50°/秒以上なら追従に取り残されたのち衝動性FEMで対象を追いかけ、滑動性SEMで追従する。(歯車式追従運動)

 

d. 視運動
e.  前庭系 (耳の奥に三半規管がある)
f.   寄せ運動 (遠くと近くに鉛筆を動かすイメージ)

 

.眼球運動の神経路

a. 衝動性眼球運動

b. 眼球運動急速相

c. 滑動性追従運動

d. 視運動性SEM:(optokinetic

e. 前庭性SEM (迷路、橋路)

f. 寄せ運動SEM(後頭葉・中脳路)

 

◎眼球運動制御の総括

         前頭葉眼領域(FEF)と上丘(SC)は衝動性眼球運動の発生に関連し、頭頂・後頭・側頭葉連結(PEF)は追従運動に重要

 

Ⅲ.水平注視(Horizontal pathway) の脳幹経路とその異常

       傍正中橋毛様体(PPRF)内の細胞からの軸索は同側第脳神経核に至り、そこで外転神経ニューロンとシナプスを形成し、後者の軸索は同側の外直筋(LR)に至る。外転神経核間ニューロンの軸索は正中で交叉し内側縦束の中を通り対側第脳神経核~特に内直筋副核に至る。

       Ⅲ‐1.頭頂葉障害では同側への遅い追従運動は見られない

       Ⅲ‐2.PPRF(傍正中橋毛様体)は脳幹における側方への眼球運動の中枢である

       Ⅲ‐3.内側縦束:  MLFと核間性眼筋麻痺(INO):PPRF症候群は脳幹に原因が有って側方を向けない。核間麻痺(INO:MLF)なら一眼の内転制限と他眼の解離性眼振を示す。もう少し詳しく話すと、信号はPPRFからいったん同側の外転神経核に入ってその外転神経運動ニューロンと反対側の動眼神経へのインターニューロンに分かれる。後者の軸索がMLF。

       Ⅲ‐4.前庭誘発水平眼球運動:水平半規管は静止時には反対側のPPRFに同じ量の神経支配をなし、4つの直筋が平衡の取れた位置を維持している。

Ⅳ.垂直注視(vertical pathway)の脳幹経路とその異常 :内側縦束の吻側間質核(riMLF)からの上方への衝動性運動の指令は後交連を通るが、下向き衝動性運動への指令は下方の第3と第6脳神経へ投射される。

○核上性眼球運動障害中枢性上下斜視: スキュー偏位、天秤斜視とも呼ぶ

パリノ-症候群:上方注視麻痺など

○輻輳麻痺: 内転できるが輻湊できない。近見時複視。中脳病変か機能的疾患。

○開散麻痺: 外転できるが開散できない。遠方視時に複視。

 

.ここから脳幹および脳神経に入る -②-2

Ⅴ‐1.動眼神経の構造と働き

○外眼筋麻痺+眼瞼下垂+散瞳。対光反射消失。

○眼位は外斜。内転、上転、下転が不能。

○病変部位と圧迫?非圧迫性?を診断。

○外側に副交感神経線維が走行。圧迫では散瞳が外眼筋麻痺に先行して出現。

○糖尿病などの非圧迫性病変では散瞳を伴わない(瞳孔回避)ことが多い。

Ⅴ‐2.滑車神経の構造と5つの症候群

              臨床症候群:

. 核・束症候群:出血、梗塞、脱髄、外傷

. くも膜下症腔候群:外傷が多
く、腫瘍など

. 海綿静脈洞症候群:麻痺の合併

4.眼窩先端部症候群

5.第Ⅳ脳神経単独麻痺:先天性(小児と老人)または後天性。Parks 3段階テスト

滑車神経麻痺に関する解説

○滑車神経麻痺では下方視で複視。

○特有の症候は、頭を健側に向けると左右の眼球位のずれが小さくなるため複視が軽くなる(Bielschowsky 傾斜試験)。

○滑車神経は中脳内の走行が極めて短い。

○滑車神経麻痺が単独で起こるのは稀。

○動眼神経麻痺と合併している場合は上眼窩裂や海綿静脈洞病変がある可能性。

 

Ⅴ‐3.外転神経核の構造と6症候群

              . 脳幹症候群

. くも膜下腔症候群:脳圧亢進時に起きる。他に出血や感染

. 錐体突起症候群:中耳炎(グラデニゴ、錐体骨骨折、小脳橋角腫瘍)

. 海綿静脈洞症候群;(外相血管性、新生物、炎症)

. 眼窩症候群:(眼球突出;腫瘍、外傷、炎症)

.外転神経単独麻痺

 

脳神経核とその神経束

       脳神経核の虚血は顔面神経麻痺も合併する

       先に述べた様に第脳神経核の障害はPPRF様の側方注視麻痺になる。

       鑑別は:甲状腺疾患、筋無力症、Duane症候群、輻輳痙攣、吹き抜け骨折、ミオパシー、先天内斜視

外転神経麻痺

         眼球は内転。外転が不能。病変部位は橋レベル、くも膜下腔、海綿静脈洞~上眼窩裂の3ヵ所に大別。

       橋病変ではPPRF障害による側方注視障害、顔面神経麻痺、橋を通る錐体路障害性片麻痺を合併。

       くも膜下腔病変では髄膜刺激症状。

       海綿静脈~上眼窩裂の病変では動眼神経、三叉神経第一枝の障害を合併。

       頭蓋内圧亢進での外転神経も見る。走行距離が長く障害されやすい。< /p>

◎外転神経麻痺に似たデュアン症候群:左眼が外転せず、内転時に眼球が後退して瞼裂が小さくなる

 

Ⅴ‐4.海綿静脈洞

              主な内容物:第脳神経、第脳神経、第脳神経、顔神経(V1)、交感神経頸動脈叢、海綿静脈内内頚動脈

 

神経筋接合部に関連して
:重症筋無力症:MG 夕方に悪化する。氷で冷やすと改善する(アイスパックテスト)、テンシロン(コリンエステラーゼ阻害剤)静脈注射でも改善する。

、外眼筋の異常

運動制限,変性疾患,先天性など。バセドウ病重症例(甲状腺機能亢進症)

         慢性進行性外眼筋麻痺例;ミトコンドリアの呼吸鎖に異常があって、外眼筋がゆっくり萎縮していく。

a) 進行性外眼筋麻痺
  
CPEO Chronic progressive external ophthalmoplegia

       概要
眼瞼下垂及び外眼筋麻痺、心伝導障害、網膜色素

変性を3徴とする症候群をKearsn-Sayre症候群(KSS)という。

       臨床像 眼症状として、眼瞼下垂と外眼筋麻痺を認め、

      網膜色素変性は非典型的。

      神経症状:小脳症状、難聴、体幹・四肢の筋力低下など。

      診断は、生検筋でragged-red fiber(赤色ぼろ線維)。

       発症機序
CPEO70%、KSS90%に、mtDNAの欠失もしくは欠失/重複。

      典型的なCPEOのほとんどは、mtDNAの単一欠失を有す。

b) ミクリクツ病および特発性眼窩炎症

c) 甲状腺眼症、バセドー病:甲状腺腫大、眼球突出(甲状腺眼症)頻脈、眼球突出が顕著となると、眼球運動障害(複視)や視神経症をきたす。ステルワーグ徴候(瞬きの増加)、グレーフェ徴候(上眼瞼拳筋の過度の緊張で上方注視後に下方に視線を移すと、上眼瞼下際と角膜の間に白目が見える)、メビウス徴候(両眼輻輳失調)などが見られる。

d) 眼窩吹き抜け骨折:眼の鈍的外傷では眼窩の下壁ないし内側の壁に骨折を生じ、

複視を訴える例がある。画像診断で診断し、必要に応じて

整復手術を手配する。

 

◎眼球運動編のまとめ

       眼球運動には2つの速い運動と4つの遅い運動がある

       そのそれぞれの発生にはそれぞれ異なった解剖学的な「核上性」と呼ばれる構造が関与している。

       眼球運動に関連する脳幹の核は3つある。

       そのそれぞれから出た脳神経が眼球を動かす。

       眼窩内には眼筋と神経の接合部や外眼筋自体など疾患に関連して変化を示す部位がある


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