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2016年12月4日

8358: 神経眼科学会抄録集にある、知っておくべき病名等々。その4、

◎P-1-30: 片眼性視神経萎縮
 片眼性の視神経萎縮はあらゆる視神経疾患で見られることがあるのですが、視神経を圧迫する髄膜腫などが隠れていることがありますから慎重に原因疾患を除外する必要があります。

◎O-6-4,P-2-2、P-2-3: レーベル遺伝性視神経症:
細胞のなかでエネルギー産生を行う、ミトコンドリアという器官の遺伝子の異常により、網膜の一部の細胞が選択的に障害される病気。男性に多い疾患で、10〜30歳代に発症の大きなピークがあり、40歳代前後にもう一つのピークがある。発症すると数週間から数ヶ月の間に、両眼の視力低下、中心部の視野欠損が起こる。国内では、2015年に全国ではじめて本格的な調査が行われ、患者数は約10000人前後と推測されている。ミトコンドリアの遺伝子変異があり、かつ何らかの発症要因が加わったときに発症する。発症要因として酸化ストレスとの関連が予測されている。とくに喫煙が発症と進行に関連していることが報告されているほか、薬剤やホルモンなどとの関連も予測されている。

◎P-2-6、visual snow
visual snow:視覚的な雪、または視覚的静止(visual static)は、人々が一時的または永続的に見る視覚的な症状。雪やテレビ画面のような静的な画像が、部分的またはその全体視野を覆う。それは、日光の下を含め、常にすべての光の条件で見える。
「雪」の重症度や密度は、人によって異なる。 或る状況では、それは明るい日光の下でさえも詳細に見えるが、残像やその他の視覚的ないし非視覚的症状のために、読み取りを困難にして人の日常生活に悪い影響を与える。それは、ドライブ、日常的な作業を困難にする。閃輝暗点との関連が述べられたこともあったがほぼ否定されたとしてよさそうである。

◎ P-2-7: Balint症候群 バリント症候群
その症状は以下の3つとされる症候群で、脳こうそくなどの頭頂葉に病巣を持つ疾患で見られることのある症状。。①視覚性注意障害:典型的には視野の主に中心部においてひとつの物体しか見ることのできない症状
②精神性注視麻痺:対象への視線の移動が難しく、個視も不確実な症状
③視覚失調:発見し、固視した対象であってもスムーズに手を伸ばしてつかむことができない症状

◎P-2-23: 成人T細胞リンパ腫
HTLV-IはヒトT細胞白血病ウイルスI型(human T-cell leukemia virus type I)の略で、成人T細胞白血病(adult T-cell leukemia ; ATL)を引き起こすウイルスとして知られる。 本ウイルスはレトロウイルス科に属し、同じヒトレトロウイルスのhuman immunodeficiency virus (HIV)と同様、血液中のTリンパ球に感染する。HTLV-Iの感染者の多くは無症候性キャリアであるが、一部がATLやHTLV-I関連脊髄症(HAM/TSP)、そしてHTLV-I関連ぶどう膜炎(HTLV-I associated uveitis ; HAU)などの疾患に関係する。

P-2-27: 片側顔面痙攣

P-2-4、P-2-27 眼瞼痙攣

◎P-2-8: 一過性脳接続性変化
数分間だけ片方の眼の視力が下がり、そのあと回復して、視野の欠損さえも残さない。そんな症状を眼科では一過性視力低下とか一過性黒内障と呼ぶ。英語ではAmaurosis Fugaxアマユローシス・フューガクス。一過性脳虚血発作(TIA)は脳梗塞の前兆でもあり、極めて危険な状況である。その眼底は多くの場合には正常ですが、時には白色のホーレンホーストプラークと呼ばれる白点が網膜血管内に見られたり、もう少し激しいと網膜動脈分枝閉塞症が見られたりすることもある。
眼科ではまず内頸動脈と外頸動脈分岐部付近のアテローマ(粥状動脈硬化症)の存在を疑って、MRA撮影を依頼する、持続的に血栓が飛んでいるならば、MRIに脳梗塞や散在性ラクナ梗塞が有るかもしれない。
 そして、必要があればさらに頸動脈の超音波ドップラー検査を依頼する。内頸動脈のアテローマはその状面が潰瘍化しやすく、そこに生じる壁在血栓を持続的に産生し、それが頸動脈血管内に流れて飛べば、一過性視力障害の原因になる。血管外科では血栓の除去をしてくれるかもしれない。

P-2-11: 抗GQ1b抗体症候群
フィッシャー症候群の三徴(外眼筋麻痺、運動失調、腱反射消失)をヒト神経系におけるGQ1bの局在により説明しようとする意見が強まりつつある。フィッシャー症候群の患者血清から高頻度にガングリオシドGQ1bIgG抗体が検出されることが報告され、さらに眼運動神経(動眼神経、外転神経、滑車神経)に傍絞輪部にはGQ1bが豊富に発現していることからGQ1b抗体が外眼筋麻痺に関与していると考えられている。さらに眼運動神経の中でもその神経終末にGQ1bの発現がより高いことも報告されており、障害部位に関しては神経幹の傍絞輪部に加えて末梢神経において血液神経関門を欠如する神経終末部も抗体介在性機序で障害されている可能性が指摘されている。

◎P-2-16: 抗Musk抗体陽性重症筋無力症
 重症筋無力症(MG)は、神経筋接合部の後シナプス膜上にある標的抗原に対する自己抗体のため神経筋接合部が刺激伝導障害される自己免疫疾患であり、自己抗体の種類によって、
①抗アセチルコリン受容体抗体陽性MG(筋無力症)
②抗筋特異的チロシンキナーゼ抗体陽性MG
③前記の抗体が検出されないseronegative MGに分類される。
これらの中で、抗MuSK抗体陽性MGは眼症状、球麻痺、頸部筋力低下、呼吸筋麻痺等を主症状とし、陰性群と比較して、嚥下障害や呼吸困難などの重症例の頻の高いことが報告されている。本邦では、MG全体の80-85%が抗AChR抗体陽性で、残りの10%以下に抗MuSK抗体が検出されている。現在MGの病態や治療を考える上で、最初に抗AChR抗体および、抗MuSK抗体の有無を調べることが重要となっている。本検査は抗AChR抗体陰性例におけるMGの補助診断や重症度の把握、治療法の選択などに有用である

◎P-2-17: Lambert-Eaton症候群 ランバート・イートン症候群またはランバート・イートン筋無力症候群(Lambert-Eaton myasthenic syndrome、LEMS)
 傍腫瘍性神経症候群である。80~90%にP/Q型電位依存性カルシウムチャネル自己抗体(抗P/Q型VGCC抗体)が検出される。神経筋接合部かつ自律神経疾患でもあり血漿交換やステロイド治療に反応する。過半数の症例(50~60%)で肺小細胞癌(SCLC)を合併し、肺癌の治療によりランバート・イートン筋無力症候群(LEMS)自体も寛解する。

◎P-2-19: Opsoclonusmyoclonus ataxia syndrome (OMS)
 オプソクローヌスミオクローヌス症候群(OMS)は原因不明の自己免疫が関与したプロセスで神経系を冒す稀な神経障害あです。それは、年間1000万人に1人の割で発生する非常にまれな状態です。 それは神経芽細胞腫を持つ小児の2〜3%に影響します。
 オプソクローヌス(opsoclonus)は (急速な眼球運動の間に間隔がない、迅速で、不随意で、その方向も(水平および垂直を含み)不特定な、予測が不可能な、連続する衝動性眼球運動です。

◎ P-2-20: 有痛性眼筋麻痺
 有痛性眼筋麻痺はトローザハント症候群とも呼ばれる疾患で、(明かな原因無く、)炎症性の肉芽腫(白血球が集まったようなもの)が海綿静脈洞に出来、其の結果痛みと複視を生ずる疾患です。(https://www.kiyosawa.or.jp/archives/50691385.html)

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