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2016年7月4日

7923:<視神経細胞>iPSとESから作製、マウスで初成功:記事紹介

<視神経細胞>iPSとESから作製、マウスで初成功

毎日新聞2016年 6月28日(火)0時30分配信

清澤のコメント:まずはめでたいお話です。しかし、これが人で実用化されるまでにはまだまだ長い道のりが必要かと思われます。殊に網膜神経節細胞という事になりますと、細胞体は網膜に、そして軸索は外側膝状体まで結ばねばなりません。その長い経路に軸索を張らせるなどという事がはたして可能なのでしょうか。網膜色素上皮という網膜を裏打ちするだけの細胞でも難航が報じられています。
--本文の引用です---
マウスのiPS細胞(人工多能性幹細胞)とES細胞(胚性幹細胞)から視神経細胞を作製することに世界で初めて成功したと、国立成育医療研究センター(東京都)と埼玉医科大の研究チームが27日、発表した。失明の恐れがある緑内障など視神経の病気で、視覚を回復させる治療法開発につながるという。

チームは、マウスの皮膚細胞から作ったiPS細胞を特殊な液で培養し、視覚情報を電気信号として伝えるための数センチの「神経線維」を持つ視神経細胞に変化させた。実際に電気を通し、神経として機能することを確認した。また、マウスのES細胞でも同様の方法で視神経細胞を作製した。両方の細胞から視神経細胞を作れたことで、治療法研究の選択肢が増えるという。

チームは昨年、同じ技術を使い、ヒトの皮膚から作ったiPS細胞を視神経細胞に変化させることに成功している。新しい治療法などの開発にはマウスなどでの動物実験が欠かせず、今回のマウス細胞での成功により、視神経細胞の死滅を抑える薬の開発や、移植による視覚回復に近付くと期待される。

国立成育医療研究センターの東範行・視覚科学研究室長は「動物種や幹細胞の種類に関係なく、同様の技術で視神経細胞が作れることが分かった。作製した視神経細胞をマウスに移植する実験などを進めており、人への応用につなげたい」と話す。【藤野基文】
--引用終了---

さて、この原著は

2016年6月
マウス胚性幹細胞および人工多能性幹細胞からの機能的軸索による網膜神経節細胞の生成
田中拓;横井正;他
Investigative Ophthalmology&Visual Science June 2016、Vol.57、3348-3359。 doi:https://doi.org/10.1167/iovs.16-19166
概要
目的:我々は以前に、ヒト人工多能性幹細胞(hiPSC)からの機能的軸索を持つ自己誘導網膜神経節細胞(RGC)を生成しました。マウス胚性幹細胞(mESC)および誘導多能性幹細胞(miPSC)からの自己誘導RGCが同様の誘導プロトコルによって実現されるかどうかを調査しました。

方法:網膜神経節細胞は、浮遊胚様体(EB)を3次元培養で網膜細胞系統に分化させ、その後脳由来神経栄養因子(BDNF)を補充した2次元培養皿に付着させるプロトコルを使用して誘導されました。

結果:網膜神経節細胞は、視神経小胞に由来する細胞の付着塊で発達し、ほとんどの軸索は、塊の縁でRGC細胞体から成長した。 RGCの分化は、Brn3aおよびMath5を含む特定のマーカーの発現によって確認されました。軸索は、ニューロフィラメントのサブタイプとタウを含み、軸索輸送とナトリウム依存性の活動電位を示しました。 mESCおよびmiPSCに由来するRGCは、一般に、RNAおよびタンパク質発現レベルおよび機能を含む同様のプロファイルを示した。

結論:mESCおよびmiPSC、特に後者から生成された網膜神経節細胞は、RGCに関連する研究および遺伝子改変マウスのin vitro分析に貢献する可能性があります。

この原著はオープンアクセスとなっています。

Categorised in: 神経眼科