お問い合わせ

03-5677-3930初診受付

ブログ

2016年4月20日

7669:もやもや病の眼症状とは?

本日はもやもや病の眼症状について調べてみましょう。

この件に関しては、驚いた事にまともに多数を調べた英文の報告はほとんどありません。

ほぼ唯一といえる報告はAm J Ophthalmol. 1987 Jun 15;103(6):812-6.にあるモヤモヤ病の眼症状(Ocular symptoms of moyamoya disease.)です。著者はNoda S, Hayasaka S, Setogawa T, Matsumoto S.であり、これは、東北大学から助教授で島根医科大学に移られて島根におられた早坂征次先生(仙台の眼科での先輩)が著者に入っておいでです。「もやもや病」の命名者であった鈴木二郎東北大学脳外科教授の影響を受けてのものだったのでしょう。

まず上の報告の抄録を邦訳してみます。

 『視覚的徴候を持っていたmoyamoya病を持つ4人の患者を検査した。病気の診断は、頚動脈血管造影により観察された脳基底領域での異常な血管網に基づいた。1人の患者が一過性視力低下(一過性黒内障)を持っていた。2番目の患者は、両側の視力低下と視空間失認。あとの2人の患者は同名半盲を持っていた;その一方は一時的な複視も訴え、他は視神経乳頭の耳側蒼白青を示した。持っていた。私々は、moyamoya病を持つ患者が様々な視覚徴候を表していると気付いたけれども、異常な眼内の所見はほとんど持っていなかった。』

104-2(neuroinfo japanから借用)
 神経眼科医清澤のコメント:脳底部のウイリス動脈輪が進行性に閉塞して、もやもや血管と呼ばれる側副血行路が脳内に発生します。この血管が発生するということは脳の虚血の表象であり、呼吸回数を増やして血液中の二酸化炭素を減らすような運動をすると、このもやもや血管は短時間で収縮して、脳は虚血症状を示します。

 中年の患者では時にはこれが血管の破たんをきたして分水嶺領域に出血性の脳梗塞を起こしますが、後部の分水嶺(watershed area)に当たる登頂・側頭葉と後頭葉の間辺りはその深部に視放線を持つため半盲などの視野障害を起こしやすいようです。

 そのほかに、片方の眼球と視神経にも側副血行が関与するようで、脳血管撮影時に見える脈絡膜のクレセントが強まるということを鈴木二郎先生本人から直接伺ったことがあります。片眼の一過性視力低下や視神経乳頭耳側の萎縮はそれに関連したものかもしれません。

 日本以外の国々では多数症例を集めることが困難なようですから、東北大学や東京医科歯科大学のように比較的多くの症例のいる病院であれば、カルテを探ってみるだけでもそれなりの共通項がもっと見えてくるかもしれません。

 なお、東京医科歯科大学の成合直准教授は、強い血流の動的なストレスが、モヤモヤ病患者のある特定のサブグループの患者に診られる、PET研究(Severe haemodynamic stress in selected subtypes of patients with moyamoya disease: a positron emission tomography study)という本格的な論文を(J Neurol Neurosurg Psychiatry 2005;76:663-666)に出しています。(Nariai T 他)その論文を見ると、半盲を起こすようなモヤモヤ病は出血を起こす(30-40歳という)サブグループに限られるのかもしれません。

◎原因

原因となる感受性遺伝子はRNF213遺伝子の多型p.R4810Kである(感受性遺伝子とは疾患への感受性を高める遺伝子をいい、遺伝子異常だけで起こる原因遺伝子とは区別される)[2]。RNF213をクローニングしたゲノムは591-kDaの細胞質に存在するタンパクをコードしており、血管形成に重要な新たな遺伝子である。

◎統計
年間発症率は10万人あたり0.35-0.5人と推定されている。日本では年間約400-500人程度の新患の登録があり、常に約4000人の患者がいる。男女比は1:1.7、好発年齢は5歳と30~40歳の2峰性を示す。小児では脳虚血症状が多いのに対して成人では出血発症が多い。約15%に家族歴があるとされている。

◎代表的症状

○小児のもやもや病でもっとも特徴的な症状は、過呼吸時によって誘発される一過性の脱力発作である.典型的な運動麻痺ないし脱力は数分から数十分継続した後に改善する.他、頭痛、不随意運動、痙攣発作などで発症する場合もある.脳梗塞で発症した場合はその部位に応じた運動麻痺や失語等といった巣症状の他、精神発達遅延、知能低下や学習障害が前面に現れることも多い.年齢的には5歳以下の乳幼児で脳梗塞発症が多く、重篤な場合が多い.

○成人のもやもや病は小児と異なり脳出血で発症することが多く、出血の部位により症状が異なる.運動麻痺や言語障害といった巣症状の他、意識障害、けいれん、一過性の頭痛などの症状を呈する.重篤度は出血の部位に加え出血の程度によって異なるが、一般的に虚血例に比べ出血例に重症例が多い.虚血発症の場合は基本的に小児と変わらない.

 

Categorised in: 神経眼科