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2016年4月13日

7645:上下の麻痺性斜視の診断にパークススリーステップテストを理解しよう。

7645:上下の麻痺性斜視の診断にパークススリーステップテストを理解しよう。

今日の神経眼科外来から 4月13日

今日は、滑車神経麻痺と思しき複視を訴える患者さんが何人も来ました。レジデント諸君には滑車神経麻痺を見てすぐにそれとわかるのは難しいでしょうけれど、今日はそれを理解できるように努力してみましょう。

実際に、上下の斜視を示す患者での滑車神経麻痺(≒上斜筋麻痺)の頻度は高いです。

 ここでは右の上斜筋の麻痺であるとしてみましょう。
眼球の上下の動きに関連するのは左右4筋だけですから、候補者は8筋です。
これで12ある外眼筋のうち4つ(右外直筋、右内直筋、左内直筋、左外直筋)が消えました。ではここから実際の診察が始まります。

Screenshot20110428at9_53_26PM(http://www.sovoto.com/group/doctorsclinicaltools/forum/topics/vertical-deviations3-clinical?commentId=3331115%3AComment%3A16303&groupId=3331115%3AGroup%3A13813)

1)第1ステップ:まず上にずれている眼が右目か左目かを眺めて決めます。
 ここでは仮に右目が上にずれていたとします。それならば、麻痺している筋の候補は右眼の問題であれば(右)下直筋か(右)上斜筋、あるいは左眼の問題であれば(左)下斜筋か(左)上直筋です。カタカナのキを横に倒して2つ並べて各筋の名前を入れてみると良いでしょう。
これで候補者は4人に絞られました。

2)第2ステップ;次に第一ステップで見た上下のずれが大きくなるのが患者が右を見た時か?、左を見た時かを確かめましょう。検査者が見て決めてもよいですし、患者にずれが大きいのはどちら?と聞いてもよいです。
患者が左と答えたとしましょう。
それならば、左向きで上下に働くのは右目ならば下斜筋と上斜筋、左目ならば上直筋と下直筋です。

そこで第1ステップと第2ステップをともに満たすのは、右の上斜筋と左の上直筋ということになります。

3)第3ステップが少しややこしいです。首を右下にから向けた時と首を左下に傾けた時のいずれがずれを大きく示すか?(あるいは患者が上下のずれを大きく感ずるか?)を調べます。

ここでは右に倒した時に上下のずれが増大すると答えたとしましょう

首を横に倒した時には、人の眼球の上側は顔に対してではなく、地面に対して垂直に立っていようとします。

右に倒した時に右上斜筋は内方回旋に必要ですから、上下のずれは悪化しこれが答えです。一方、左上直筋の働きは左目の内方回旋であり、頭を地右に倒して地軸に垂直に眼球を起こすのに必要な左目の回旋運動は外方回旋ですから、左の上直筋ではないということになります。

実際に上下の斜視で単一の筋の麻痺である場合には、まず上斜筋しか出てはきません。下斜筋や上直筋、下直筋が答えとなることはまずないのです。

ですから、パークススリーステップテストでは左右の上斜筋が麻痺すれば上の各ステップがどのように反応するかだけに注目して答えを知っていればよいでしょう。

つまり、
右滑車神経麻痺なら、1)右目が上にずれ、2)眼を左向きで悪化し、3)首を右に倒すときに悪化です。
左滑車神経麻痺であれば、1)左目が上にずれていて、2)眼を右に向けると上下ずれは悪化し、3)頭を左に倒した時に上下のずれは悪化です。

この判断では、神経や筋肉の麻痺を前提としていて、甲状腺眼症で見られるような進展障害は想定してはいません。また話はそう簡単に一つの筋に落ち着いてくれるばかりではなく、どこかで逆転してしまう場合も少なくはないのです。

そこで、比較的有効な麻痺金の推定方法は、ヘスチャートを見る方法です。Hessチャートが、左右眼いずれかの下内側への牽引が足りない形であれば、(左または右の)上斜筋麻痺であろう、つまり左または右の滑車神経麻痺であろうということができます。

以前の滑車神経麻痺の項目も併せてごらんください。
(本日の説明に合致する図を拝借して追加しました。)

関連記事:
1)233 滑車神経麻痺、上斜筋麻痺⇒リンク:https://www.kiyosawa.or.jp/archives/50688916.html

2)4252:外傷性滑車神経麻痺⇒リンク:https://www.kiyosawa.or.jp/archives/53928072.html

3)2951 先天性滑車神経麻痺とは?⇒リンク: https://www.kiyosawa.or.jp/archives/53365602.html

Categorised in: 神経眼科