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2016年4月10日

7634: 薬剤起因性腸炎、偽膜性腸炎、クロストリジウムデフィシルとは?

300px-Clostridium_difficile_01 直接に眼科の病気ではないのですが、クロストリジウムデフィシルという菌があって、これが原因となって腸に強い炎症が起きると、集中的な治療が必要になる場合があるそうです。

今日は、そんな病気について一緒に神経眼科の診察をした若い医師にそんな話を聞きましたので、帰宅後おさらいの意味でまとめてみます。

ボトックスを作るのに使われているC. botulinum(クロストリジウム・ボツリヌム)ボツリヌス菌も近縁の筋だそうで、そう聞くとこの嫌気性菌にも既視感が持てました。

●薬剤起因性腸炎とは(参考記事:http://health.goo.ne.jp/medical/10G31900)

薬剤投与の目的は、病気に対する治療を図ることですが、副作用が発生することがある。薬剤の副作用として発生する大腸の病変を薬剤起因性大腸炎という。薬剤投与によって腸管にびらんや潰瘍などの炎症が起き、腹痛、下痢や下血などの症状が生じる病気を薬剤起因性腸炎と呼ぶ。

抗生剤によるものは抗生剤起因性腸炎とされ、それらはさらに偽膜性腸炎(ぎまくせいちょうえん)と出血性腸炎(しゅっけつせいちょうえん)に大別される。

〇原因は何か

薬剤起因性腸炎を起こす薬剤としては抗生剤が最も多く、その他の薬剤では非ステロイド性消炎鎮痛薬、抗がん薬、免疫抑制薬、重金属製薬、経口避妊薬などがある。

偽膜性腸炎の原因は、抗生剤(とくにセフェム系やリンコマイシン系)の服用により腸内細菌叢(そう)の菌交代現象(腸内細菌バランスの乱れ)が起こり、ディフィシル菌が異常増殖し、それがつくる毒素が大腸粘膜の循環障害を引き起こすとされる。

出血性腸炎のメカニズムはいまだに解明されてないが、ペニシリン系抗生剤が何らかのアレルギー反応を引き起こし、大腸の血流を障害してびらんを引き起こし、出血を起こすとされる。

〇症状の現れ方

偽膜性腸炎は、基礎疾患のある高齢者に多くみられ、抗生剤投与5〜10日後に発生する水のような下痢が主な症状。その他の症状としては腹鳴(ふくめい)、下腹の鈍痛、腹部膨満感(ぼうまんかん)、中等度の発熱も伴うが、血便は比較的少ないとされる。

出血性腸炎は比較的健康な若年者に多い疾患で、かぜなどの治療のためにペニシリン系抗生剤を投与した3〜4日後に、突然の激しい腹痛と新鮮な血性下痢がみられる。

〇検査と診断

抗生剤投与後に下痢がみられたら、まず本疾患を疑い、偽膜性腸炎では便中のディフィシル菌毒素の検出や便の培養検査を行う。大腸内視鏡検査では、直腸下端からS状結腸にかけての大腸粘膜に特徴的な黄白色調の半球状に隆起した偽膜がみられ、ひどい場合には全大腸に及ぶこともある。

出血性大腸炎の大腸内視鏡所見としては、主に深部大腸(横行結腸が好発部位)にびまん性の粘膜の発赤と出血がみられ、潰瘍がみられることもある。

〇治療の方法

抗生剤などの薬剤によって引き起こされる病気なので、原因薬剤の中止が治療の基本。偽膜性腸炎ではディフィシル菌に著しい効果を示すバンコマイシンやメトロニダゾールなどが使われる。出血性腸炎では抗生剤の中止と対症療法だけで急速に症状が改善する。
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◎クロストリジウム属について(参考記事:wikipedia:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%B8%E3%82%A6%E3%83%A0%E5%B1%9E)

クロストリジウム属(Clostridium)は、真正細菌の一属である。偏性嫌気性で芽胞を形成するグラム陽性の桿菌である。

クロストリジウム属の菌は、土壌内部や生物の腸内などの酸素濃度が低い環境に生息する偏性嫌気性菌であり、酸素存在下では増殖できない。クロストリジウム属の菌は酸素存在下で、耐久性の高い芽胞を作って休眠することで、死滅を免れる。

〇病原性クロストリジウム属菌

次のクロストリジウム属5種はヒトに対する病原性を有する。

① C. botulinum(クロストリジウム・ボツリヌム)ボツリヌス菌。土壌中などの自然環境中に広く存在。ソーセージや真空パックの食品中や傷口内で、ボツリヌス中毒を引き起こすボツリヌストキシンを産生する。これは眼瞼痙攣に我々が治療薬として毎日利用しているボトックスを産生する菌ですね。

② C. tetani(クロストリジウム・テタニ)破傷風菌。土壌中に芽胞の形で多く存在する。傷口から感染し、テタヌストキシンを産生して破傷風の原因になる。

③ C. difficile(クロストリジウム・ディフィシレ)ヒトや動物の腸内に生息。抗生物質に比較的抵抗性で、抗生物質大量投与時に、他の腸内細菌が死滅したときに過剰に増殖して(菌交代症)、偽膜性大腸炎[ 英: pseudomembranous colitis ]の原因になる。(上記の通り。)

④ C. perfringens(クロストリジウム・パーフリンゲンス)ウェルシュ菌。以前ではC. welchiiと呼称されていた。ヒトや動物の腸内に生息する常在菌の一種だが、一部の菌種は毒素を産生して、食中毒の原因になる。また傷口に感染して、重篤なガス壊疽を起こす事もある。クロストリジウム属の中では例外的に、鞭毛を持たない。

⑤ C. sordellii(クロストリジウム・ソルデリ)中絶後に非常にまれに致命的な感染症を引き起こす。

Categorised in: 神経眼科