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2016年3月12日

7562:厚生省の目には「軽症」?…眼筋型筋無力症、難病から除外か:記事紹介

厚生省の目には「軽症」?…眼筋型筋無力症、難病から除外か

心療眼科医・若倉雅登のひとりごと の記事採録です。

これは眼筋型の重症筋無力症に診られる、疲れると増悪する眼瞼下垂の症例ビデオです。最近、眼筋型筋無力症は氷でしばらく冷やすと明らかな改善が有ることが、あちこちで講演されています。アイスパックを2分ほど載せてみて改善するならこの疾患である可能性が高いとされています。危険はないので自分がそれでは?という事であれば、やってみたがそうらしいと言って眼科医をお訪ねください。

--記事の引用ここから--
 難病研究は長い間、法律なしの特定疾患治療事業でしたが、昨年(平成27年)から難病法が施行され、消費税収入を充てられるようになりました。そして指定難病も56から306疾患へと広げられています。

 障害者総合支援法も平成25年4月から施行されています。これは、民主党政権時代に検討されたものを踏まえた、「障害者の日常生活および社会生活を総合的に支援するための法律」という名称の法律です。

 国際的な基準に則り、地域社会における共生の実現に向けて総合的、計画的に行われることが法律の基本理念で、障害者に認定された人だけではなく、「制度の谷間」にある難病131疾患も対象に含めた画期的なものです。

 障害者も健常者も社会の中で平等に生活する権利を持つ、ノーマライゼイションという国際的な考え方に合致する法律でもあります。

 これを知って、私は「よい政治が行われた」と感嘆する一方、もしこれらの政策への出費を大幅に増額しない場合、範囲を広げた分だけ各人への福祉サービスが薄まるのではないかという懸念も持ちました。

 そこに、厚労省と意見交換をしていたNPO法人、筋無力症患者会の理事長から驚くべき情報が入ってきました。

 3年後(平成30年)に対象区分を見直す時に、重症筋無力症(MG)のうち眼筋型を除外することになっている、というのです。

 見直しの理由は、案の定、財源が確保できないことを挙げたそうです。

しかし、なぜ眼筋型が除かれるのでしょう。

 日本神経学会が示すMGの分類はIからVに分かれていて、そのIが眼筋だけに症状がある眼筋型(II以下は全身型)です。これは、治療結果の重症度を示した分類ではありませんが、厚労省の目にはIが「軽症」と映ったのでしょう。

 もし、「目だけに生じたものは生死に関係しないから軽症」などと考えたのでしたら甚だしい思い違いです。

 脳に入る情報の90%近くは目から入るものですが、それが、眼瞼がんけん下垂で単眼視になったり、眼球の動きが制限されて眼の位置ずれが生じ、ものが二つに見える状態(複視)になったりすれば、いきなり日常生活、社会生活の著しい制限につながります。

 全身型の人でも、眼瞼下垂や複視が突然生じると、それまで何とかできていた社会生活が一気に不能になり、悲壮な思いで私ども神経眼科の外来に飛び込んでくる例は決して珍しくありません。

 子育て世代の親に治療による経済的負担がかかる小児MGの大半は眼筋型です。

 これに対し、さきの筋無力症患者会は、2月17日付で「重症度区分の見直し」「エビデンス(有効性や安全性についての科学的根拠)がそろってきた免疫抑制剤が小児で用いられるための認可」を要望した要望書を、同日に塩崎厚生労働大臣あてに提出したとのことです。

◆若倉雅登(わかくら まさと)

井上眼科病院(東京・御茶ノ水)名誉院長

ーー記事の引用ここまでーー

眼科医清澤のコメント:重症筋無力症に精通している読者には蛇足であろうが、重症筋無力症診断基準案2013で診断を行う。確かにオッサーマン1型を除かれると、当医院で加療中の患者さんで補助から外される患者さんは多くなりそうです。

 分類は筋力低下の現れる範囲によって分類する(以下ウィキペディアによる)。
以前はOsserman(オッサーマン)分類が多かったがMGFA(Myasthenia Gravis Foundation of. America)分類されることが多くなった。また合併する胸腺腫に関しては病理をWHO分類(type Bが多い)で行い、病期を正岡の分類で行う。

成人第I型(眼筋型)
一側または両側の外眼筋のみ侵される。

成人第II型(全身型)
外眼筋・頚筋・四肢筋などが侵される。最も高頻度。球麻痺が現れることもある。

成人第III型(急性激症状)
急激に発症し、広範囲の筋が侵される。呼吸筋も早期に侵されるため死亡率が高い。

成人第IV型(晩期重症型)
I型・II型より約2年の経過で見られる事が多く、III型とほぼ同様の症状を呈する。

成人第V型(筋萎縮型)
II型・III型・IV型の内、廃用性の萎縮ではない筋萎縮を示すもの。

新生児一過性型
胎児の時期に、重症筋無力症の母親から胎盤を通じて抗アセチルコリン受容体抗体が移行するため、新生児に一過性に筋無力症状が生じたもの。

 眼科医が関与するものの多くは成人第Ⅰ型ないし成人第Ⅱ型までである。

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