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2014年8月31日

5773:多発性硬化症再発予防薬フィンゴリモド(イムセラ)とは?

イムセラは多発硬化症における視神経炎の再発を抑える目的で使われる薬剤ですが、本日の勉強会の演題に出て来たので概要を復習しておきましょう。(これは眼科医清澤の復習メモですから、詳細は別記事http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se39/se3999029.htmlなどをお読みください。)

成分(一般名) : フィンゴリモド塩酸塩
製品例 : ジレニアカプセル0.5mg、イムセラ カプセル0.5mg
他の代謝性医薬/その他/多発性硬化症治療剤

概説 多発性硬化症の再発を予防するお薬です。
【働き】多発性硬化症は、脳や脊髄の髄鞘が炎症により壊れる自己免疫疾患のひとつ。神経損傷による症状として、視力の低下、排尿・排便障害、手足のしびれなどを生じ、さらには手足が硬直し歩行が困難となる。その多くは再発と寛解を繰り返す再発性多発性硬化症。

この薬は多発性硬化症治療薬。神経細胞を攻撃する自己反応性リンパ球の中枢神経系への浸潤を阻止すことで、神経の炎症をおさえる。このような作用により、多発性硬化症の再発が減り、身体的障害の進行がおさえられる。実際の臨床試験においても、神経が炎症を起こしている活動性病巣が少なくなり、また年間の再発率が半分くらいになることが確かめられている。

【薬理】生体内でスフィンゴキナーゼにより活性代謝物のリン酸化体に変換されたあと、リンパ球上のスフィンゴシン1-リン酸1受容体(S1P1受容体)に作用し、その受容体機能を阻害する(機能的アンタゴニスト作用)。この阻害作用により、自己反応性リンパ球の中枢神経系への浸潤が阻止され、結果として多発性硬化症の神経炎症を抑制することにつながる。このような作用機序から、スフィンゴシン1-リン酸1(S1P1)受容体調節薬と呼ばれることがありる。

【臨床試験】試験の結果、この薬を飲んでいた人達の病巣が認められなかった人の割合は約70%(服用前58%)、プラセボを飲んでいた人達は約40%(服用前58%)。この薬を飲んでいた人達の多くが活動性の病巣がなかったのに対し、プラセボでは病巣がみつかる割合が増えた。また、実際に再発しなかった人の割合は、この薬で79%(45人/57人)、プラセボで65%(37人/57人)と、この薬のほうが再発率が低くなる。

特徴 :
・多発性硬化症を適応とする国内初の飲み薬です。自己注射が必要なインターフェロンβ製剤(ベタフェロン)に比べ利便性が高く治療が楽。
・海外の臨床試験で、既存の標準的治療薬のインターフェロンβをしのぐ有効性。長期服用も可能なので、再発性多発性硬化症に対する新たな標準薬として期待される。
・副作用として、目の黄斑浮腫、徐脈性不整脈、感染症、肝機能障害などが心配される。副作用にそなえ、眼科医や循環器専門医師と連携をはかることが大事です。

注意
免疫が低下する可能性があるので、もともと感染症のある人は慎重に用いる。また、心臓病や肝臓病、黄斑浮腫など病気によっては、その病状を悪化させるおそれがある。とくに糖尿病のある人は黄斑浮腫に、注意が必要。妊娠中は使用できない。

•適さないケース..重い感染症、妊娠中もしくはその可能性のある人。他

【検査】服用に先立ち心電図検査を実施します。そして初回服薬日には心拍数や血圧測定、心電図検査を随時おこなう。除脈がみられるときなど、連続的な心電図モニターが必要です。そのほかで重要なのは、リンパ球数算定を含めた血液検査、眼底検査、肝機能検査などです。

黄斑浮腫は、目にあらわれる特異な副作用です。とくに糖尿病のある人や、ブドウ膜炎の既往歴のある人は発現リスクが高いので、定期的に眼底検査をおこなう必要がある。視力の低下やかすみ目、眼痛など目の異常が気になるときは早めに眼科医師と相談。多くの場合、服薬を中止することでまもなく回復。

【重い副作用】略:別記事参照

Categorised in: 神経眼科