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2021年6月28日

12961:12961:外傷性の動眼神経麻痺は治りますか?

清澤のコメント:最近外傷性の動眼神経麻痺に関する質問をいただきました。以前の記事を括って見たら、未掲載のこの記事が出てきました。参考までに本日の掲載といたします。自然に治る場合なら3か月か6か月で回復傾向が見られるという結論です。整容目的以上の手術的改善は期待しにくいと思いますので、術者とよくご相談の上での手術としてください。ここまでの難しい手術に手を出せる医師はごくわずかです。

新しい質問:駅の階段から転落して、眼窩骨折を発症。のちに動眼神経麻痺による完全な閉瞼が診断された。自然回復傾向は乏しいが手術適応はあるか?遠方の大学病院でないとそれは無理か?(QA参照:)外傷性眼瞼下垂の治療 : 南砂町 東京都江東区 (kiyosawa.or.jp)

質問
動眼神経麻痺は治りますか? (質問者:モニカさん)

私の40歳になる息子のことでご相談いたします。昨年2012年12月23日に自転車のトレーニング中、前を走行する友人の自転車に接触転倒して、病院に救急搬送されました。脳挫傷、右動眼神経麻痺、右外傷性散瞳、右鎖骨骨折、肋骨骨折、と診断されました。他の傷はなおりましたが目に後遺症があります。

右まぶたが塞がって開かず、指で開くと右眼球は外側に向いております。外側にのみ動きますが、内側、上下は動きません。瞳孔も開いております。複視の症状があります。眼科で診てもらいましたが、動眼神経麻痺とのことで経過観察中です。特に今できる治療はないと言われました。

受傷後2か月になり、瞼は額の筋肉を使うと少し開きます。自分では像のずれが少し良くなってきたと感じていましたが、眼科での検査の結果1ケ月前と同じで改善していないと言われました。

脳外科でも診てもらいましたが、時間経過とともに神経も再生するから治るだろうとのことでしたが、MRIを撮って後の再診の折に動眼神経の切断はなく、左右に違いはないように見えるが、画像に映らない部分は分からない。複視の症状は残るかもしれないともいわれました。

動眼神経は再生するのでしょうか?息子は少し見える像が重なってずれが少なくなり、右眼球も少し内側に動くようになったような気がすると申しておりますが、回復の見込みはないのでしょうか?どうぞよろしくお願い致します。

答え:

外傷性の動眼神経麻痺なのですね。
この患者さんでは他の原因を考えるまでも無いでしょうけれど、動眼神経麻痺の約10%はこのような外傷によるものです。そのほかに血行不良、腫瘍などが原因になります。

動眼神経には次のそれぞれの筋がつながっております。
上眼瞼挙筋(瞼を上に上げ眼を開く)、瞳孔括約筋(光が入った時などに瞳孔を小さくする)、毛様体筋(ピントを合わせる)、内直筋(眼を内側に向ける)、上直筋(眼球を上に向ける)、下直筋(眼球を下に向ける)、下斜筋(眼球を上に上げ、回旋もさせる)が有ります。

質問者のお話は此のすべてが障害されたことを的確に示しており、脳幹から出てから、眼窩に入るまで(上と下の枝に分かれるよりも前の段階)のどこかに障害が有ることが疑われます。

原因が虚血の場合には動眼神経の麻痺は3月以内に多くの場合治りますが、外傷では其処までの良い回復は期待しがたいでしょう。

その回復の評価にはヘスチャートが有効で、麻痺した側の眼の動きの程度を見ることで比べることができます。

回復が見られないというのはおそらくこれ(ヘスチャート)を比較したのでしょう。文章の中で期待させる部分は眼瞼の下垂が多少なりとも回復してきていることを推測させる部分です。

眼瞼下垂が有る場合、患者は前頭筋で瞼を上げようとしますが、完全麻痺ですとこれはびくともしません。

動眼神経支配の上眼瞼挙筋ではなく、顔面神経支配の前頭筋で多少なりと瞼が上げられるなら多少なりと回復したと推定できるかもしれません。まずは3カ月そして次は6カ月をめどに経過観察でよろしいでしょう。

Categorised in: 神経眼科