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2009年5月6日

889 眼筋麻痺性片頭痛ophthalmoplegic migraine

眼筋麻痺を伴う片頭痛(ミグレイン)、これって眼筋麻痺性片頭痛なのだろうか?
という論文があります。

Ophthalmoplegia With Migraine in Adults:
Is It Ophthalmoplegic Migraine?;
Lal V, Sahota P, Singh P, Gupta A, Prabhakar S;
頭痛 Headache (Apr 2009)

目的:
眼筋麻痺性片頭痛 (OM)はまれな病気であって、反復性の動眼神経麻痺を特徴とし、ふつうは小児に見られる疾患であるが、その動眼神経麻痺は片頭痛性の頭痛に引き続いて起きるというものである。

われわれは62例の連続する眼筋麻痺性片頭痛の成人例を報告する。これらの患者は急性の眼筋麻痺を発症していて激しい頭痛 を伴ったという過去10年間の症例群である。これらの患者の多くには眼筋麻痺の発作の前に片頭痛の悪化がみられた。

方法:
症例は62例の患者で15歳から-68歳であって、急性の眼筋麻痺性片頭痛を起こしたもので、その詳しい臨床的病歴、生化学的検査結果、そして神経放射線学的な記録を集めた。

結果:
62人の患者に86回の眼筋麻痺性片頭痛の発作が起きていた。48人の患者は、一度だけの発作であって、14人は2回ないしそれ以上の発作を経験していた。国際頭痛学会での定義による可能性のある眼筋麻痺性片頭痛、あるいは確定的な眼筋麻痺性片頭痛の条件を満たしていた。

初診時には外転神経、動眼神経、ないしは滑車神経の麻痺がそれぞれが単独に認められ、患者数では外転神経麻痺が35人 (56.5%), 動眼神経麻痺21人 (33.9%), そして滑車神経麻痺が5人 (8.1%)という頻度であった。一人では動眼神経と外転神経の麻痺を同時に示した。

患者の51人 (82.3%)は眼筋麻痺に先行する (59人/95.2%)ないしは、24時間以内の(3人/4.8%) 片頭痛の悪化を示した。

生化学的なデータと脳神経画像は正常であった。脳神経画像に造影増強効果のある例はなかった。ステロイドを使うことで、回復は早まった(P<.05)。
結論;
(1)成人における眼筋麻痺性片頭痛は大多数の患者で単一の神経性に見られる一回だけの眼筋麻痺発作を特徴とした。
(2)外転神経の麻痺が最も多い。
私たちの結果では、激しい片頭痛の発作の間に眼筋麻痺が起きたので、眼筋麻痺性片頭痛は第二版国際分類での頭蓋部の神経痛に属するものするだろうと考える。

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清澤のコメント
眼筋麻痺性片頭痛は片頭痛(ミグレイン)の特異的な形と考えられており、小児に見られることが多いとされている。しかし、私が個人的に見た例はいずれも成人例であった。
おそらく血管の収縮に伴う眼球運動神経の攣縮発作時に発生する虚血が眼球運動に関連する神経に比較的長い期間持続する麻痺を起すのであろう。疼痛や頭痛は伴わなくてもよい。
この論文には特に目新しい記述はないと思うが、成人における眼筋麻痺性片頭痛のアウトラインはよく示していると思われる。
なお以前、私のブログでは類似の症例を紹介していて、それは

2006年12月21日
236眼筋麻痺性片頭痛ophthalmoplegic migraine

2007年10月14日
421 眼筋麻痺性偏頭痛 ophthalmoplegic migraine (不明愁訴5、症例2)
です。併せてご覧いただけると幸甚です。

(2020年5月17日に加筆)

Categorised in: 神経眼科