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2021年9月7日

13087:COVID-19によるメンタルヘルスへの影響と対応(要点)を紹介します

COVID-19によるメンタルヘルスへの影響と対応

眼科医清澤のコメント:日本医師会雑誌2021年9号は新型コロナウイルス感染症と心のケアを特集に取り上げています。その初めの記事は「「国家的危機に際してメンタルヘルスを考える」という座談会であり、その中で神庭氏は、日本精神神経学会としてCOVID-19によるメンタルヘルスへの影響と対応」を執筆してホームページに掲載していることを紹介した。その要点は次の通りである。(https://www.covid19-jma-medical-expert-meeting.jp/topic/4569)

掲載は昨年であるが、現在まで有効なこの様な論点もあることを医師として認識しておきたい。

COVID-19によるメンタルヘルスへの影響と対応(要点)

著者:神庭 重信、相澤 明憲、水野 雅文、(c)日本医師会

  • COVID-19パンデミックがもたらすメンタルヘルスへの主な影響には、不安・恐怖、イライラ、睡眠障害、物質依存、その他の精神疾患の発症・増悪、自殺などがある。
  • メンタルヘルスへの影響を受けやすいハイリスク者には、感染症罹患者・検疫対象者、医療従事者、児童・保護者、高齢者・女性、既存の精神的・身体的疾患を有する人、精神科病床に入院中の患者、経済的に困窮している人、いわゆる災害時要支援者などがいる。
  • 必要なメンタルヘルス支援として、感染症流行の影響下にある市民への支援、罹患者や検疫対象者の家族・友人・恋人・同僚等の関係者への支援、フロントラインで働く医療従事者への支援、新しい働き方が求められている労働者などが挙げられる。
  • COVID-19がもたらす精神疾患の新たな増加と既存の精神疾患の増悪に対応するためには、保健師、心理職らによる精神保健活動や心理相談、ゲートキーパー機能の強化、かかりつけ医と精神科医の連携、診療所と病院との連携といった地域精神保健・医療のネットワーク機能を格段に強化する必要がある。

また国連は、「COVID-19 and the Need for Action on Mental Health」と題した政策提言を発出した(2020年5月13日)。何億人もの人々が被る計り知れない苦しみを減らし、社会への長期的な社会・経済的コストを軽減するために、メンタルヘルスへの歴史的な過小投資を遅滞なく是正する必要があること、そして公共政策として以下のことが求められると提言している。

  1. 社会が一体化したアプローチを適用して、メンタルヘルスを促進、保護、ケアすること。
  2. 緊急時メンタルヘルスと心理社会的サポートを幅広く利用できるようにすること。
  3. 将来のためのメンタルヘルスサービスを構築することにより、COVID-19からの回復をサポートすることである。

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殊に:医療従事者、介護従事者、感染症対策従事者(特に、罹患者に直接対応する看護師・医師)に対しては::

罹患者に直接接する機会が多い医療従事者は強いストレス下にある。感染の不安恐怖に常におびえながらの激務はそれだけで極めて高ストレスであるが、現場を目撃することで、自身は経験していなくても、 体験者と同様のトラウマを受ける(代理トラウマ)や医療現場における道徳的・倫理的判断(トリアージなど)に伴う精神的苦悩(道徳的傷害)、燃え尽き症候群などの問題もある。COVID-19対応の医療従事者を対象とした調査では、50.4%にうつ病症状、71.5%に心的外傷後ストレス反応が見られたという報告があり、医療従事者への支援は極めて重要である。

加えて、罹患者と同様、医療従事者本人のみならずその家族までもが世間からのスティグマを受けるかもしれない。家族へ感染させること心配して、自宅に帰らず、宿泊施設に泊まり込む従事者もいて、彼らには過重な身体的、精神的ストレスが加わる。

清澤の注:スティグマとは?: ギリシャ語の原意は焼き印、烙印。一般的には「不名誉」「汚名」「負の烙印」といった意味だが、福祉の分野では「差別」「偏見」と訳される。たとえば身体および精神障害者に対しての根拠のない差別などもこれにあたる。

追記:昨年5月とやや古い日経メディカルの集計だが、コロナの流行に伴って医師の間でも鬱が増えていた。私はこのころ鬱を自覚してはいなかったが、今から思えば、私も精神的には明らかに変容をきたしていた。新型コロナに対する直接の脅威ばかりでなく、患者数の落ち込みやそれに伴う診療機関の赤字体質の発生など経済的な要素もその大きな原因であったと自省される。https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t344/202005/565720.html

Categorised in: 全身病と眼