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2021年5月26日

12889:カルシトニン遺伝子関連ペプチドまたは片頭痛の受容体に対するモノクローナル抗体の有効性と安全性:系統的レビューとネットワークメタアナリシス。論文紹介です

神経眼科医清澤のコメント:片頭痛の成人患者ではカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)に対するモノクローナル抗体の使用が始まっているようですが、その中での最適なものの決定はまだなされていない。そこで文献的な分析を行ったというお話です。。

 -ー抄録を採録ーーー
カルシトニン遺伝子関連ペプチドまたは片頭痛の受容体に対するモノクローナル抗体の有効性と安全性:系統的レビューとネットワークメタ分析。
概要
背景:片頭痛の成人患者に対するカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)に対する最適なモノクローナル抗体はまだ決定されていません。したがって、ランダム化比較試験のネットワークメタアナリシスを通じて、片頭痛の成人患者に対するCGRPまたはその受容体に対するさまざまなモノクローナル抗体の有効性を比較することを目的としました。

方法:MEDILNE、Embase、ClinicalTrials.gov、およびCochrane Libraryデータベースで、開始から2020年10月30日までの関連出版物を体系的に検索しました。カルシトニン遺伝子関連ペプチドモノクローナル抗体を評価し、臨床報告を行った片頭痛の成人を対象としたランダム化臨床試験のみ結果が含まれていました。

主な結果は、毎月の片頭痛日数の変化と治療に起因する有害事象でした。

結果:最初に2,070の出版物を検索し、最終的に18のランダム化臨床試験で合計8,926人の患者が含まれました。有効性に関しては、エプチネズマブ(MD -1.43、95%CrI -2.59〜-0.36)、エレヌマブ(MD -1.61、95%CrI -2.40〜-0.84)、フレマネズマブ(MD -2.19、95%CrI -3.15〜- 1.25)、およびガルカネズマブ(MD -2.10、95%CrI -2.76〜-1.45)は、プラセボと比較してMMDを有意に減少させました。

安全性の観点から、プラセボと比較して、ガルカネズマブのみがTEAE(RR 1.11、95%CrI 1.01-1.22)および重篤な有害事象(RR 2.95、95%CrI 1.41-6.87)の発生率を増加させました。

結論:ほとんどの薬は同様に機能し、ほとんどの分析でプラセボよりも優れていました。現在の発見を検証するには、さまざまなタイプのCGRPモノクローナル抗体に関するさらなる直接的な研究が必要です。

Efficacy and Safety of Monoclonal Antibody Against Calcitonin Gene-Related Peptide or Its Receptor for Migraine: A Systematic Review and Network Meta-analysis. Journal Frontiers in pharmacology. 2021;12;649143. doi: 10.3389/fphar.2021.649143. Author Xing Wang, Yuqi Chen, Jinlei Song, Chao You 

清澤注記:カルシトニン遺伝子関連ペプチドとは。関連記事にリンク⇒

片頭痛 CGRP標的の新薬が日本でも登場へ

2020/04/02

片頭痛の予防薬として期待される、CGRPを標的とした新薬の開発が日本でも大詰めを迎えています。日本イーライリリーが1月に抗CGRP抗体galcanezumabを申請したのに続き、大塚製薬も同フレマネズマブを年内に申請する予定。海外ではすでに予防と治療の両方で販売されているCGRPを標的とする薬剤が、日本でも数年遅れで登場することになります。

CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)は、片頭痛の発作に関与するとされる神経ペプチド。光や音、匂いといった外部からの刺激によって三叉神経から放出され、CGRP受容体に結合すると血管を拡張させて炎症を引き起こします。

現在、国内では片頭痛の予防を対象にCGRPを標的とした4つの新薬が開発中。日本イーライリリーの抗CGRP抗体galcanezumabは2020年1月に申請を済ませ、大塚製薬はイスラエル・テバから導入した同フレマネズマブを2020年申請する予定。アムジェンの抗CGRP受容体抗体erenumabも臨床第3相(P3)試験の段階にあり、アラガン・ジャパンは経口薬となるCGRP受容体拮抗薬atogepantのP3試験を行っている。

【国内で開発中の片頭痛予防・治療薬】(2020年3月30日現在)(開発段階/一般名(開発コード)/社名/作用機序): <予防> 申請/galcanezumab(LY2951742)/日本イーライリリー/抗CGRP抗体 |P3/erenumab(AM)/334/アムジェン/抗CGRP受容体抗体 |P3/atogepant(―)/アラガン・ジャパン/CGRP受容体拮抗薬(経口) |P2/3/fremanezumab(TEV-48125)/大塚製薬/抗CGRP抗体 |<急性期治療>/P3/lasmiditan(LY573144)/日本イーライリリー/5-HT1F受容体アゴニスト |※各社の発表資料や臨床試験情報をもとに作成

片頭痛の国内の患者数は約840万。女性の有病率は男性の約3.8倍で、最も高い30歳代女性では約20%に達すると言われている。国内では現在、予防薬としてβ遮断薬プロプラノロールや抗てんかん薬バルプロ酸ナトリウムなど、急性期の治療薬としてトリプタン系薬剤などが使われていますが、効果を得られない患者も少なくない。

日本頭痛学会が2005年にまとめた「京都頭痛宣言」では、片頭痛による生産性の低下が日本にもたらす経済的損失は年間2880億円に上ると試算。効果の高い新たな治療選択肢が求められている。

Categorised in: 全身病と眼