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2021年5月5日

12833:原発性アルドステロン症と目の関係は?疾患解説と、脈絡膜循環と脳梗塞との関連国方報告の紹介

原発性アルドステロン症

清澤のコメント:高血圧の約5%を占めると言われる高アルドステロン症。国方のレポートによれば脈絡膜循環にも変化が出ていると言う事で、無症候性脳梗塞にも関連があるらしいです。眼科の立場も含めて復習しておこう。

最終更新日:2019年11月4日 日本内分泌学会(参照記事

原発性アルドステロン症とは

副腎からアルドステロンが自律的に過剰分泌される病気。健常状態において副腎からのアルドステロン分泌は、体液量の低下を感知して腎臓から分泌されるレニンの制御を受け、塩分を体内に保持し、血圧を維持するはたらきを持つ。レニンが低値にもかかわらず副腎からアルドステロンが過剰分泌される状態を確認することで、この病気と診断される。スクリーニング検査としては、血中のアルドステロンとレニンを測定し、アルドステロン/レニン比(ARR)≧200(注)となった場合、この病気を疑う。レニンは、塩分摂取過剰により分泌抑制を受けるため、塩分過剰状態では通常アルドステロンは低値を示す。

この病気の患者さんはどのくらいいるか?

高血圧患者に占める割合は、5%程度と考えられている。

この病気の原因は何ですか?

この病気には大きく分けて2つのタイプがある。1つは、副腎腫瘍が原因となるタイプで、もう1つは過形成と呼ばれ、左右両側の副腎全体からアルドステロンが過剰分泌されるタイプ。

後者のタイプは現時点ではほとんど原因が分かっていない。一部の家系内発症を認める症例では、CYP11B1/B2のキメラ遺伝子やKCNJ5遺伝子の胚細胞変異など、原因が同定されているものもある。

この病気ではどのような症状がおきますか?

アルドステロンの生理作用は、Naを体内に貯留することであり、そのためアルドステロン過剰状態では血圧上昇が必発です。ほとんどの症例は、健診などで高血圧を指摘されることがきっかけでこの病気の発見に至ります。またアルドステロン作用により、腎臓においてNa再吸収が亢進すると、代わりにK排泄が亢進するため、重症度の高い症例では、低K血症を呈します。

この病気にはどのような治療法がありますか?

上述した2つのタイプによって、治療法が異なります。副腎腫瘍が原因となるタイプは、手術治療を行うことで、病気を根治することができます。一方、左右両側副腎(過形成)が原因となるタイプは、手術治療の対象とならず、アルドステロン拮抗薬(注)による治療を行います。

現在使用可能なアルドステロン拮抗薬は、スピロノラクトンとエプレレノンの2種類があります。前者は、男性に高用量で使用すると、女性化乳房の副作用が出やすくなります。これらの薬物治療は、受容体拮抗薬による治療であり、アルドステロンは低下しないため、根治治療とはなりません。

この病気はどのような経過をたどるのか?

無治療のままだと脳卒中や虚血性心疾患など、高血圧関連の合併症のリスクが増大する。

清澤の追記;「偽 アルドステロン症」:血圧を上昇させるホルモン(アルドステロン)が増加していないにも 関わらず、高血圧、むくみ、カリウム喪失などの症状があらわれる「偽 アルドステロン症」は、医薬品によって引き起こされる場合がある。症状は、「手足のだるさ」、「しびれ」、「つっぱり感」、「こわばり」がみられ、 これらに加えて、「力が抜ける感じ」、「こむら返り」、「筋肉痛」が現 れて、だんだんきつくなるなどです。 主に甘草やその主成分であるグリチルリチンを含む漢方薬(眼瞼痙攣にも用いられる抑肝散、抑肝散加陳皮半夏なども含まれます)、かぜ薬、 胃腸薬、肝臓の病気の医薬品でみられ、また市販の医薬品でもみられる ことがあるので放置せずに医師・薬剤師に連絡ください。

さて肝心の眼科的所見です。原発性アルドステロン症における眼症状でヒットしたのは仙台の国方先生の一文献のみ。実際の高血圧性網膜症などの記載はありません。PLoS One  2015年2月12日; 10(2):e0117452です。

原発性アルドステロン症におけるレーザースペックルフローグラフィーによって測定された眼の微小循環と無症候性脳梗塞の関係

国方宏 、 相澤直子 、他 DOI: 10.1371 / journal.pone.0117452

概要

目的: 最近の研究では、本態性高血圧症(EH)の患者よりも原発性アルドステロン症(PA)の患者の方が、脳血管イベント(CVE)のリスクが高く、サイレント脳梗塞(SBI)が危険因子であることが示されています。およびCVEの予測因子。ここでは、最近導入されたレーザースペックルフローグラフィー(LSFG)での、平均ぼけ率(MBR)、眼血流の重要なバイオマーカーを測定する非侵襲的手段からの所見と、PA患者におけるサイレント脳梗塞SBIの発生との関係を評価しました。

方法: 症候性脳イベントのない87人のPA患者(平均55.1±11.2歳、48人の男性と39人の女性)がこの研究に登録されました。LSFGで視神経乳頭(ONH)のMBRを測定し、磁気共鳴画像法でSBIの発生を確認しました。スキュー、ブローアウトスコア(BOS)、ブローアウト時間(BOT)の3つのMBR波形変数を調べました。また、年齢、血圧、血漿アルドステロン濃度などの臨床所見も記録しました。

結果: SBIのあるPA患者(87人中15人、17%)は、SBIのない患者よりも有意に年齢が高く、ONHの毛細血管領域のBOTが有意に低かった(それぞれP = 0.02およびP = 0.03)。多項ロジット回帰分析により、年齢とBOTがPA患者におけるSBIの存在の独立した要因であることが明らかになりました(OR、1.15、95%CI 1.01-1.38; P = .03およびOR、0.73、95%CI 0.45-0.99; P =それぞれ.04)。

結論: SBIのあるPA患者は、SBIのない患者よりも年齢が高く、MBRBOTが低かった。私たちの分析は、PA患者において、年齢がSBIの危険因子であり、BOTが保護因子であることを示しました。これは、非侵襲的で客観的なバイオマーカーであるBOTが、SBIの有用な予測因子であり、将来のPA評価および臨床的意思決定の一部を形成する可能性があることを示唆している。

Categorised in: 全身病と眼