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2021年3月17日

12706:コロナ禍の長引くマスク生活で「顔がたるむ」、その原因と対処法:だそうです

 清澤のコメント:眼瞼けいれんでも顔面の下半分に痙攣がある場合にボトックス注射を置く4つの筋の名前が具体的に出ています。ボトックス投与でも口角が下がることを嫌がる患者さんがいます。現在も眼瞼けいれんや片側顔面けいれんで口周りと鼻周りへの施注は少なくしていますが、この記事も参考に再考してみましょう。

――――記事抄出採録――――

宮本日出 2021/03/17 06:00

写真はイメージです Photo:PIXTA© ダイヤモンド・オンライン 提供 写真はイメージです Photo:PIXTA 

コロナ禍でマスクをする生活が長引いている。何も対応せずにマスク生活が長期間続くと、顔がたるんでくる懸念もある。その原因と対処法を解説する。(歯科医師、幸町歯科口腔外科医院院長 宮本日出)

マスクの期間が長くなると顔がたるんでくる

 日本では気持ちを表すとき、目を意識しますが、欧米では口元を一番気にする傾向があります。実は口には、目と同等以上にたくさんの表情が現れます。しかし、マスクの期間が長くなると、人と会う機会が少なくなり、会話も表情を意識することも減りますから、表情が乏しくなります。すると、いつの間にか顔がたるんでくるのです。

歯科医師が警告する「たるみ」の原因とは?

 そもそも「顔のたるみ」は、老化によって起こります。20〜30歳代の肌は、皮膚と表情筋を密着させる線維組織(コラーゲン)が引き締まっているためにハリがあります。しかし、40歳を超えた頃から、この線維組織が衰えて連接が緩みます。人によっては数ミリ単位で隙間ができてしまうことから、皮膚を支えきれなくなり、たるみにつながるのです。

 ところが、長いマスク生活では、年齢に関係なく、顔がたるんでしまう恐れがあります。

 というのも、先述したように顔の表情は皮膚の下にある「表情筋」で作られます。30種類以上ある薄い筋肉で、相互に働き、人の複雑な表情を作っています。

 そして、笑顔のようなポジティブな表情は表情筋を上に動かして作り、気難しく見えるネガティブな表情は主に口まわりの表情筋を下に動かします。上への動きは意識が必要なのに対して、下への動きは無意識でもできるため、下に動かす筋肉の方が優位に働きます。

 しかも、日常生活では表情筋のうち30%程度しか使いません。そして、ポジティブな表情に使う表情筋は8種類なのに対して、ネガティブな表情の方が11種類と多いことも分かっています。意識しないでいると、筋肉はどんどん下がってしまいます。

「自分はそんな表情をしていないから大丈夫」と思うかもしれません。ところが、日常生活で、ポジティブな感情とネガティブな感情でいる比率は「3:7」と、ネガティブの方が多いのです。

 これは生物が生き残る上で、危険を察知してすぐに行動が起こせるように、「恐怖」「嫌悪」などの感情が敏感になっているためです。一方、「うれしい」「満足」などのポジティブな感情は、自分の気持ちの中だけで起こり、長続きしないということが分かっています。

 つまり、ネガティブな表情は、知らず知らずのうちに表情に現れますが、笑顔などのポジティブな表情は「意識していないと、作れない」ということです。

 しかも、マスクをつけていると口元が見えないため、表情を作ることに対する意識が薄くなります。

 特に口の周りの「口輪筋」は、口の周りを取り囲むように輪になっていて、大部分が骨に付いていないため、年齢に関係なく衰えやすい筋肉です。マスクをしていると口呼吸になり、口輪筋を使わなくなることもあって、顔がたるみやすくなります。

表情筋をしっかり使って対策

 表情筋を使うことがたるみ対策だということはお分かりいただけたと思います。

 表情筋は腕や足を動かす骨格筋と異なり、鍛えても筋肉量は増加しません。筋肉の活動量は「長さ×太さ×使用する時間」で表しますが、そもそも筋肉の体積が少ない表情筋の場合、「使う時間」を長くする以外に活動量を上げる、つまり「鍛える方法」がないのです。

 やはり、マスクの下でも意識して「笑顔を作る」ことが効果的です。

 笑顔を作って鍛えられる筋肉は4種類あります。顔の中央から頬に向かって順番に、鼻に沿ってある上唇鼻翼挙筋、その外側の上唇挙筋、頬の横側にある小頬骨筋と大頬骨筋です(写真参照)。

(別ページから引用)

 最初の2つ(上唇鼻翼挙筋と上唇挙筋)を使うと、唇と小鼻が上がり、残りの2つ(小頬骨筋と大頬骨筋)を使うと、唇が横上に広がります。

日本で写真を撮る時の決まり文句が「はい、チーズ!」なのは、「チー」の時に、口を横に広げるため、笑顔になって見えるからです。

 海外では「Show your teeth!(歯を見せて!)」で、単に「口角を上げる」だけでなく、「歯を見せる」方が笑顔をつくれます。

 それでも上の歯を見せて、ただ口角を上げるだけでは、前歯から左右3本ずつの歯が見えるだけです。口の中の頬の内側の粘膜を歯と歯茎から離して、空気を入れて隙間を作るようにすると、さらに口角が上がり、奥の歯まで見えます。この時に小・大頬骨筋を使うことができます。

 もし、小鼻が上がって鼻の横にしわができたり、上の前歯の歯茎が見えすぎて引きつった笑顔になったりする場合は、上唇鼻翼挙筋と上唇挙筋を使いすぎです。

「笑顔作る=前歯の露出を多くする」ことと考え、前歯の根本(歯茎)まで見せた「ガミースマイル(歯茎笑顔)になってしまう人がいますが、奥歯1〜2本を見せることを意識して、口角を広げる様にした方が明るい印象の笑顔が作れます。

 実は奥歯を見せずに口角だけを上げて笑顔を作り続けていると、ほうれい線が目立つようになり、老け顔に見えてしまいます。人前に出る仕事の人などは、いつも笑顔を作っているので、真顔になるとほうれい線が目立つ人も少なくありません。奥歯を見せる笑顔を心がけてください。

毎日の習慣でできる対策の「裏ワザ」

 実は笑顔を意識する以外にも、表情筋を鍛えるのに効果的な「裏ワザ」があります。それは「うがい」です。ぶくぶくうがいのときには、唇をしっかりしめてください。含んだ水を口の中で、勢いよく、早いスピードで還流させます。唇をしめることで、口元のたるみの原因となる口輪筋を鍛えることができます。

 さらに、ぶくぶくうがいの時に、頬を片方ずつ大きく膨らませ、頬に広がる頬筋を使うと、頬全体が引き締まり、きりっと引き締まった表情になります。ほうれい線の改善にも役立ちます。

顎のこわばり顎関節症の疑いも

 長引くマスク生活の悪影響は「顔のたるみ」だけではありません。マスクをしながら会話をすると顎を動かさないので、顎関節症の初期症状である口の開きづらさや顎の痛みの自覚がなく、重症になって初めて気がつく人が増えています。海外では「コロナ禍の生活が顎関節症の原因となる」という医学論文が発表されているほど、深刻な状況です。

 顎関節症の原因の1つが口呼吸です。マスクをしている時は鼻呼吸では苦しく、口呼吸になりやすいので、これを避けるために唇を意識的にしめる人がいます。意外にもこのしぐさが、顎の筋肉には負担となるのです。

 通常、食事の時以外で無意識に唇を閉じているときは、上下の歯の間には1〜2mmの隙間があり、顎はリラックスした状態です。顎の筋肉も伸びて、負担はかかっていません。これがぎゅっと唇をしめると、上下の歯が軽く接して顎の筋肉を使います。筋肉量のわずか7.5%ですが、平均157.2分間も噛み続けることができます。

 一方、思いっきり奥歯を噛み締めるときに使うのは、筋肉量の40%と多いですが、疲れて1.4分間しか噛み続けられません。顎の筋肉への負担は、軽く噛み締めている方が大きく、強く噛み締めた時の20倍以上になります。軽い噛み締めの癖がある人は、ない人に比べて顎関節症になるリスクが2倍に上がってしまいます。

 マスク生活で口を大きく開けることが少なくなり、顎がこわばっていても、自分では気がつきにくくなっています。違和感を覚えたときには、重症になって口が開けられなくなっていることもあるのです。まずは鏡の前で口を思いっきり大きく開けて、自分の指が3本入るかどうかを確認してみましょう。もし入らなければ、顎関節専門医の受診をおすすめします。

(監修/歯科医師・幸町歯科口腔外科医院・院長 宮本日出)

Categorised in: 全身病と眼