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2020年11月13日

12427:紫外線・赤外線・レーザー光線(非電離放射線)による眼の障害:(再訪)

清澤のコメント:(今日の治療指針 私はこう治療している 2017から自著記事を採録:関連文献は、電子版にのみついています。以前この原稿のこれより長いの下書きがこのブログに採録してあります。)

紫外線・赤外線・レーザー光線(非電離放射線)による眼の障害。
Eye injury by non-ionizing radiation (ultra-violet, infrared, laser beam)
清澤源弘 清澤眼科医院 院長 (東京)

Ⅰ,紫外線による目の障害:
病態と診断

・紫外線に関連した眼障害は、急性障害と慢性障害に分けられる。

Ⓐ 急性障害

・電気溶接を直視した場合(電気性眼炎)や、ゴーグル不着用でスキーをした場合(雪目)に見られる。症状は暴露数時間後に表れる激烈な眼痛で、角膜上皮脱落と前眼部炎症を伴う。

Ⓑ慢性障害:

・白内障、翼状片、瞼裂斑、黄斑変性がある。これらは戸外労働者に多い。紫外線は眼内への透過率は低いが、黄斑変性も網膜への光障害がその誘因の一つである。可視光の青色光も紫外線とともに網膜障害を起こす。

治療方針

Ⓐ 急性障害

 点眼麻酔および経口鎮痛薬で局所の疼痛を抑制し、眼軟膏を塗布し眼帯する。冷罨法も有用である。疼痛は通常24時間以内に軽減する。眼科医への紹介が望ましい。

Ⓑ 慢性障害

 慢性障害の予防にはサングラスと帽子の適切な使用が推奨される。治療は各原疾患の治療に準ずる。

Ⅱ,赤外線による目の障害:

病態と診断
・赤外線への暴露では白内障が進行する。強度の遠赤外線では、網膜火傷や虹彩萎縮、黄斑変性も知られる。

治療方針

 点眼薬投与で経過を見て、視力低下が進行すれば白内障種々を検討する。

Ⅲ,レーザー光による眼障害:
病態と診断・レーザー光をレンズで集光すると非常に強力なエネルギーを一か所に集められる。

・波長としては可視光(400nm~700nm)・近赤外光(IR-A:700nm~1400nm)であり、この波長のレーザー光は水晶体で集光され、眼底に障害を与える。産業用途レーザーでは、二酸化炭素レーザーは波長10.6μm(遠赤外光IR-C)、YAG基本波は波長 1064nm(近赤外光 IR-A)で両者とも赤外光である。

・現在一般に使われているレーザーの種類にはルビーやYAGなどの固体レーザー、色素レーザーなどの液体レーザー、アルゴンレーザーなどの気体レーザー、それに半導体レーザーなどがある。

・レーザーの影響は「眼」または「上皮組織」に限定される。眼障害のうち最も深刻なるものは網膜損傷である。

・「レーザー光線による障害防止対策要綱」には保護眼鏡の着用が指示されている。

・レーザーポインタ等に用いられる半導体レーザーは400nm~700nmの可視光であるが、日本の規格に適応しない高出力の輸入製品もあり、眼に対する危険がある。網膜浮腫や眼底出血を生じた事例がある。

・電子レンジでは、マグネトロンから発射されるマイクロ波が加熱に用いられているが、前面の金網からは照明光だけが見えている。マイクロ波は、電子レンジの扉が壊れない限り、人体に影響するほどはない。

治療方針

 治療は重篤な網膜疾患に準ずるので、眼科医へ緊急な紹介が必要である。

文献
1, Ultraviolet radiation as a risk factor for cataract and macular degeneration.
Roberts JE1. Eye Contact Lens. 2011 37(4):246-9.
2, H R Taylor:Ultraviolet radiation and the eye: an epidemiologic study. Trans Am Ophthalmol Soc. 1989; 87: 802–853.
3, Sulaiman M. Alsulaiman et al. High-Power Handheld Blue Laser-Induced Maculopathy. The Results of the King Khaled Eye. Specialist Hospital Collaborative Retina Study Group Ophthalmology, Volume 121, Pages 566–572.

下記はこの原稿の本の版です

Categorised in: 全身病と眼