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2020年10月28日

12393:感染から体守る粘膜免疫 高める食事、ここがポイント:記事紹介です

清澤のコメント:コロナに罹患しやすくなる免疫力の低下が喧伝されますが、粘膜における免疫も重要な免疫の要素です。それを解説した詳しい記事がありましたので短く抄出してみました。https://style.nikkei.com/article/DGXMZO62502120R10C20A8000000/

   ―――記事の要点―――

2020/8/19 学ぼう 免疫力

新型コロナウイルスやインフルエンザ、風邪などの原因となるウイルスや細菌は鼻や口、喉といった「上気道」や、腸管などの「消化管」の粘膜を侵入口として体内に入り込もうとする。上気道や腸管には感染から身を守るための「粘膜免疫」という仕組みがあり、これらを迎え撃つ。とはいえ、疲れやストレスなどで免疫機能が低下すると防ぎきれないこともある。

病原体にさらされる上気道の粘膜を守る

ウイルスや細菌といった病原体に立ち向かう、免疫の仕組みの基本:「侵入させない」ための防衛ラインとなるのが、外界と接している鼻や喉などの「上気道」や、「腸管」などの粘膜。空気や飛沫を介して病原体にさらされやすい上気道は感染防御の最初の戦場となる。気道の粘膜の上には、これを守る粘液と繊毛があり、細菌などの異物の排除に働く。しかし、気道は腸よりも乾燥しやすく守りが手薄になりやすい場所でもある。

医薬基盤・健康・栄養研究所のワクチン・アジュバント研究センターセンター長、国沢純さん説明。守りを固めるのに重要な働きをするのが、実は上気道からは離れた場所にある小腸の粘膜だ。

全身の粘膜で病原体を防ぐ主役IgA抗体、小腸がふるさと

<小腸を起点に全身を巡る免疫システム>

腸管表面は粘液で覆われた絨毛という突起がひだのように並んでおり、物理的に病原体が侵入しにくい構造になっている。絨毛の合間のところどころにパイエル板という免疫組織の集合体があって、その上皮にある細胞(M細胞)がウイルスや細菌といった病原体を取り込む。ここからパイエル板の中にいる免疫細胞たちがチームプレーで侵入した病原体をつかまえ、さらにその情報から、次に同じ病原体が体内に入ったときに排除する免疫物質「IgA(免疫グロブリンA)」などの抗体を作る。IgAは最初に学習した特定のウイルスや細菌に強く反応する優れものだ。

こうして作られたIgAは病原体捕獲力が高い分泌型IgAとなって絨毛の外に出て、胃を通り抜けて腸に入ってきたウイルスや細菌が粘膜に付着するのを阻止したり、細菌が出した毒素を中和したりして、病原体が感染症を引き起こすのを防ぐ。抗体を作る細胞(抗体産生細胞)の一部は血液に入って全身を巡り、再び腸に戻ってくる(ホーミング)。こうして全身を旅しながら、免疫細胞の一部は唾液腺や気管支、乳腺などにも行ってIgA抗体の産生を促し、唾液などの分泌液中に放出することで、それぞれの粘膜を守り、感染を防御する。

粘膜免疫を弱めるリスクは何か:病原体が初期のとりでである粘膜から体を構成する組織の中にまで入り込んだ場合、NK細胞やマクロファージ、好中球といった免疫細胞が病原体の種類にかかわらず排除する「自然免疫」、特定の病原体の情報を記憶し次の侵入に備える「獲得免疫」など、全身で敵と戦う仕組みが働く。

「粘膜免疫」について詳しく説明:粘膜を守る粘液中には、リゾチームやディフェンシンといった抗菌物質も含まれる。特に、病原体をつかまえて粘膜への侵入を阻むという主役級の働きをする抗体、IgA抗体による防御力の高め方を見ていく。IgAの分泌量は私たちの生活習慣に影響されるほか、ある種の食品の摂取といった私たちが日常生活で取り組みやすい方法によっても高めることができる。

IgA産生が低下し、粘膜免疫の働きが落ちてしまう要因:

・高齢者・離乳した幼児

80歳以上では20~30代の半分以下しかIgAが分泌されていない。また、離乳した幼児も、母親の母乳からもらったIgAの効力が切れ、自らの免疫の機能獲得の過程にあるため感染症にかかりやすい。

・ストレスを感じている人・睡眠不足の人

精神的ストレスや寒さのストレスをかけると唾液分泌量が減るという研究がある。唾液中のIgAが低下すると風邪といった上気道感染症にかかりやすく、疲労感も強くなる。

・ハードな運動を行う習慣がある人

高強度の運動は体を過度に疲労させ、唾液IgAを低下させ、上気道感染症リスクを高める。

年齢面以外は、感染症の流行期や体調が万全でないときには特に留意したい。

乳酸菌やポリフェノール、粘膜免疫維持に働く食品成分

自分の生活は粘膜免疫を弱めているかもしれないと感じる人が次に心掛けることができるのは食生活。栄養バランスの良い食事をとることが大前提。免疫細胞のエネルギー源となるのは、ビタミン類、アミノ酸、糖質、脂質、ミネラルなど。これらを食事からバランスよくとり、免疫細胞が正常に働く環境を作っておく。粘膜免疫を高める働きが期待される食品がある。

・乳酸菌などの菌類:乳酸菌や腸内にすむ腸内共生菌など、菌類では報告数も多い。

<乳酸菌b240摂取で口腔内のIgA量が上昇>

・食物繊維類:免疫細胞が多く集まる腸管に物理的な刺激を与えたり、腸内細菌のエサになってその代謝物がIgA産生を促す作用があったりする食物繊維も十分な量をとるようにしたい。

・ポリフェノール:植物が含む抗酸化物質ポリフェノールにも期待が持てそうだ。茶カテキンやクロモジというようじに使う木のポリフェノールなどでは、病原体が粘膜細胞に侵入することを妨害する作用が見いだされている。

<カシス摂取で唾液中IgAとディフェンシンが増加>

このような食品成分が、病原体ではないのにIgA産生を促し、粘膜免疫の維持に役立つのはなぜか。「食品や飲料としてとる乳酸菌のように、免疫細胞が“病原性はないけれど異物”と判断した場合も、その刺激でIgA産生などを促進する。こうした食品類を継続的にとってIgA量を維持しておくことで、侵入してきた病原体に素早く反応できる」。丁寧な口腔ケアも忘れずに。感染リスクが気になる今こそ、感染の入り口である口腔、上気道の免疫の重要性を見直し、できることから取り組んでいきたい。(ライター 柳本操、イラスト 三弓素青、グラフ 増田真一)、国沢純 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 ワクチン・アジュバント研究センターセンター長

Categorised in: 全身病と眼