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2020年10月14日

12355:テルソン症候群では急激な頭蓋内圧亢進により視神経内の網膜中心静脈圧が急上昇し、それに伴って網膜の毛細血管や小静脈が破綻して内境界膜下出血や硝子体出血を来す:花井香織論文紹介

(この図にはPHPVが描かれていません)

  • 清澤のコメント:神経眼科 37 巻 (2020) 2号に“Terson症候群”の臨床像について:という花井香織先生のという特集記事が出ていました。この記事ではテルソン症候群の成因に関して考察しています。脳外科に直結した眼科診療をしていないと、すべてのテルソン症候群は見つけられないという著者の考えに賛成です。以前東北大学で、私もテルソン症候群の硝子体出血の硝子体手術をしながら、硝子体の出血を切除したところ、急に鮮明な眼底が見え、そこに視神経乳頭と、それからは少し離れた位置のradial peripapillary capillariesあたりに独立した内境界膜下出血がはっきりと見えたことからこの著者の言う中心静脈圧亢進説を強く推定したことが有りました。
  • 著者によると:発生機序について
  • ①くも膜下出血の発症による急激な頭蓋内圧亢進により視神経内の網膜中心静脈圧が急上昇し、それに伴って網膜の毛細血管や小静脈が破綻して内境界膜下出血や硝子体出血を来す(中心静脈圧亢進説)
  • ②視神経周囲のくも膜下腔に流入した出血が眼内に直接流入するという説(直接流入説)がある。
  • 健常人の後部硝子体ポケットの形態は、93.1%にCloquet管と後部硝子体ポケット間の連絡路が観察される。クロケット管内に硝子体出血が存在しないのであれば、後部硝子体ポケットにも硝子体出血が存在しないのではないか?と仮説。手術時に83.3%にPVD無く、その90%に出血のないクリアな後部硝子体ポケットが見られた。クロケット管は視神経乳頭部に開口しているため、SAHが視神経乳頭を介して眼内に流入しているのであればこうはならない。直接流入説は否定的というものでした。
  • ーーー以下がこの論文の抄録ですーーーー

特集くも膜下出血に伴う眼内出血“Terson症候群”の臨床像について花井 香織 

抄録

 Terson症候群(Terson’s syndrome:TS)は,くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage:SAH)に代表される非外傷性の頭蓋内出血に伴って眼内出血を生じる病態である.1900年にTersonがSAH後に生じた硝子体出血(vitreous hemorrhage:VH)の症例を報告し,以後広く知られるようになった.これまでにTS(Terson症候群)の臨床像については多数の報告があるが,その大部分は後ろ向き研究であり,結果のばらつきが非常に大きい.これは救急搬送されるSAH患者をすべて把握し,眼科的検査を行うことの困難さが要因に挙げられる.当院は脳神経外科専門病院であり,その特性を生かしたSAH患者における調査結果から,TSの疫学,TSの手術成績,術中所見から見たTSのVHの特徴について述べ,最後にTSの発症機序についても解説していく.

追記:同号207-214ページの原点で読む神経眼科シリーズ、神経眼科の古典・原点:Terson症候群、大庭紀雄ラは詳しく複数の原著を紹介しています。

Categorised in: 全身病と眼